第1話
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ハルキ達がサノから南下してウワノ村を過ぎた時にバニラが吠えて立ち止まった。
「お、バニラ? この辺りなの?」
「ワンッ」
どうやらサバンナからの道がこの辺りに繋がっている様だ。
「よし、道の様子も見たいし行ってみよう」
バニラが森の入口で大きく遠吠えをした。
「ワオーーン!!」
そのままバニラは森の中をさっきまでよりはゆっくりと先導する。その後ろから数百のスライム達が少しだけ通り道を広げながら着いていく。
「ワオーーン」
森の奥から遠吠えが聞こえだす。森にいる配下達もバニラやハルキ達に気が付いた様だ。
「ハルキ、なんか狼とかかなり集まってそうだけど、大丈夫なの?」
少し心配になったのか、エミリーがハルキに聞いた。
「大丈夫だよ。サバンナの生き物で崖から上がって森にいるのはバニラの配下と俺のテイムした魔物だけだから。
それ以外にはこの森にはそんなに強い魔物は元々あんまりいなかったし」
ハルキの言葉にミーユ以外のメンバーは胸を撫で下ろす。
「それより、そろそろ道のある所に着きそうだ」
「ワン」
ハルキの言葉通り、森の先に光が広がり、多くの巨大な生き物が動いているのが見えて来た。
「ハルキ、あれは?」
「トリケラトプスとか、地竜達だね。バニラの配下の象とかもいると思うよ。
思った以上に道作りが進んでるよ」
「ワンッ」
ハルキの予想よりもかなり街道の近くにまで道は出来ていた。このペースなら後数日で開通しそうだ。
ハルキ達が道に出ると魔物や動物達が道作りを止めた。
「ワオーーン」
「ビヨヨーン」
バニラの声にハルキ達の前にズラリと並ぶ。
「うん、みんな良くやってくれてるね。ありがとう。
このまま、街道まで一気に繋げてしまって」
そんなハルキの前にぴょこぴょこと小さな大牙狼がやってきた。
「お、チョコ、お前も出迎えに来てくれたのか。元気だったか〜?」
「クーン」
嬉しそうにハルキに擦り寄るチョコを撫でながら、ハルキはミーユに食事の準備をする様に伝えた。
「はい、ご主人様」
ミーユとレニーがテーブルなどを準備する。その間にハルキは魔物の様子を見てまわり、怪我などがないか確認していた。
ハルキとバニラの配下にはそれぞれ数匹から数十匹のスライムをチームにしてつけているので、怪我などしてもすぐに治しているのだが。
問題のない事を確認したハルキはみんなと一緒に食事を取る。
「ここからなら多分サバンナまでもすぐに着く。
サバンナを上から見たら、今日はそのまま実家に向かおう。
何か聞きたい事ある人〜?」
「はい」
サヤが口を開いた。
「ハルキ君、ここにいるのはハルキ君が全部テイムしてるの? 信用してない訳じゃないけど、暴れたりしないか少し心配で」
「いや、大体半分はバニラの配下だね。
残り半分のうちの八割位は俺がテイムしてて、後はミーユがテイムしてる。
バニラの配下も信頼して大丈夫だよ。
ここにいるのは少しで、後は全部サバンナにいる。
ライオンの魔物とか飛竜は道作りにはあんまり向いてないし。
縄張りは広げてるはずだけど」
「ライオンとかもいるのか…」
「まぁ、行ってみたらわかるよ。
みんなにもかなりテイムしてもらうつもりだから、よろしく」
食事を済ませるとハルキ達は出来たばかりの道をサバンナに向かって進む。
魔物達の作った道は広く、馬車二台がすれ違う事ができる位の道幅があった。
切り開いた時に出た丸太が所々にまとめて置いてある。
そんな道をひた走り、一行はサバンナの上の崖に辿り着いた。
「ここがサバンナの入口だよ」
「「うわー」」
ミーユ以外は初めて目にするサバンナの景色に圧倒されていた。
遥か先にまで広がる広大な土地に多くの生き物がうごめいている。
