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かたづけと羞恥

ちょっと短めです。

 千賀がガバっと俺に覆い被さる。

 俺は再び千賀を羽織る羽目になった。


「解せぬ」


「山村くんはむーちゃんを煽るのが上手だね」


 会田はケラケラと笑うばかりで助けてもくれない。

 その内に、千賀の息遣いが荒くなってきた。


「会田、悪いがそこの箱か、俺の枕の下から取ってくれないか」


 俺は何を取ってくれという部分をぼかして会田に頼んだ。

 いや、犬の玩具をと言うことが憚られたからだ。

 千賀は興奮しつつあるようで、多分俺のことしか見えていない。


 会田は俺の布団に向かうと、俺の枕を動かした。


「これ?」


 驚いた顔から一転、ニヤニヤしながら千賀愛用のぼろぼろの骨ガムを持ってきてくれた。


「そうです、助かります。おい、千賀」


 俺は会田から受け取った骨ガムを俺の肩に乗った千賀の口元に持っていくと、骨ガムはガッと襲われた。

 会田は手を叩いて大笑いしているが、恐らく千賀は聞こえてはいまい。


「これ買ってきたの山村くん?」


「そう、俺が千賀を連れて選んだんだ」


「え、超面白かったでしょ」


「最初はこいつのお仕置きで連れて行ったんだが、滅茶苦茶恥ずかしがっていた割にこうして愛用しているって訳だ」


 千賀は俺の体温と血液を得て、更に噛みつきたいという欲求も満たされて、夢中で楽しんでいる。

 会田はそんな千賀を下から覗き込んだ。

 会田と千賀の目が合った。


「会田……?! これは、その、違うんだ」


「何が?」


 千賀はぽろりと口から骨ガムを落として、空中でキャッチした。

 会田はニヤニヤとして千賀を見ている。

 こいつ、結構サドっぽいところもあるんだな。

 俺は会田に追加の情報を教えてやった。


「あの骨ガムは二代目だ」


「へーぇ」


 千賀にダメージ!


「ちなみに他の玩具もあるぞ。例えば牛革の紐の玩具とかは、千賀から遊んでくれとおねだりされたぞ」


「おぉぉ!」


 千賀に大ダメージ!


「後はな……店員さんには『大型の』『一歳未満の』奴を家で飼ってるという設定で、こいつ自分の玩具の好みを店員さんに話していたりしたぞ」


「え、待って超ウケるんだけど」


 会田は腹を抱えて大笑いし、耐えきれなくなった千賀は自分の布団に俺の掛け布団を持って入って丸まった。

 自分の巣に籠ったらしい。

 ちなみに、ちゃんと骨ガムは持って行った。


「ちなみにあれ俺の掛け布団な」


 俺が追い討ちをかけると、布団がぷるぷると震えている。

 会田は吹き出してずっと笑っていた。


 俺は千賀をいじめすぎたかなと思って、少し経ってから布団の塊に向かって、


「千賀。まだお前の食事が済んでないだろ。俺も付き合ってやるから、さっさと食べ終わって話をしよう」


 そう、すっかり忘れられていたが、今日は教授の手がかりを会田が持ってきてくれたのだ。

 千賀は「本当か?」と布団の中から聞くので、俺は「何をしてほしい?」と聞くと、「俺の腕の中にいてほしい」と言うので、「出て来い」と布団から引き摺り出した。


 千賀は俺と手を繋げて上機嫌でソファに座り、俺は千賀の上に座らされた。

 会田は一連の流れを「ご馳走様です!」と拝んだ後、ずっと思い出し笑いをしている。


「千賀、この椅子状態は恥ずかしくないのか?」


「何故?」


「いや、そうか」


 千賀は既にこの状態に慣れてしまって、恥ずかしさも感じないようだ。

 会田は、「これは末期ですね」とニヤニヤしている。

 俺は千賀に抱き抱えられながら、千賀の食事が終わるまで会田の視線に耐え続けた。


「はい、終わり! 羞恥プレイ終わり!」


 俺は千賀の食事が終わるや否や、千賀から解放されようと動き始めた。

 しかし千賀は俺を離そうとしない。

 仕方ないので俺は、


「お前が好きな姿勢で話を聞くでいいから。まずは片付けしないと」


 と千賀を焚き付けて食器を片付け始めた。


「血は俺が洗う」


 千賀は血の入った容器を洗面所に持っていき、綺麗に洗ってからエタノールで消毒していた。

 会田はその様子を見て頷いていた。

 それでいいらしい。

これは末期ですねぇ

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