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ほしと連絡

 俺はふくさと千賀に向き直った。


「どういう風の吹き回しだ?」


「俺にも分からない。俺は父さんの言うことを伝えただけだ」


「そうか、それで塵紙って何だ?」


「さぁ……? 雑紙のことか?」


 それは千賀も分からないようだ。

 俺はスマホで調べてみた。

 検索では、[ティッシュやトイレットペーパーの代わりに使われていた]とあった。

 つまり、教授は神保に尻拭いを求めている?


「教授は何か他に言ってたか?」


「いや何も」


「何か聞き出せたりするか?」


 俺の言葉に、千賀はふくさを掴んで広げてみた。


「今は感覚を切っているようだ。話す気は無いのだと思う」


「教授、随分と勿体つけてくれるが、日曜日になったら全部聞かせてもらうからな」


 俺はそう言い残し、風呂に入りに行った。


 風呂から出ると、千賀が待っていた。

 そして入れ替わりくらいの速度で即入っていった。


「早すぎる」


 俺は髪をタオルドライしながら、ポイポイと風呂の手前に置かれる服を眺めていた。


「そうだ、もういっそのこと星にも連絡しよう」


 俺は突然で悪いかなと思いながら、星に電話をかけた。


「もしもし山村くん? 最近どうかな」


「もしもし、星さん。今大丈夫ですか?」


「大丈夫。それで? 千賀くんも元気?」


「あのお店に通うようになり、やっと飢餓状態から脱しましたね」


「それはよかった。それで、何か用かな?」


「今週末、千賀の親である教授に招かれていましてね。何か気をつけることとかあるかなと思って」


「教授が? お土産持ってく?」


「お土産?」


「そうだ! 行く前に店に寄ってきなよ。あれおいしいって言ってたもんね。きっと教授も喜んでくれるんじゃないかな?」


「えっ、なんか、えっ」


 俺は急な話の展開についていけなくなった。

 多分教授との邂逅はそんな穏やかだったりするものではなさそうなんだが。


「じゃ、店にも言っておくから。またねー」


 そうして一方的に電話は切れてしまった。


 俺は途方に暮れながらふくさを揉んでいた。


「ふくさー、教授は千賀がお土産持ってったら喜ぶと思うか?」


 ふくさは少しの沈黙の後、「キュイキュイ」と鳴いた。


「喜ぶのか? それならやっぱ招かれた以上は普通手土産持っていくよな」


 ふくさが踠いて俺の手から逃れようとするのがかわいくて、俺はついついもっと揉みたくなったが、可哀想だなと気づいて巣に戻してやった。


「ふくさ、俺の癒しに付き合ってくれてありがとな」


 しかしまたふくさは俺の手から離れようとしない。

 俺はこれはもう少し触っていていいのかなと思い、「ここがいいか? ここがいいのか?」とふくさの腹を暴いて気持ちのよさそうな場所を掻いてやった。


「父さん……?」


 いつの間にか千賀が見下ろしていた。

 ふくさは俺にされるがままだ。


「山村。父さんへのそれはセクハラだ」


 千賀はいつになく真剣な表情で俺をそう諭してきた。

 俺はふくさを見た。

 ふくさは千賀を見ている。


「駄目です。山村は俺のものです!」


 俺は千賀にふくさを取り上げられてしまった。

 掴まれたふくさはバタバタとしていたが、その内に観念して千賀の肩に掴まっていた。


「山村、いいか。俺達は人を襲う化け物なんだ」


 千賀が俺に説教をしようとしているようだが、俺はそんなことはよくよく知っている。


「そうだな。それがどうした」


「このふくさ……は、父さんの媒体だ。つまり、父さんを分けて作った危険な存在だ」


「そんなこと言ったらお前のほうが危険だろ」


「ゔっ!」


 千賀は俺に論破されて撃沈した。

 この男、レスバが弱過ぎる。


「じゃあ、お前が撫でればいいじゃないか」


 俺がそう言うと、千賀とふくさは顔を見合わせた。


「やりません!」


 千賀は一方的に視線を切って、そう吐き捨てた。


「でさ、今星に電話してみたんだが、日曜日に店に寄ってお土産買っていけばって話になった」


「へ?」


 千賀は本気で理解できないという顔をした。

 そうなるよな。


「考えてもみろ。お前は教授を父さんと呼ぶし、その教授が俺たちを家に招いているんだ。俺だってお前の実家に行く時はお土産を買って行っただろう。適当に玄関の隅に置いただけだったけど」


「一理あるな」


 千賀も一応は納得してくれたようだ。


「だから、今の内に店に電話しておくのがいいんじゃないかなと思うんだが」


「それは……」


 千賀はふくさを見た。

 ふくさはパタパタと俺の方へと飛んできた。

 かわいいな。


「分かった。電話する」


 そうして千賀はあの店に連絡を入れた。


「折角だから、店で軽食を摂ってから父さんのところに行くことにした。だから、16時頃に店に行くようにしたい。その後、移動と山村の夕食を含めて、20時前に◯◯駅に到着するというのはどうだろうか?」


「いんじゃないかな。ところで、千賀はニンニクとか苦手なのか?」


「我々は人間の食べ物は全般的に苦手だ」


「そうか、残念だ」


 俺があの時、生ニンニクで腹を痛めたのは無意味だったらしい。


「じゃあ食事は明日か」


「そうしたい」

星 普通の感覚なのか……?

ラスボスの家にお土産持っていく主人公、おるぅ?

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