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私たちは、あなたの輝かしい過去を一冊の本にし、夢を通してお見せします。  作者: 夢乃めちあ


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エピローグ

★主な登場人物★


・ベル (本名 ???)

現代人。鈍感な本の書き手/164cm


・来栖恭介

未来人。爽やかな医者/177cm


・百目鬼弓月

未来人。真面目な護衛兼リーダー/185cm


・七彩七海

未来人。チート級つよつよギャルの護衛/155cm


・服部半蔵

過去人。純粋な心の忍者。護衛/172cm


、若王子王子

未来人。七海の兄。自称天才・実際天才/167cm


・黒羽フリル

未来人。洪水のように泣く。皆のサポート役/158cm


・沖田総司 ※この作品では女性※

過去人。真面目な剣の達人。護衛兼サポート/172cm

「ベルー? 朝だぞー」

「ベルっちおはようするっスよ〜ウチのきゃわいいお顔を見なくていいんスかーっ?」


「うぅ……からだ重い、だるい、つらぁい〜〜〜お布団さんがね、私を心配して離してくれないの。困っちゃったよう」


 目覚めてから一週間が経って、キョウとナナ、沖田さんが運動したり、元気になるお手伝いをしてくれたけど……。


 朝起きるのがつらいよう。


「お布団さん、ベルっちは任せるっス! だから離してっスよ〜」

「お布団さん! ベルを守ってくれてありがとな! え? また夜に待ってるだって? 了解した。ベルに伝えておくな!」


 ああ……二人がお布団さんを説得しちゃった。

 もうこの言い訳使えないじゃん!


 ナナがお布団をくるくると巻き取りながらにっこりして言う。


「ベルっち! お布団さんが離してくれたっスよー!」


「おはよ、ベル」


「キョウ、ナナ、あのね、今度はね、枕さんが心配してるの。頭を離してくれないの」


「こーらっ。枕さんはそんなこと言ってないって言ってるぞ!」


 キョウが私を抱っこして無理矢理起こしてくれた。ああっ寝てたい! だるい! 動けないのーっ!


 でもキョウがいる……ふふふっ。


 私は嬉しくなってむぎゅうってして、「おはよっ」って言ったらまた照れ照れしちゃって、ベッドに私を落としちゃった。ちょっとおお!


 もう、照れすぎなんだからっ!

 いーじゃんっ。ぎゅってしたかったのにぃ。


 ナナは、もう一度「キョウ兄、ベルっちをお姫様抱っこするっす!」と私を持ち上げて渡す。  


 わ、渡された……! 

 キョウは受け取ってくれた。ホッ……。


 私は"むぎゅ再チャレンジ"をしたら、「べーるっ? こらこら」って言ったけど、受け入れてくれてた。

 んーうれしっ♪ でも真っ赤を超えてるよ? 

 ……何色?


 そして、ナナはベッドを綺麗に整えてくれて、小さいお布団にいるキョウうさとベルうさも座るようにして起こしてくれた。「うさっちもおはよっス」って撫でてる。


 このシーン撮影したいくらいかわいい!


 照れ照れ照焼きになったキョウを見て「キョウ兄! 焼き加減最高っスね!」って言ってから、キョウの背中を押してリビングに無理矢理連れてった。ナナの力すご……!


 あっ大変! 大事なこと言ってなかった!


「キョウ、ナナ、おはようっ! 起こしてくれてありがとうっ」


「お布団さんの説得なら任せるっス!」

「俺も得意だから明日も頑張って起きような」


「う、うん……。あ、あのね、でも私、嘘ついてたの。お布団さんが離してくれないんじゃなくて、私が起きれなかったの……」


 人のせい、じゃなくてお布団さんのせいにしちゃったから正直に言わないと!


「ははっわかってるって」


「えっ! そうだったんスか! ベルっちのお布団は寝心地が良いから魔法のお布団かと思ってたっス!」


 ナナー! 信じてたの⁈


「嘘つきはお仕置きっスよ!」


 ナナが私のお腹をくすぐってきた。キョウにお姫様だっこされてるから、私が「ひゃあああっくすぐったーい!」ってバタバタすると怒られるのは理不尽にナナだ。


「こらっ!」って言われて、ナナは「な! にゃにゃぁぁ〜〜キョウ兄のいじわるっスぅぅ」と走ってく。


 甘えんぼレベルマックスのナナは、フリルさんにぶつかった。


「あらっ? 七彩様ったら今度はどうしたのです?」


 フリルさんはくすくす笑いながら、ナナのやわらかほっぺをちょんちょん触ってた。


「フリルさん、おはようっ!」

「おはよう。フリルさん。眠れたか?」


「ベル様、来栖様、おはようございますですのよ。あら、ちょうど良いですわね。ベル様、朝のスキンケアを始めましょうですわ。沖田様を呼んできますですの。折角ですの! 七彩様もこのままいらっしゃってですのよ」