「ワオーーーーン!!!」
バニラの遠吠えに一部の生き物がこちらに向かって走り出した。
それを見てグウェンが聞く。
「ハルキ、今こっちに向かってるのが配下達ですか? なんかもの凄い数ですけど?」
「いや、この辺はあんまりいない方だよ。先の方が強い魔物が多かったから。
見張りとかにある程度はいるけどね」
「うー、なんかやっぱりハルキはおかしいです」
そんな中、ハルキ達の前に最初にやってきたのは飛竜だった。
空からスーっと降りてきた背中にスライムを乗せた数頭のプテラノドンの様な飛竜。
「おー、お前らも元気にやってるか? よしよし」
ハルキは嬉しそうに撫で回す。
ミーユも自分のテイムしているプテラノドンを撫でていた。
「うー、ミーユちゃんも完全に人外なのです」
眼下にも数百程の魔物や動物が集まった。
「ハルキ、青いライオンとかいるですよ。地竜の群れも」
「ああ、とにかく区別出来る様にスライムを乗せてるから。それはテイムしてるのもバニラの配下も同じ様に。
この先冒険者が来る様になった時に襲われるとまずいからね」
「そうなのですか。なんかもう聞く気が失せたのです。
サヤちゃん、シオリちゃん、レニーちゃん。心を強く持っていくしかないのです〜」
「ちょっと、グウェン! ミーユちゃんはともかく、何で私は入ってないの!?」
「エミリー、私とエミリーはハルキの仲間としてはもう古株なのです。これからまだ家族の奴隷とかもやって来るのです。
下っぱになりたくなかったら私達は頑張るしか無いのです」
「嫌だ、下っぱは嫌だ。
う、うん、頑張るよ、グウェン。ハルキ、私も頑張るからね。
嫌だ、下っぱは嫌だ!」
「何だよ下っぱって…
大事な仲間なんだから、そんな事考えなくても良いから」
「ワンッ!」
「ビヨヨーン」
「クーン」
バニラとライムは自分達が一番の古株で、偉いとアピールしている。
チョコも自分は? 自分は? とキョロキョロする。
「ほらほら、お前らもわかったから」
三匹を撫でて機嫌を取ったハルキは眼下にいる配下達を見る。
「よーし、みんな元気そうだな〜
もうすぐ人が沢山やって来るけど、襲ったりしちゃダメだからね〜
慌てなくて良いから、少しずつ縄張りを広げていってねー」
「ワオーーン!!」
バニラも配下に気合を入れる。
「「グゥオーーー!!」」
地鳴りの様な返事をした魔物達はまたサバンナに散っていった。
「よし、じゃあ実家に向かおう」
バニラが森に入り、少し走ると細い道が出来ていた。
ハルキの実家からドラゴンの鱗を拾った場所を抜けてここまで出来ていた。
日が傾く前にハルキ達は実家に帰り着き、ミーユがレニーを連れて風呂の準備などを始めた。
「とりあえずあんまり広くないから、寝る場所適当に決めるよ。
ランラプトルとかは外の水場で水風呂入らせて」
「「はーい」」
荷物を下ろしたランラプトルやスライム達が順番に水風呂に飛び込んでいく。
バニラとライム、チョコは中で入るつもりなのか向かう様子は無い。
「とりあえずテイムしようか。
バニラ、いける?」
「ワン、ワオーーン」
バニラの一声に反応して森の中から狼や大牙狼達がスライムを咥えてやって来る。
「とりあえずスライムは何匹いても良いからね。出来るだけ頼むよ。
俺はご飯の準備するから」
ハルキはそれだけ言い残すとエミリー達を敷地の端に残して家に入っていった。
「やっぱりハルキは鬼なのです。
明日からもっとやばい事が待っているのです…
サヤちゃん、シオリちゃん、大丈夫ですか?」
「大丈夫っていうか、頭がついていかないけど、やるしかない。ね、サヤ?」
「門番の方が楽だったかもだけど、もう戻れないし…やるよ…」
森の中の家が暗闇に包まれるまで四人のテイムは続くのであった…




