第7話
冒険者ギルドに入るとその中は思ったよりも閑散としていた。
手紙の事もあるがまずは冒険者の登録からと、受付に進む。
「いらっしゃい、用件は?」
「あっ、冒険者になりたいんですが、ここで良かったですか?」
「新規さんですね。それじゃこの紙に必要事項書いてください。わからない所はとりあえず空欄で」
名前と年齢。出身地と職業。
ハルキがカウンターで書いていると、1つのグループが隣のカウンターに来て、依頼達成の報告をしていた。買取は街でする、と答えて証明部位だけらしきものを入れた袋を広げていた。
どうやら討伐の依頼を受けていたようだ。
一人がハルキの方を見て、
「兄ちゃんルーキーか?従魔連れてる割に剣も良さそうなの持ってんな〜。簡単に死ぬなよ〜」
と声をかけた。
「はい、ありがとうございます」
素直に礼を言うハルキ。年齢はとりあえず18才にして出身地は空けておく。職業は剣士とか魔法使いとかテイマーとかいくつか選択肢があったが、とりあえずテイマーにしておいた。
「書けました」
「はい。出身地は空欄だけど、どこか遠くから来たんですか?」
「この街から南に七日くらい行った山奥にある名もない小さな村なんで」
「ふうん、そんな所にも村があるんだ、まぁでもサノの領地には間違い無いし、サノ南部辺境にしときますね」
結構緩い部分の様だ。
「試験は今日受けます?今なら空いてるからすぐにいけますよ。試験料が、学科一万、実技一万、両方受かったら登録料が二万の合わせて四万ジェニー。それぞれ何度でも受けれるけど、落ちたら一週間空けなきゃいけないし、その度に一万ずつ。どうします?」
「受けます」
「はーい、それじゃまずは学科からね、一万ジェニー頂きます」
ウワノの村で貰った銀貨は通行料で使ったので金貨で支払いをする。
「金貨払いかー、羽振り良さそうですね」
「いやいや、田舎者なんでなけなしの、ですよ」
「まあ、登録まですれば四万いりますしね。それじゃあそこのテーブルでこの試験やってきて貰って良いですか」
テーブルに着いて問題を見ると前の世界だと小学校の低学年で習う程度の計算問題と、簡単な文字なんかの問題があった。
サクサク終わらせてカウンターに行って渡すと、
「はい、学科合格です。実技も続けて受けられますよね?」
「はい」
「それじゃ一万と、えーっと手が空いてるのはっと」
周りを見渡す受付嬢。
「ドーラさーん、この人、ハルキさんの実技試験お願いしますー、私まだ見習いなんでー」
「しょうがないね〜、わかったよ」
パッと見だと30才位の女性が気だるそうに立ち上がってこちらに来る。
どうやらこの人がウワノ村の村長の娘のようだ。
この世界だと落ち着いた女性になる年齢だが、中身はアラフィフのハルキにとってはまだまだ若い子みたいなものだ。
「ハルキだっけ、ドーラだ。着いておいで」
訓練場の様な所に案内されとりあえず剣術ね、と木剣を渡される。
「準備はいい?ハルキはテイマーだな」
「はい、お願いします」
礼をしてすぐに打ちつけて来るドーラ、結構鋭いがなんなく防ぐハルキ。数合打ち合い攻めに回ろうかとした時に
「はい、終了」
と剣術は終わった。
次に魔法の試験。的を倒すだけのの力のある属性を放てば良いらしい。
「こんな感じで」
ドーラが見本を見せる。
火、水、土、氷のの魔法を順番に唱えて飛ばす。威力は抑えてらのかそんなに大した事はない。
ハルキも続けてやって見せる。
大体同じ位の威力で火、水、土、氷、そして雷と光もやっておく。
光は的は倒せなかったが。
「ふーん、光も飛ばせるのは珍しいね、しかもテイマーなのにね」
少しだけ不思議そうな顔をしたドーラは
「それじゃ最後はテイマーね、あそこの木で出来た魔物の模型に攻撃させてくれる?壊さない程度でいいからさ」
「わかりました、バニラ、ライム、やって」
しょうがないね〜って顔をして駆け出したバニラに乗ったライムが模型を襲う。バニラの頭から飛び出したライムが模型を打ち倒し、バニラが首に噛み付く。
「はい、終了」
「バニラ、ライム戻って〜」
「実技も合格。それにしても狼はともかくそのスライム強いね〜。まぁ、スライム連れた冒険者テイマーなんて見る事ないけどね」
「やっぱりそうなんですね。まぁ、気に入って育ててるんで。あっ、そうだドーラさん、後で少し話があるんですけど良いですか?」
「何だい、こんなおばちゃんナンパかい?嬉しいね〜」
「そんな感じですよ、大した時間は取らせないんで」
「それじゃ、登録終わったら食堂で待ってな。今日はもうすぐ上がりだから」
「はい、お願いします」
受付に戻って来ると
「ドーラさーん、ハルキさんの結果はー?」
「合格だよ、とっとと登録しな」
「はーい、それじゃハルキさんはこちらへ」
登録の処理が終わり、受付嬢が奥から戻る。
「こちらがハルキさんのギルドカードになります。今から魔力登録を行いますので、カードを持ったままこの水晶の上に手をかざしてください」
水晶玉か虹色に光る。
「はい、それでは一旦外してもう一度お願いします」
次は青く光る。
「はい、オッケーです。それではカードを貸してください」
受付嬢がカードを持ち、水晶玉にかざす。
次は水晶玉が赤く光る。
「はい、これで魔力登録とチェックも終わりです。初めは見習い扱いなんで皆さんGクラスからです。無くすと結構面倒なので注意してください。細かい事はこちらの手引き書に書いてありますが、それでもわからない事があればいつでもこちらにお越しください。」
ハルキがカードを受け取ると受付嬢が突然大きな声で
「それではみなさーーーん、ここに新しい冒険者ハルキさんが誕生しましたーーー、せーのっ、おめでとーございまーすっ」
と叫ぶと周りの職員や冒険者、依頼者や掃除の業者らしき人までが立ってこちらを向いて拍手しながら口々におめでとうやがんばれよーとか言っている。
どこぞの居酒屋チェーンの乾杯かと突っ込みたくなる気持ちを抑えて恥ずかしさで顔が赤くなるハルキ。何やってくれてんだという顔をして下を向くバニラ。色を薄くして空気になるライム。
こうしてハルキは冒険者としての一歩を踏み出した。