 ナナが「フリルっち! 抱っこっス〜」って手を伸ばすと、フリルさんは「あら、いらっしゃいですの」って言ってぬいぐるみみたいにちっちゃくなったナナをひょいっと抱っこして沖田さんを呼びに行った。


「キョウ? 今、ナナがちっちゃくなったような気がするんだけど……」

「ベルもか⁈ ナナのやつどうなってるんだ⁈ なんでもありだな!」


「おいおい、騒がしいな」


 足音も立てずにユヅさんが来てびっくりした。鍛えられすぎてる!


「わっユヅさんおはよう! ねえ、ナナが小さくなっちゃった!」

「先輩、ナナのやつ、小さくなるんですね⁈」

「二人ともおはよう。ああ、それはな、七海の不思議現象の一つだ。気にするな」


 気にするよ⁈ てゆーか他にもあるんだね!


 話していると沖田さんが「自分はスキンケアなど必要ない」と拒否しながら、フリルさんにぐいぐい押されて部屋から出されてた。


 私たちを見つけた沖田さんは、はっ‼︎ としてイヤイヤの顔から笑顔に変わる。


「おはようございます! ベル姉さん! キョウ兄さん!」


「沖田さんの挨拶は気持ちがいいな。おはよう!」

「おはよ、沖田さんっ」

「今日も朝飯を作るのを手伝ってくれたんだ。お前ら、沖田さんのサラダ楽しみにしてろよ」


 あっトマトが入ってるんだ!

 トマト探偵の私たちは悟ってしまった。


「ひゃい……。あ、ありがとう沖田さん」

「さんきゅな……かっ体に良いのを選んでくれんだな……」


 沖田さんは腰に手を当てて、お腹を経由して頭のてっぺんから出しているような、めちゃくちゃ良い声で私たちに言い聞かせる。


「ベル姉さん! キョウ兄さん! こんな食べ物に恵まれた環境の中にいるんだ。好き嫌いせず食べて下さい!」


「これでもお前らには手加減してトマトは二個だけにしてあるんだ。絶対食べろよ? ――ところで七海はどこに転がってるんだ?」


 ユヅさんから二発目を食らった私たちは「「すいません」」と頭を下げた。


 ユヅさんは探しても見つからないんだよな、と毎日こんな調子でナナ探しをしてる。沖田さんはくるんっと高くジャンプしながらきょろきょろ見て、探すお手伝いをした。 え、ちょ、かっこいい! スマホスマホ!


 確かにナナってば、ころころ転がってる感じだよね。


「ナナはフリルさんに抱っこしてもらってたよ?」

「いつだ?」

「ユヅ先輩、さっきです」

「さっきか。もう黒羽さんのところにいないだろうな……」


 でしょうね、ですよね、と全員で頷いているとフリルさんが「お話が絶えませんから行くですのよ!」と私と沖田さんを誘拐していった。

 わーいっ! スキンケアタイムだーっ!


「キョウまたねっ」

「フリルさん、頼みます」

「はいですのよ」

「フリル姉さんっ! 自分は肌を放置して構わない」

「いけませんですのっ!」

「黒羽さん、ナナはどこに転がってったんだ?」

「あら? 今、百目鬼様の背中にいるですのよ?」


 ナナがいつの間にかユヅさんのところにくっついてた! まだ小さいままだ! かわいい!


 ユヅさんが右に振り返ると、ナナは左に移動して、左に振り返ると右に移動してる。なんだろう。ん? 『きげんわるい』っておでこに書いてる。油性ペンで! 書いてる!


「ユヅ先輩、ナナは『きげんわるい』って顔に書いてます」

「黒羽さん、すまないな……。七海がねだったんだろ?」

「乙女の顔に文字を書くなんて大変でしたの。七彩様? 落ち着いたらいらしてくださいな。綺麗にして差し上げますですのよ。さあ、おサボり乙女のお二人はこちらへ」


 今度こそフリルさんが容赦なく私と沖田さんの腕を掴んで洗面所へ移動した。私の周りの女の子たちってば力強くない⁈


 私もスキンケアはちゃんとやってるつもりなんだけど、フリルさんから見たら足りないんだって。厳しいっ〜〜〜。けどえらいなって思う!


