第21話
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「大体そんな感じだ」
ワイバーンをテイムした経緯を聞いたハルキは少し不思議そうな顔をして
「でも、貴族の下にいる割にワイバーンって見た事ないんですがこの街にはいないんですか?」
とドーラに聞いた。
「その事か」
ドーラはハルキに説明する。
この街の一番北には領主の城がある。北門は貴族門と呼ばれて貴族とその配下のみが通る事が出来る。
ワイバーンはその北門を出た先で飼育されており、基本的には中に入る事はない。ドーラのワイバーンも街中を連れて歩く訳にもいかないので、普段はそちらに預けていた。
ドーラ以外には個人でワイバーンをテイムしている者などいなかったので騎乗する場合は特例として、他の門から出た所に呼び寄せていた。
他のワイバーンは茶系の色合いだったが、アオは緑がかった青でこの街では皆が知る存在だった為に他の門の側に現れても特にパニックなる事はなかった、と。
「そうなんですね。でもそんな有名なワイバーンでも勝てなかったって、どんな相手だったんですか?」
「ドラゴンさ、ハルキ。その話はまた今度にしよう、そろそろ着くぞ」
馬車は街の南側に入り、水月荘に向かって曲がった。
この後どうするか相談した二人は結局、一旦着替えて集合する事にした。まだ日は落ちる気配もない時間だがドーラの勧めた酒場は昼からずっと開いているらしい。
少しラフな格好になったハルキが言われた店に付いてビールを飲みながら待つ。
店内では早めに仕事を終えた冒険者達が既に盛り上がっている。今日の稼ぎが良かったのか、普段からこうなのかわからないがかなり良い調子だ。
(絡まれたら面倒だなぁ)
そんなハルキの心配をよそに特に絡まれる事もないままドーラがやってきた。
「それでハルキ、家はどうするつもりだ?」
「金額はまぁなんとかなるとは思うんですが、管理をどうするか、やっぱり迷います」
「ハルキの田舎に奴隷はいたか?」
「いえ」
実際の所ハルキの家にはスライムがいるだけで人すらいないのだ。
「ハルキはまだまだ強くなる。メイドでも構わないが、冒険者でもそれなりの立場になると奴隷の方が良い場合もある」
「ワイバーンもでしたけど奴隷も見た事ないんですよね。システムも正直分かってません」
「そうか。じゃあそこからだな」
ドーラが奴隷について説明を始める。
奴隷は契約魔法により守秘義務が破れなくなる。この国の奴隷は主に犯罪奴隷と金銭奴隷の二つに分かれる。犯罪奴隷は基本的に普通の人間が買う訳ではなく、炭鉱や開墾などの業者が買う。罪の重さにより数年から数十年の契約で、要は犯罪を犯した者が懲役の期間に奴隷として働かせられるという形だ。
扱いは悪く、稀に死ぬ者も出るが奴隷といえどもわざと殺すのは犯罪である。また、最低限の環境は整えていないと買う事はできない。
金銭奴隷の方は、家が貧しかったりして借金のカタにされた者、孤児が孤児院を出た後などがある。
こちらも基本的には年契約みたいなものだが、給与を支払う義務がある。例えば奴隷商で一千万の奴隷で五年奴隷契約なら、奴隷商に一千万支払った後に別で年間二百万を払う必要がある。同じ一千万の奴隷でも十年奴隷契約なら年間百万の給与で済む。
中々ややこしいが結局良い奴隷は給与が高くつく様だ。
「実際信用出来るメイドに来てもらうのは結構面倒だ。私の場合は知り合いが王都に引っ越す時に譲り受けたしな」
「うーん、家を借りて奴隷も買うとなると流石に金額的には厳しいですかね」
そうは言いながらもハルキは街に来てからかなりの額を稼いでいる。ドーラも街に来てからのハルキの稼ぎはおおよそ把握している。
「多分ハルキなら今のペースで一年もやれば家を買ってもいけるだろう。とりあえず庭付きの賃貸を借りて奴隷を一人買って、金が貯まったら家を買うと良いと思う。
ハルキは危うい所があるからメイドだとまだ心配だからな」
奴隷がハルキが予想していたよりは倫理的に許せるものだったので素直にドーラの意見を受け入れる事にした。
「ハルキ、なんなら今から奴隷を見に行くか?家は近いうちにいい所を勧めてやるよ」
外はまだ明るい。二人共昼から飲んではいるがまだ酔うほどでもない。
ハルキも奴隷がどんな風に売られているのか知りたかったのでその誘いに乗り、酒場を後にして乗合馬車へと向かった。




