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アラフィフになったキョロ充、異世界に行く  作者: アカピロ
第三章 キョロ充、冒険者に就職する
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第15話

いつも読んで頂きありがとうございます。

 まだ日の落ちる前から二人の歓迎会は始まった。


「改めてエミリー、グウェン、しばらくの間よろしくね、カンパーイ」


 まだ客のいない水月荘の食堂兼酒場で二人の歓迎会は始まった。


「それにしてもハルキには驚く事だらけだよね」


「そうなのです。バニラとライムの凄さはこの前キノコの時に思った以上だったのです〜」


「ハルキは四羽も続けて従魔増やすしさ。バニラとライムもいるのに。他にもマジックバッグにポーション。あのポーションもおばあちゃんが作ってくれた物なの?」


「いや、レシピはおばあちゃんだけど作ったのは自分だよ」


「ポーション作りだけでも余裕で良い暮らし出来そうだね、全く。なんで冒険者やってるんだって思っちゃうよ」


 冒険者になった理由。

 ハルキは思い返す。アニャと半兵衛の本に書かれていたいくつかの事。

 一年はこのまま森で暮らして強くなる事。街に出る時は冒険者になった方が動き易い事。元の世界に帰る為には強くなる事。自分の帰る方法を自分で知る事。そして何より好きに生きる事。

 まだ何もわからない。


「ああ、とりあえずおばあちゃんが冒険者になって強くなれって言ったからかな」


「ハルキのおばあちゃん、何者なのよ一体。元は有名な冒険者とかなのかな〜」


「その辺は何にも聞いてないんだよね。亡くなる前に言い残した事だから」


「そっか、もう亡くなってるんだ」


「うん、でも気にしないで。そんな事より二人はサノの街出身なの?」


「私達二人はサノから二日位王都側に行った所にある村の出身なのです〜。二人共兄が家を継いでるので一緒にサノに出てきたです〜」


「私は弓と剣が結構使えたし、グウェンは魔法が得意だったからね。工房みたいな所より私達には冒険者のが向いてるかと思って」


「村の警備をしていた冒険者に色々教えてもらってたです〜。警備や狩りの仕方とか。それでその人知り合いのドーラさんを紹介してもらったです〜」


「へー、それでドーラさんの事良く知ってるんだ」


「その頃はドーラさんはもう副ギルドマスターだったです〜」


「えっ、ドーラさんって副ギルドマスターなの?」


「なんだハルキ、知らなかったの?組んでたパーティー解散した時にギルドマスターに頼まれて副ギルドマスターとして職員になったんだよ」


「そうなんだ、受付やってるって事しか聞いてなかったよ」


 ハルキが街に来る前、ドーラの父ドランに聞いたのはそれだけだったのだ。


「そういえば二人は今どんな所に住んでるの?ドーラさんに家を借りた方が良いって言われてるんだけど」


「私達は二人で小さな一軒家借りてるです〜。三年前、最初にこの街に来た時は二人並んで寝るのがやっとのアパートだったですが、少しずつ稼ぎも良くなって来たので一年前に引っ越したです〜」


「ハルキは一人だけど従魔もいるから一軒家のが良いかもね。アパートでも従魔ありな所も多いけど、これから大きな魔物もテイムするかもだし。ルーキーだけどハルキならお金はすぐ稼げそうだし」


「確かにバニラ達がいるから一軒家のが良いかな〜。風呂あり庭付きだとどのくらいするんだろ」


「お風呂ですか〜。うちは身体を洗う場所はあるですけど、お湯をはって浸かるのは公衆浴場に行かないとです〜。それで三部屋とリビングと少しだけ庭があって月に20万てとこですね〜」


「そうだよハルキ。お風呂にお湯を溜めてってなるとメイドか奴隷がいないと。一人で冒険者やりながら帰ってお風呂の準備するって相当キツいよ〜。それでもお風呂付きが良いなら家賃で30万からって所かな」


「30万にメイドか奴隷、か。スタッフとかバイトなら雇った事あるけどメイドと奴隷は無いな〜」


「ん、ハルキ何が」


「あっごめんこっちの話。奴隷って見かけた覚えないけど結構いるもんなの?」


「パッと見では中々わからないと思うよ。奴隷持ってる人はお金持ちだから人目につく様な場所だとそれなりの格好させるし。山奥なんかの採石場とかだとどんなかわからないけど」


「商人とか秘密の多い人は契約魔法で裏切らないからって理由で奴隷使う人も多いです〜」


「そっか。その辺も含めてまたドーラさんに相談してみるよ」


「ドーラさんなら色々良い情報持ってると思うよ、あの人顔広いから」


「そもそもドーラさんに家用意しろって言われてるしね」


 その後も二人が過去にやってきた採集や討伐、護衛などの話をしているうちに徐々に客の増えた店は既に満席になっていた。

 忙しそうに駆け回る従業員の向こうの入口から大きな声が上がる。


「おい、五人だ。すぐに酒を持って来い」


 見るからに柄の悪い冒険者風の男の声が響いた。


「すみません、今満席でして」


 店主の娘が申し訳なさそうに答える。


「あぁ?誰か帰らせりゃ良いだろうが。俺らは疲れてるんだ。早くしろよ」


「そう言われましても、そんな訳には」


「なんだよ使えねぇなー。オイッ、そこの小僧、お前ら帰れ」


 男がハルキ達に向かって言う。ハルキは一瞬ビクッとしてエミリー達を見る。エミリーは男を一瞥すると


「悪いが私達もまだ楽しんでるんでね。お断りだ。自分達が帰れ」


「それなら小僧だけ帰らせりゃ良い。一緒に楽しもうや」


「それももちろんお断りします〜。疲れてるなら帰って寝たら良いです〜」


「ちょっと二人共、そんな相手を怒らす様な言い方しなくても」


「おい小僧、俺らはさっき王都からの護衛で着いた所だ。わかるだろ?その意味が」


 ポカンとするハルキ。グウェンがそれを見てハルキに言う。


「王都から来たそれなりの冒険者だって威張ってるんですよ、ハルキ」


「ああ、そう言う事か」


「で、どうするんだ?小僧だけ帰るのか、まとめて帰るのか?」


「ちょっと他のお客さんに絡むのやめてください。迷惑です」


 娘が男を止める。その時


「グルルルルルルー」


 足元からライムを乗せたバニラが男の前に出て低い声で唸る。


「うわっなんだこの狼、お前らの従魔か?やるってのかコラ」


 次の瞬間、男の横をすり抜けたバニラがハルキ達の前に戻って来た時にはライムは男の剣を抱えていた。


 「おい、何しやがる!俺の剣を返せ」


「返すから大人しく帰るです〜。お店に迷惑かけちゃ駄目なのです〜」


「そうだね。もう帰った方が良いと思うよ。私達も席を譲る気はないし。どうしてもと言うなら表で相手になるけど、そろそろ衛兵も来ると思うよ」


「チッ、クソ腹の立つ。剣を返せ。オイッ、行くぞお前ら」


 仲間を連れて店を出る男達。店主の娘がハルキ達に礼を言う。


 ハルキは聞いた。


「エミリーもグウェンも、大丈夫?結構強そうだったけどもしケンカになってたらどうしたの?」


「そん時はそん時だよ。やって負けたら自分が弱かっただけだよ。ハルキがいるから負ける事はないとは思ってたけどね」


「そうです〜、やって負けたら次は勝てる様また頑張るです〜。それにしてもバニラ達はやっぱり凄いですね〜」


 グウェンに撫でられて嬉しそうなバニラとライム。


 バニラがハルキを見てまだまだだな、という顔をした。

 


 


 

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