 フリルさんに届かない背中とかまでスキンクリームを塗ってもらっていると、ナナが普通のサイズに戻って入って来た。わるいの文字にバッテンをかいて、『きげんいい』に変わってる!


「ナーナっどうしたの〜?」

「ユヅパイセンは朝の『ご挨拶』を忘れてたっスからお仕置きしたっス」

「ユヅ兄さんは今日も大胆だな」


 ユヅさんは王子くん以外の人前では、隠さずに普通にナナに愛を伝える。すごく自然で、見られても平気にしてる。キョウもそうなってほしいのになぁ……。


「変にこそこそしたり、緊張して顔を赤らめる誰かさんよりはいいですわね」


 あっキョウのことだ!


「キョウは照れちゃうの……もっと一緒にいたいし、心の距離が離れてる気がして寂しいんだぁ」

「ベルっち! 力技っスよ!」

「力技⁈ ベル姉さん! 自分が稽古をつけます!」

「沖田様、違いますのよ。……さあ、二人ともツヤツヤですの。見て下さいませっ」


 沖田さんも私も全身うるおいがあってつやつやの美肌になった。良い匂いもして最高!


「七彩様、もう油性ペンはいけませんですのよっ! 落とすのに苦労するのですからっ」

「は、ハイっス……」


「さあ、ベル様、来栖様のところへ行ってらっしゃいませ!」

「ちゃんとラブするっスよ!」

「ベル姉さんの今日の髪型、楽しみにしてます」


 私は三人に見送られて、地下の医療施設に移動した。


 誰も来ないし、キョウしかいないから、ここで毎日髪を結んでもらってる。


「きょーうっ! 髪っ! お願いしまーっす!」

「おっベル。肌綺麗だな」

「良い匂いもするよっ! ねえ、くんくんしてみて?」

「こらっかわいいこと言うな!」

「かわいい⁈ えっえへへ……ってしてくれないの?」

「だああっ! 俺髪結べなくなるぞっ」

「じゃあおろしたままでいーもんっ」


 私はすぐぷぅって風船を作る。

 でもキョウは咎めたりしないの。

 ……だから甘えちゃうの。


「ったく……覚悟しろよっ」

「きゃあっ! びっくりしたあっ」

「あ、悪い。痛かったか?」

「ううん。おりゃー!」

「やっやめろって!」

「えっやめていいの〜?」

「いや、やめないでくれ。その、今度は俺が」

「いいよ。キョウ、だーいすきだよ」

「あーっ持たねーっ! 俺だってベルがこんなに好きなのに先に言うな!」

「いーじゃんっ! まだ言い足りないよーっ!」

「……わかった。じゃあまた後で聞かせてな? ほらほら、髪ぐしゃぐしゃにしちまったから綺麗にするぞ」

「あっ! 最初してくれたポニーテールがいいっ」

「いいな。そーいや、あの頃からそんなに経ってないんだよな」

「すぐ推しになってお付き合いしたもんね!」

「あの時っ! 俺ッ……推しって言われてびっくりしたぞ!」

「ふふっごめんってば! あの時は気持ちがわかんなかったの」

「なあ、ベル……今はわかる、よな?」

「もーっ! わかるもん! 大好き大好きずっとずっと一緒にいたいっ!」


 がばっと抱きつくと、やめろって言われるかと思ったけど、キョウはそのまま抱き返してくれて嬉しかった。

 服部さんと沖田さんに鍛えてもらってから、体がさらに逞しくなってドキドキときゅんきゅんが体の中で暴れ始めた。


 私、キョウより赤くなってる自信ある……。


 耳を澄ますとキョウの鼓動が聞こえる。

 一緒にいるって思える。

 私、幸せだなぁ。ねぇ見てる? "前"の私。

 "私たち"みんなで、キョウとみんなを守ろうね!



***



 私たちがリビングに向かうと、寝癖だらけでおねむな王子くんと、しゃっきりした服部さんがユヅさんのお手伝いをして料理を運んでた。


 フリルさんが「お食事の前に整えて下さいですの!」って王子くんに怒って髪を櫛でとかしてる。しっかり者さんがいると助かるなぁ……。

 って。私もお手伝いしないと!


