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私たちは、あなたの輝かしい過去を一冊の本にし、夢を通してお見せします。  作者: 夢乃めちあ


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40/45

40話 大好き

★主な登場人物★


・ベル (本名 ???)

現代人。鈍感な本の書き手/164cm


・来栖恭介

未来人。爽やかな医者/177cm


・百目鬼弓月

未来人。真面目な護衛兼リーダー/185cm


・七彩七海

未来人。チート級つよつよギャルの護衛/155cm


・服部半蔵

過去人。純粋な心の忍者。護衛/172cm


、若王子王子

未来人。七海の兄。自称天才・実際天才/167cm


・黒羽フリル

未来人。洪水のように泣く。皆のサポート役/158cm


・沖田総司 ※この作品では女性※

過去人。真面目な剣の達人。護衛兼サポート/172cm

 目を覚ますと、キョウの声が聞こえた。


 ぽと、ぽとって静かに心配と愛情が詰め込まれた雫が落ちる。


「ベルっ……」


 私は愛しい涙を拾うように、動きにくい手を無理矢理伸ばした。


 キョウ、会いたかった。会いたかったんだよ、私も"前"の私たちもね、大切で大好きで離れたくなくて、とってもとっても、キョウが愛しいんだよ。


「きょ、う……」


 むぅ。声が出ない。今、すごく伝えたいのに。


「無理するな、一週間寝てたんだ」


 一週間⁈ いやでも無理するもん! 今! 声を出すからっ!


「きょ……う、だ……いすき……だいすき」


 あ、声出る。ギリギリだけど。

 だって、今すぐ伝えたいから。

 今じゃないとダメな気がするからっ!


「わかってるよ……。俺も……ベルが大好きだ……ちょっと待ってくれ、みんなを呼んでくる」


「まっ……」

 待ってって言えない!


 私は翻るキョウの白衣を掴もうとして、掴めなかった。でも、こっちを向いてくれた。


「あのね、キョウ……だいすき、なの……しあわせに、するから……ぜったい……する、から……」


 キョウは戻ってきてくれて、私の手を優しく握ってくれる。


「ベル、ありがとな……俺は今すっげー嬉しいけど、どうしたんだ? 積極的でびっくりしたぞ? ……まさか、眠っている間に何かあったのか?」


 キョウは私の頭を撫でてくれて、キョウうさとベルうさを私の顔の横から抱っこするように持ち上げて、私のおなかの上にそっと置いてくれた。


 ――キョウうさ、ベルうさ! 

 二人とも、ずっと一緒にいてくれたんだね!


「もう大丈夫だからな」


 大きな手が好き。

 そっと触れてくれる優しさが好き。

 大丈夫って安心させてくれるところが、全部が大好き――。


「うん、あのね……いま、言いたいこと、あるの」


 私が真剣なのを汲み取ってくれて、キョウは頷いてくれた。


「……わかった。起きてすぐだから、ゆっくり話すんだぞ? 俺はここにいるからな? あ、あとみんなにメッセだけ送らせてくれ。ベルが起きたことと、ベルと二人で居たいことを伝える」


 私の返事を待つ前に、キョウはさっとメッセージを書いて送ったみたい。


 向こう側からたくさん声が聞こえる。


「うにゃー! ベルっちいいいいい!」

「ベルちゃん良かったーーーーー♪」

「ベル!……良かった!」

「ベル様あ〜〜〜〜!! えーーーーーーーん!」

「うぅ……良かったでござる……」

「ベル姉さん! 会いたいな」

「待つっス! おきたっち! 今はいいとこなんス! イチャイチャタイムっスよ」

「そうだな、愛を深めてもらってから僕達の所に帰ってきてもらおう」


 壁が厚いのに聞こえてくる! 

 フリルさんも沖田さんもいるじゃん!


 キョウはまたメッセを送った。おでこに赤で怒ってる絵文字みたいのが浮かんでる。多分内容は『静かにしろ』なんだろうな……。


 しーんってなった。でもなんかコソコソ聞こえるぞ!


 私は話してもいいだろうと思って、話し始めた。


「キョウ、長くなるけど聞いて?」

「ああ。手、握ってていいか」

「私も、手を握ってていい?」


 キョウは笑ってた。握りあいだなって言って、何それって言って笑い合う。この時間が嬉しい、嬉しいな。宝物なんだろうな。


「あのね――」


 "前"の私の記憶を見たの。

 すっごくね、苦しかった……でも、わかったことがたくさんあるんだよ。


 今までの私はね、一人一人、必ず、絶対絶対キョウに恋してたんだよ。今もだけどね?


