第38話
レニーとバニラ達の顔合わせが終わり、ハルキが食事を仕上げた時にエミリーとグウェンが家に帰って来た。
「ハルキ、ミーユちゃん、ただいま〜」
「ただいまなのです〜。ハルキ、その子が新しい奴隷ですか?」
「ああ、レニーという。仲良くしてやってくれ。レニー、この二人が一緒に冒険者をやっているエミリーとグウェンだ。
一緒に住んでるのはこの二人だが、後二人、シオリちゃんとサヤちゃんってのがいる。その二人ももうすぐ来るはずだ」
「レニーと申します。よろしくお願いします」
「レニーちゃん、よろしくね。可愛いね〜」
「ハルキは本当に可愛い女の子が好きなのです〜。よろしくなのです〜」
「グウェン、エミリー、レニーは確かに可愛いけど、だからといって買った訳じゃないよ。
アンディさんに雲切隼をプレゼントした代わりに譲ってもらったんだ。
元々ははビワ神国の聖女で、俺に合うだろうからってね」
「「ちょ、ちょっとーー!!」」
「またなんかとんでもない事を言ったです!」
「嫌だ、聞いてない、聞いてない!!」
「ああ、元聖女ってのは秘密にしておいてくれ、狙われる可能性もあるみたいだからな」
「うー、なんでそんな事を話すですか、知らなきゃ話す事も無いのに…」
「グウェン、諦めよう。そしてもう忘れよう、私は忘れたよ、忘れた…」
ミーユも一瞬びっくりした顔をしたが、すぐにご主人様の事だからと思ったのか元の表情に戻っていた。
「二人が顔で選んだみたいに言うから、一応ね。
でもそんな深く考える事もないよ。普通にミーユと同じ様に接してくれたら良いからさ。
それに今日はレニーの他に四組の夫婦の奴隷を買ったんだ。その八人は、田舎に連れて行く迄アンディさんの店で預かってもらう予定になってる」
「それでいつから向こうに行くですか?」
「ドラゴンの鱗の献上とワイバーンの件が終わったら行こうと思う。
簡単な小屋を建てれる程度の資材も注文してあるから、向こうに着いたらすぐに建てて寝る場所には困らない様にするつもりだ」
「そうなんだ。夫婦の奴隷か〜。
私達もまだ行った事は無いけど大丈夫なの?」
「道もかなり整備進んでるはずだし、大丈夫だと思うよ。サヤちゃんには仕事を辞めてもらう事にはなるけどね」
「ハルキが誘って冒険者にしたんだから、ちゃんと面倒見ないとね」
「ああ、わかってるよ」
ハルキは自分の目標の為に皆を巻き込んでいる事を自覚していた。
元の世界にいた頃は、責任を持つ事を避けて暮らしていた。
出来る事は多かったし、人望もそれなりにあったが、どこかに常に逃げ道を用意していた。
親では無く、甥っ子や姪っ子を可愛がる様な感じだろうか。正しく、愛してはいるが、責任は無い。
そういったポジションになる様に無意識のうちに物事を選択していた。やはり、この世界に来てから少しずつ変わっていっている様だ。
その後食事が始まりしばらくするとサヤとシオリもやって来た。
レニーを紹介して、エミリー達と同じ様に今後の予定を伝える。
「ハルキ君、私が仕事を辞めて冒険者としてやっていくのは構わないよ。
でも、今更だけど私やシオリで良いの?」
サヤがハルキに尋ねた。
「もちろんだけど、何でそんな事聞くの?」
「そりゃ、ハルキ君とやっていったら稼ぎも良さそうだし、凄い人達とも知り合えそうだし、私達にとっては有り難い事だけどね。
でも、ハルキ君ならもっと力のある人と組んでいけるだろうし、足手纏いじゃない?
何で私達なの?」
「なんだろう、タイミングもあるけど、この街に来て最初に門でサヤちゃんに会って、何度か話をして。
楽にいれる人じゃないと、続かないからかな。
もちろん実力も買ってるけど、エミリー達とドーラさん以外の冒険者の実力って考えたらよく知らないしね」
少し抜けたハルキの返事になんとなくだが安心したのか、サヤもシオリもこの先もハルキと行動する事を了承した。
その後酔っ払ったグウェンの口からハルキが星の民であり、レニーが元聖女である事が告げられた。
「大丈夫なのれすよ〜。どうせすぐに知る事にになるんですから〜〜。
これで二人も同じ秘密を共有してしまった仲間なのれす〜〜
良いですか〜〜、絶対に秘密なのれすよ〜〜」
サヤとシオリの顔が少し青ざめていたが、ハルキもどうせ話すつもりだったからと二人を治めた。
それから二日後、ハルキはドラゴンの鱗を献上を終わらせて、ドーラと共に城の北門の先でワイバーンと対峙していた。
「ハルキ殿、これが今この城にいるワイバーン達だ」
案内はレイナ姫の部下でドーラの元パーティーメンバーのソータがしていた。
「流石に生きているワイバーンは迫力があります。飛竜もかな相手しましたけど、やっぱりワイバーンは違いますね」
「そうだな。デカさも違うし、何よりワイバーンはドラゴンに近い。
他の飛竜とは一線を画すよ」
「ハルキ、私の相棒だったワイバーンのアオはここにいるものよりもう一回り大きくなっていた。
色もアオだけは違っていたしな。
どうだ、ワイバーンに届きそうか?」
「そう、ですね。バニラ、どう思う?」
「ワオーーン」
バニラの大きな返事に周りのワイバーン達がこちらを見つめる。
「ドーラさん、多分ワイバーンも会うことが出来ればテイム出来ます。
バニラも配下にする自信がある様です」
「そうか。前にハルキに言ったな、今のハルキ達ではすぐに殺されると。
飛竜や地竜をも配下にした今なら違うかも知れない。だが、絶対に油断はするな。
まずは命を大事にしろ。良いな」
「はい、ドーラさん。ありがとうございます。
ソータさんも、色々ありがとうございました。ワイバーン、見れて良かったです」
「ああ、殿や姫に伝えておくよ。
南の開拓に行くらしいね。その内遊びに行かせてもらうよ」
ハルキがワイバーンを見てから更に一週間程後、サノの街を出て南に向かう七頭のランラプトルの姿があった。
ランラプトルを駆るのはハルキ、ミーユ、レニー、エミリー、グウェン、サヤ、シオリ。
夫婦の奴隷はまだ連れて来ていない。ハルキはサバンナの入口に小屋を建ててから呼ぶつもりだった。
センシュー王国の南部にあるサノ領、その中の更に南の辺峡。
サバンナの開拓はこの日から始まった。
読んで頂いてありがとうございます。いつの間にか百話を超えていました。更新バラバラですがこれからもよろしくお願いします。
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