 キョウはみんなの健康管理係だから、ソファの横に血圧計と血圧ノートを置いたりしてた。さらに、個人提出のノートを見て、飲んでるサプリやお薬のチェックしたり今日運動メニューを書いたりしてる。


 みんなでドタバタしても、シェルターは広いから全然混み合わない! シェルターって聞いてたから狭くて白くて怖いところかと思ってたけど、豪華なお家だから、お金持ちの気分になった感じ!


 最初はみんなバラバラにご飯を食べようってなってたらしいんだけど、みんなが集まる時間が一緒になるし、セルフサービスにすると王子くんや私、服部さんがカップラーメンで済ませちゃうし、ナナがお菓子を食べちゃうから無しになっちゃったの。えへへ、ごめんなさーいっ。


 朝ごはんはユヅさんとフリルさんが主に作ってくれてて、ナナはお皿洗い係! 朝早い沖田さんもお手伝いをしてお料理のお勉強中なんだって。


 服部さんも朝ごはん作りに参加したいみたいだけど、王子くんを起こすのに苦労してて、それどころじゃないみたい。大変そう……!

 

 いただきます、とみんなで言って食べ始める。

 給食みたい! なんかいいなってすごく思うけど……今日の私とキョウには大敵がいた。


「あ♪ トマトだ! ベルちゃん、オレが食べあぎゃ」


 フリルさんが王子くんに無言で圧をかけてた。美人の圧力こっっっわ‼︎‼︎‼︎


「じゃ、じゃあオレ応援するね! 頑張れベルちゃん! 頑張れキョウくん!」

「ベルっち! キョウ兄! ファイトっス!」

「ベル姉さん! キョウ兄さん! 根性です!」


 三人に背中を押してもらってると、フリルさんが「はいっ! さん! にーっ! いちっ! ですのっ」ってカウントしたから一気に行く。


「う〜〜〜〜〜」

「うぅぅ〜〜〜」


「二人とも顔がまた目がバッテンになってるぞ」


 ユヅさんがくすくす笑う。他にも笑ったり、笑いながら「えらいっス!」って声が飛んできたり、拍手してくれたり、みんなが「えらいえらい」ってしてくれて嬉しい!


「ありがと!」

「トマトに大袈裟だな……ったく」

「大袈裟じゃないっス!」

「七海、今日の晩御飯は漬物があるぞ」

「嫌っス……」

「ナナっ! 今度は私が応援するね!」

「自分も応援します。ナナ姉さん!」


「ウチはお姉さんだから頑張るっス〜〜」半泣きでユヅさんに抱きつくと、「いいから食べろ」と適当にあしらわれてしょぼぼんって猫耳が垂れた。


「キョウっ! ナナに猫耳が見える!」

「ああ、俺にも見えるぞ……」

「あら本当。かわいいですの」

「ナナ殿はたまに猫になるでござるな」

「ナナちゃんかわいい♪ さっすがオレの妹!」

「王子兄さんは猫にならないのか?」

「なるよ、ほら!」


 王子くんが猫耳としっぽを機嫌良さそうに出した。どうなってるの⁈


 お食事を終えて「ごちそうさまでした」をすると、みんなのそれぞれ今日の予定を発表する。なんとなくそうなってた。ユヅさんが確認の意味を込めて言ってくれるんだけど、それが頑張るぞって思えるの!


「まず僕から報告だ。任務復帰は一ヶ月後を予定している。また連絡が来るそうだから、それまで、ベルは"本"を書いてくれ。黒羽さんも一緒に練習してほしいそうだ」


「はい!」

「はいですの!」


 フリルさんは"黒の書き手"から普通の"書き手"になるための修行中なの。前は自由に勝手に書いていたから、まだ"本"のルールや依頼主のご意向に沿うことが難しいみたい。


 私は今、"読み手"の方から届いた文章を"本"にするお仕事をしてた。文章を書くのって楽しいなぁ……。


 誰にでも、輝かしい瞬間があって、人それぞれ違うけど、かけがえのない宝物なの。それが心にあるうちは、何があっても強くなれる――。


「恭介は全員の健康管理。あと未来医局から論文の催促が来てるぞ」


「うわ、今日中に仕上げます……。あ、そうだ。みんな。今日も食後一時間後に必ず血圧を測ってくれ!」


「沖田さんは編入試験の勉強だな。王子くん、先生を頼む」


「あいあいさー♪ 高校生活に戻れるように頑張ろうねん!」

「はいっ! 王子兄さん!」


「服部さんは……総理の護衛のバイトだな。気をつけてくれ」

「はいでござる」


「僕と七海はまた衣装選びだ。不在の間、沖田さんと恭介が必要に応じて護衛をしてくれ」


「了解です」

「承知しました!」


「結婚式も籍を入れるのもめんどっちぃっスから、写真だけでも撮れて嬉しいっス!」

「……だな。楽で良い。そうだ、七海。みんなにあの件を言ってなかったな?」


 ナナは「にゃっ‼︎」って鳴いてからもじもじし始めた。なあに? ふふっかわいいんだからっ!