 "前"の私が、今の私がずっとキョウと一緒にいられるように、一生懸命頑張ってくれたの。


 だから約束したの、"前"の私に、キョウのことを幸せにするって誓ったの。


 "前"の私ったら、キョウのことが大好きで大好きで、今の私が羨ましいんだって。そうだよね。

 逆の立場だったら、私も羨ましいって思ってたもん。


 ……でも、恨みながら譲ってくれたの。

 私たち、全員、キョウがね、大切なんだよ。

 みんなを守りたいんだよ。


 それとね、私を何回も看取ってくれてありがとう。悲しくさせちゃって、ごめんね。


 『愛してる』は将来、結婚する時に、言うね。

 今は、『大好き』にしておくね。


「えっと……もっともっと伝えたいけど、言葉が出てこないの……」


 話してるうちに泣いちゃった……。


 でも、キョウは返事をしないまま、見つめてくれてて、ずっと手を握っててくれて、一緒に泣いてくれた。


「いいよ。伝わってくる……ありがとう」


「まだ! まだね、伝えきれないの」


 咄嗟に布団をぎゅうって握った。

 どうしよう、えっと、えっと……そうだ。


「キョウ、目を瞑って待ってて?」


「え⁈ あ、うん。わ、わかっ……た」


「目を開けちゃだめだよ?」


「お……おう」


 キョウはどんどんまっかっかになってっちゃった! ひゃっ照れ照れ照り焼きになって倒れちゃう、早くしなきゃ!


 私はキョウの左手をとって、薬指にちょんって決意と感謝と大好きをいっぱい乗せた。


「私、綺咲凛音はっ来栖恭介くんを幸せにすることを誓いますっ!」


「ベル……」


 あれ、なんかしゅーんってしょぼーんってしてる⁈  頑張ったのに!


 あ、あっそっか! 私のバカ!


