第13話
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崖の側を飛ぶ鳥は大きなもので体長は二メートル以上ある様に見える。
「あれがスネークバードです〜」
名前の通り、ウネウネと波打ちながら飛ぶ。翼はは大きいが足はなく、地に降りると翼を畳んで蛇の様に素早く這うらしい。
「私達二人でも足場の良い所ならそれなりの数に襲われても問題はないんだけどね。流石にこの崖につかまりながらあの数に襲われると厳しいね」
「うちの従魔なら問題無いと思う。ドーラさんもそれを見越してこの依頼にしたんだろうしね」
「バニラもライムも強いのです〜、すぐ終わっちゃうのです〜」
「それじゃ、取ってきてもらうから俺たちは周りの警戒しとこうか、ってあれ、バニラ?」
ハルキがバニラに目を向けるとバニラは頭にライムを乗せたまま空を見ていた。ただ、そのバニラの見ている方向は、崖でもその周りを飛ぶスネークバードでも無い。
さっき抜けてきた森の上をキッと睨んでいた。
「ウー」
低く唸るバニラ。ライムもそちらに向け尖っている。
「おい、どうしたんだバニラ?今日の目的はあの花だよ?」
「ワンッ」
着いて来いと言う顔で促すバニラ。
「ちょっと言う通りにしよう、俺もわかんないけど、バニラに何か見えてるのかも」
「うーん、とりあえずそうした方が良さそうね」
「はいです〜」
森の上の空を目で追うバニラ、ライムもその向きに尖る。
バニラ達の視線の先を追った三人のうちエミリーが先に気がついた。
「バニラ、鳥かなんか飛んでる?」
「ワン」
「えっ、見えないです〜」
「あの先になんか影みたいなのがたまに見えるけどあれかな?」
ハルキが声を出した瞬間にバニラは崖沿いに走り出した。慌てて着いて行く三人だがあっという間に離される。
数十メートル行った先でバニラが岩を踏み台に空へ跳んだ。その背中から次にライムが飛び出した。ソフトボールくらいの体を矢のように尖らせて高く上がり、
「デロデロン」
と音がしそうな感じで巨大な絨毯の様に体を薄く広く広げた。
「バスッバスッババッ」
広がったライムに何がか突き刺さる。駆け寄る三人。すとんとライムが落ちてくる。
「ワンッ」
わかるだろ、ハルキ、という顔でこちらを見るバニラ。
足元では少しずつ縮んできたライムにカラス程の大きさの鳥が数羽、首まで埋まった状態でもがいている。
「ワンッ」
早くしろとバニラが吠える。ハッと気がついたハルキはポーションを取り出し、振りかけてから一羽を手に取り急いで波長を合わす。
「テイム」
成功した様だ。バニラが早く、次もやれとこちらを見る。エミリーとグウェンにもやれという顔をしている。
「エミリー、グウェン、テイム出来るならやってみて」
ハルキがポーションを二人にも渡す。
「あ、あぁ。スライム以外は初めてだが」
「私はやった事ないですけど、やってみます〜」
少し時間はかかったが、エミリーもグウェンもテイム出来た様だ。その間にハルキは最初の一羽と合わせて四羽のテイムを終わらせた。
「ワオーーン」
捕まえた六羽を残さずテイム出来た事を褒める様に吠えるバニラ。グウェンに聞いても名前がわからなかったのでハルキが鑑定すると、この鳥の魔物は雲切隼という魔物だった。
それを聞いたグウェンがびっくりして、
「これが雲切隼ですか、速すぎて飛んでる姿を見た人は殆どいないって聞いた事あるです、てか人生初のテイムでこんなレアなのしちゃったです〜」
「私もだよグウェン、スライムの次に数年経ってこれってかなりヤバいよね」
よく考えたらハルキもテイムしたのはスライム以外では雲切隼が初めてである。そんなハルキの肩に元に戻ったライムがスルスルと登ってくる。
「おー、ライムも凄かったな〜。捕まえるだけじゃなくて全部殺さずにってあの速さじゃ他の誰にも出来ないよ〜」
頭を撫でて褒めるハルキ。ライムは嬉しそうにデロデロ伸びている。
「でも、この子達どうするの?私達がこのまま従魔にして良いもんなの?」
「それで良いよ、バニラもそうさせるつもりだったみたいだし」
「ワン」
「本当ですか〜、大切に育てるです〜」
「私も〜」
「俺ももちろんだけど四羽は多い気がするな〜。一羽はドーラさんにテイムして貰うとして、後はまた考えよう。あっ、そう言えば採集予定の花の事忘れてた。バニラ、ライム、取ってきてくれる?一箇所の花、全部取らずに少しずつ残してきてね」
サッと動き出す二匹。スネークバードも崖に登る途中で何羽か倒して下まで落としている。
二、三往復したバニラ達は見える範囲の花を粗方取ってきた。
「ハルキ、どうする?持ち切れなさそうだ。スネークバードは素材としてかなり良い値段が付くから出来るだけ持って帰りたいんだがな」
「ああ、あの位ならマジックバッグに入るから問題ないよ」
「えっ、ハルキマジックバッグもってるんですか〜?」
「うん、ばあちゃんが大事にしてたやつ、貰ってきてて」
アニャをばあちゃん扱いしているのでまるっきりの嘘ではない。
「これだけ入るなら結構なもんだね〜」
「ああ、あんまり持ってる事広めないでくれ。ドーラさんにはバレてたけど」
「もちろん黙っておくよ。この容量のマジックバッグ持ってるGクラスは流石に目立ちすぎるから、ドーラさんも早くランク上げろって言ってるのかもね」
「それもあると思うです〜」
「さあ、目的の採集は終わったし、今日はこの位にして帰ろうか」
「そうするです〜、帰ってハルキの歓迎会するです〜」
「そうだね、思ってたより早く終わったし街に帰ってハルキの歓迎会だね」
「いやいや、俺の為に二人が来てくれたんだから、二人の歓迎会でしょ」
軽やかな足取りで帰路に着く一行だった。