 ユヅさんがナナの頭をぽん、としてから、話してくれた。


「七海と僕の希望で、全員で写真を撮ろうと思ってるんだ? どうだ?」


「きゃあっ私たちもいいの?」

「そういえば全員で撮ったことないよな」

「写真……! 半蔵兄さん、色のついた写真です!」

「嬉しいでござるな」

「あら大変、おめかしをしないといけませんわね」 

「オレってばキメちゃうぞーっ♪」


 全員賛成になって、ナナとユヅさん以外も正装をして写真を撮ることになった。



***



 玄関には、みんなで撮ったあの時の写真が飾られてる。毎朝、必ず私とキョウは見に来て、「私もドレス着たいな」「ベルのドレスを見たいな」なんて将来の話をしたりする。


 沖田さんとフリルさんは二人で引っ越すつもりだったけど、寂しくて残ることになった。


 王子くんのクビは取り消されたけど、帰りたくないって喚いて、リモートワークをしてる。


 服部さんは人といることに慣れちゃって、元の生活がやっぱり寂しいんだって。


 結局――みんながシェルターに残った。寂しがり屋さんの集まり! 私もだけど。ふふっ。


 シェルターは引っ越し予定だったけど、人の噂も七十五日ってね。すぐ芸能人の結婚話とか、かわいい猫のニュースとかで埋もれちゃって、私たちは無事に普通の生活に戻った。


「さあ、僕達の任務再開だ。ベル、調子の方はどうだ?」

「気合い十分です!」

「安定してますし、前より筆が早くなりましたよ」

「ウチもおきたっちとハンゾーっちと特訓して強くなったっス!」

「それは自分も同じです。ナナ姉さん」

「拙者もでござる」

「ワタクシ……はじめての"書き手"の任務は緊張しますですの……」

「ダイジョブダイジョブ♪ 芸能人夫婦が記念にって頼んで来た依頼だけど、"読み手"のベルちゃんとキョウくんは優秀だから! 何より――みんながいるからねん♪」


 王子くんの一言に、みんながホッとする。


「そうだね、みんなで頑張ろう!」


 全員でシェルターに手を振った。朝の光が、代わりにいってらっしゃいを言ってくれてるみたいで、私の心はぽかぽかっとする。


 運転手はユヅさんとフリルさんだ。


フリルさんの運転する車には、王子くん、服部さん、沖田さんが乗る。


ユヅさんの車にはナナ、キョウ、私が乗ることになってる。


 もちろん、クロストレックだ。


 うさぎ仮面達が荷物を入れてくれて、出発の時間を迎えた。


「ベル、行こうか!」

「うんっ!」


 キョウがエスコートしてくれて、車に乗せてくれた。お礼の気持ちを頬に伝えると、また照り焼きになったけど「さんきゅ」って言ってくれた。ひゃあ、もっかいしたい!


 依頼主は、ニュースで取り上げられてた芸能人の美男美女のご夫婦! 忙しいから早めに仕上げないといけないの。でも頑張るぞーっ!



***



 総理のお屋敷とはまた違う緊張感がある……!

 豪華な洋風のお家で、しかもテレビや配信でいつも見ているお二人が目の前にいるから、私たちは緊張しちゃった。


 あっナナとフリルさんがかちんこちんになってる!  

 で、でもこのセリフは決めなくちゃ!


 キョウが背中をとん、として合図を出してくれる。


 ――大好きな、優しくて大きな手。


 私は温もりを感じて、勇気を出す。


「私たちは、あなたの輝かしい過去を一冊の本にし、夢を通してお見せします!」



ベル達はこれからも、困難があっても"本"を届けて行きます。あなたの輝かしい過去の瞬間を思い出せてくれるでしょう。

でも、ベル達ならきっと大丈夫です。

あなたもあなたの記憶を自分で是非覗いて見て下さい。

本は難しいので、メモに書くのも良いかもしれませんね。

読者様が健やかに、毎日を生きていけますように祈っております。

番外編を予定しておりますので、これからもベル達をよろしくお願いします!

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