「ああああのね、お口にするのはね……恥ずかしかったの……」


 恥ずかしい、恥ずかしいようっ


「ちがっちがうって、俺が期待してたみたいだろ!」

「……してなかったの?」

「してた……」

「ふふっ正直だね?」

「うるせえっ」


 私は頭をわしゃわしゃにされる。こうやって対等に話せるなんて、好きな気持ちが一緒で触れてくれるなんて――今までの私に伝えたいな。


「きゃあっ! もーっ! なにすんのっ」


 笑って、動かせるだけバタバタして抗議してみた。


 そうしたら、今度は頬を両手で包まれて、「ふへへ、あったかいっ」て嬉しくなってた。


 ――私ったら、完全に油断してた。


 だって、恭介くんは、いつも照れて伏せちゃって、まっかっかになっちゃうんだもん。だから、まさかって思って信じられなかった。


 勇気を出したキョウが、「今度はちゃんとしようね」ってした約束を、今、守ってくれた。


「えへへ……やあらかかったあ」

「かっ感想を言うな!」

「けちけちけち。捕まえてやるっ」


 私は首に腕を回して捕まえた。すぐ捕まってくれて、おでこをごちんってぶつけて、二人で笑う。


「ねえねえ、もっかい!」

「だっだめだ!」

「えっ! やだあ! おりゃーっ」


 今度は私が怪盗になった。


 離したくなくて、離されたくなくて、心がくっつけばいいのにって思って、お互いにずっと、ずっと、大好きを一生懸命伝えてた、ら。



 ガチャっとドアが開いた。



「ベルっちぃぃ」という鳴き声に近いナナの声が聞こえて、「はにゃ!」とびっくりドッキリドキドキした声を上げて、バタン!!! と勢いよくドアを閉められた。

「サーセンっした!」ってまた声がする。


 その後、「にゃあああにゃにゃにゃー!」って鳴き声と、ゴロゴロ転がる音と「七海ッ! 邪魔するな! 耐えろッ!」という怒声が聞こえてきた。


「クソっ! ナナのやつ! 今、俺……すげー幸せだったのに……」

「あははっ! あははははっ! 私たちいつも上手くいかないね!」

「笑い事じゃねー……」

「これからはもっといっぱいできるよ?」

「えっ……そ、そうだな」

「ナナは心配して来てくれたんだよね。もうそろそろ、みんなを呼ぼっか?」

「ダメだっ! もう一回……だけしていいか?」

「いいけど……私は、また離れたくなくなっちゃうから、我慢しよ? あのね、今日も明日も一緒にお風呂入って、一緒に寝たいなー!」

「はあ⁈」

「えっ、なぁに? やーなーのー?」

「ちがっ……」

「じゃあお風呂入ろ? ベッド一緒しよ?」

「そっそれは……まだ」

「……ひどい」

「え?」

「キョウのばかばかっ! 一緒にいたいのにぃ!!」

「ベル? 急にどうした⁈」


 今度こそみんながドアから雪崩れ込むように入ってきた。


「恭介! 何したお前! 馬鹿野郎っ」

「俺はバカじゃないです! ベルがっベルが……」

「えっベルちゃんに何かあったの⁈」

「はうーっベルっち〜〜おかえりっス!」

「ナナあっ怪我大丈夫?」

「おきたっちは急所を避けてくれてたんス! 優しいっス!」

「申し訳ない……ナナ姉さん」

「もう終わった話っスから! ほら、ベルっち! おきたっちを捕まえたっスよ! かわいっス!」

「ベル殿、無事で良かったでござる」

「ベル様〜〜〜ひーーーーーーん!」


 みんながいるんだ……。

 みんなが生きてるんだあっ……!

 泣かないでよ、つられちゃうじゃん!

 

 ナナがもうベッドの上にのって頭を撫でてくれる。

「ベルっち〜! さびしかったっスようぅぅぅ」

「ナナぁっ心配かけてごめんね」

 ツインテールに触れる。うーん、サラサラっ♪

 ナナもにこにこってしてくれてる!


「さっきの七海の暴走を止めれずすまなかった、ベル。あとで恭介のこの一週間を教えてやるからな」


「ナナ! 先輩に言ったのか!」キョウが噛み付くと、するっとフリルさんがベッドサイドに来てくれた。


 キョウが遠かって「フリルさん!」って抗議するけど「ワタクシ達もベル様に会いたかったですのよ」と言ってどかなかった。


 ナナにぶつかりそうになってたベルうさとキョウうさを救出してくれた。わあっありがとう!

 手招きをすると沖田さんが来てくれた。あぁっ沖田さーん!

 

「ベル姉さん! 沖田です。ああ、会いたかった……」

「この一週間、ワタクシも沖田さんもお世話になってますのよ。でしょう? うさ様たちが証人ですの」


 フリルさんが持っているベルうさとキョウうさを、沖田さんが撫でてた。沖田さんは、急にぽろぽろって泣き出して、ベッドにいるナナが沖田さんをぐいっと抱き寄せる。


「沖田っち! ベルっちにいいこいいこをしてもらうっス!」


 ほほう、いいんだね? では遠慮なく!


「沖田さん、会えて嬉しい! これからもずっと一緒だよね?」って確認したら、涙が止まらなくなっちゃったみたい。こくん、こくんと頷いてくれた。


 後ろでも「ひぃん……」ともらい泣きしたフリルさんには王子くんが稲妻模様のハンカチを渡してて、鼻をかんでた。


 いつのまにか服部さんがいて、やっぱり泣かせちゃってた。


「ベル殿……拙者……」

「心配かけてごめんね、服部さん」

「おかえりなさいでござる。みんなと一緒でござったがベル殿もいないと寂しいでござるよ……」


「ほんとそれ! 楽しくしようとしてたけど、オレたち寂しかったよ〜〜〜ベルちゃふぎょぁ」


 ナナがぺしっとハリセンで王子くんを叩いた。どこから出したの⁈




 私、とっても幸せだね。


 あの戦いで死ぬかもしれなかった。

 でも、仲間が来てくれて、新しい仲間も増えた。


 ――ねえ私。こんな未来、想像してた?

 ふふっ。最高だよね。幸せだね。



 ナナが「みんなっ! ベルっちなでなで作戦を行うっス!」ナナの掛け声でみんなが手やら頭やらにそっと触れてくれる。ああ、もう! これじゃみんなを抱きしめられないじゃん!


 キョウがベッドの頭側の特等席にいて、髪に触れてくる。それっくすぐった〜い!


 ユヅさんはむぎゅうと抱きついているナナに「起きたばかりだからあんまり甘えるな」と注意してた。相変わらずママだね!


 みんなの顔を見ると、みんな泣いてて、みんながお互いに涙を拭ってた。


 泣かせちゃってごめんね。

 泣いてくれてありがとね。


「ああもうっみんなったら! 泣かないでよう〜〜大好きっ!」



この物語は、これにて一段落となります。

ベルと共に走って、戦ってくれた皆様へ

本当にありがとうございました。


まだ、ベル達の人生は続いていきます。

明日、エピローグがありますし、

その後を少しずつ、書いていきますので

これからもどうかお付き合い頂けたら幸いです。

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