第6話
あれから三日たった。ハルキは順調に依頼をこなしていた。
今日の晩はドーラとの約束の日だ。少し早めに採集を終えてギルドに向かう。
「おかえりなさい、ハルキさん」
いつもの天然受付嬢が声をかけてくる。
「買取りお願いします」
「今日も変わらず、ランクからは想像できない量ですね。少し待っててくださいね〜」
「はい」
査定が終わり金を受け取り、奥にいるドーラに声をかける。
「ドーラさん、今晩どうします?」
「あぁ、宿まで迎えに行くから待っててくれるか。なるべく小綺麗な服装にして欲しい」
「わかりました。デートっぽい格好しておきます」
笑顔で言うハルキ。周りの視線がドーラな集まる。天然受付嬢もじっとドーラを見る。
「何見てるんだお前ら、仕事しろ。ハルキ、とにかくそう言う事で」
ギルドをを後にして宿に戻る前に街中にある買取りの店に向かう。ハルキは狩った魔物や動物は今のところはギルド外で売っていた。
ランクはある程度まで上げておきたいが、まだまだ目立ちたくない。なのでドーラが初日に言っていた店に持ち込んでいた。
「毎度、買取りですね」
「はい、今日はこちらをお願いします」
「毎日ありがとうございます。それにしてもいつも状態が良くて助かってます。これなら良い値段付けれますよ」
「ちょっと聞きたいんですが、小綺麗な服ってどこで売ってます?」
「そうですね、多少高くても良いなら街の北の方が色々ありますね。女性でも誘うんですか?」
「はい、ちょっと大人の女性と約束があって。持ってないもんで慌てて買いに行こうかと」
「そうですか。それならやっぱり北のが良いかと思いますよ。北の東門側にお店集まってるんで」
「わかりました、この後行ってみます」
買取り店を出て宿に戻り着替えて買い物に出る。バニラとライムは流石に留守番だ。行ってみると確かに街の南側よりも高級な店が並んでいる。
目星をつけて入り、気に入ったものを数点買い宿に戻る。急いで風呂に入りさっき買ったばかりの服に着替えてドーラを待つ。
「待たせたな」
凛としたレディがそこにいた。元から整った顔立ちである。スタイルも良い。しっかり化粧をしたら中身はアラフィフのハルキですらドキッとするような色気を漂わせている。
「ドーラさん、綺麗すぎて誰かと思いましたよ。びっくりです」
「いきなり照れる様な事を言わないでくれ。こんな服着るのも久しぶりだから動きづらくて仕方ないよ。ハルキも結構まともな服持ってるんだな、よ、良く似合ってるぞ」
「いや、さっき慌てて買ってきたんです。大丈夫ですか?」
「新人冒険者ならそれで充分だ。本当似合ってるし。それじゃ行くか。従魔は部屋か?」
「はい、今日は留守番する様に言ってあります」
街を歩く二人。時折すれ違う人が振り返る程見栄えは良い。
「ドーラさん、どこへ行くつもりですか?」
「今日は北の方の店に行く。少し遠いから大通りから乗り合い馬車に乗ろう」
この街には元の世界のバスの様なルートの決まった乗り合い馬車がある。それなりの運賃はかかるのでお金がない人はほぼ乗る事はない。
安くて荷台に詰め込まれるような業者もあるが、殆どは中は綺麗なものだ。
しばらく歩いて馬車に乗り、北へ向かう。八人程乗れる馬車は半分程の席が埋まっていた。しばらく揺られて街の北側に入り、かなり進んだ所で馬車を降りる。
立派な門の奥に落ち着いた雰囲気の建物が佇む。ハルキの腕に手を回して歩き出すドーラ。
扉の前に着くと中から店員が出迎える。
「いらっしゃいませ、ハルキ様ドーラ様」
何も言わずとも流れるように個室に案内される。席に座り室内を見渡すと高そうな装飾品が並ぶ。
「ドーラさん、高そうなお店ですね。でも自分が今日は払いますんで」
「その話は食べ終わってからで良いさ。こういう店は初めてか?」
元の世界ではかなりの値段の店にも行ったが、こちらにきてからは初めてだ。
「いえ、初めてです」
「そうか。わかる範囲でマナーを守って食べてくれ。ダメな所があればその都度直していく」
果実の風味の混ざった食前酒からのコース料理がスタートした。




