第3話
「昨日の午後か。聞いているより早いな。この時の担当の者はいるか?」
「私ですが」
「少し話を聞かせて貰いたい。こちらへ。後の者は仕事に戻ってもらって結構だ」
「さて、彼について何か記録以外の事で話したか?」
「特にありませんが、こちらに来るのは初めての様でした。初めての人用の地図を渡したのと、どこかで会ったら飲もうねと軽く誘われた程度です」
ほんの少し見栄を張っている。
「ふむ、それで真っ直ぐギルドに向かったと思うか?」
「多分、行ったと思います。記録にある通り、冒険者になりに来たと言っていましたので」
「そうか。仕事の邪魔をしてすまなかったな、もう戻ってもらって結構だ」
立ち上がり門の詰所から出た男は守衛長に見送られて待たせていた馬車に乗り込む。御者に一言かけると、すぐにギルドへ向かって走り出した。
ギルドの正面から男が入ると周りは急に静かになり、前に道が出来る。カウンターの奥の方から立ち上がったドーラが見習い受付嬢を追いやり対応する。
「用件は?」
「大した用ではないが、人を探している。ハルキという、狼とスライムを連れた若い男だが心あたりはあるか?」
「あってもなくても内容によるね。ギルドは独立してる組織なもんで」
ドーラが不敵に笑いながら答える。
「まあ、そう構えるなドーラ。うちの主が先日世話になってな。ただ単に礼をする為に探しているだけだ。そんな用事じゃなけりゃ正面から来る事はない、わかってるだろう」
「それはそうだが、ここで長々とする話でもない。奥の部屋に案内する」
歩きながらドーラは考える。ハルキは昨日街に入ったばかりの星の民。まだ自分しかその事は知らないはずだ。領主に伝えるのは少し様子を見てからにするつもりだったのに、先に向こうから来た。何故だ。
だがコイツは領主の娘の配下だ。領主への連絡はそもそも領主に会う事の出来るギルドマスターを通してするつもりで、なるべく他の人間には気づかせたくない。とりあえずコイツの言っている事が本当かどうかうまく聞きだすにはどうす
「あっ、ハルキさーん、おかえりなさい、初めての依頼どうでした〜?」
後ろでバカの声がした。




