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私たちは、あなたの輝かしい過去を一冊の本にし、夢を通してお見せします。  作者: 夢歌環めちあ


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12/31

12話 移動中

★主な登場人物★


・ベル (本名 ???)

現代人。鈍感な本の書き手/164cm

・来栖恭介

未来人。爽やかな医者/177cm

・百目鬼弓月

未来人。真面目な護衛兼リーダー/185cm

・七彩七海

未来人。チート級つよつよギャルの護衛/155cm

・服部半蔵

過去人。???/172cm

 屋敷の外に出ると、大好きなクロストレックが大量に停まってた! 


 これはなんと囮だそうで、私に似たワンピースを着たうさぎ仮面が次々へ乗り込んで行く。


 えっ! ちょ、すごいすね毛の方もいるけど囮になるの?


 総理と琥太郎氏は、このクロストレック天国の中でレクサスに乗って移動を開始したみたい。


 運転は琥太郎氏に何かあると危ないので、うさぎ仮面が務めるって。すごい! 有能な人ばかり! 

 車には服部さんも警備として同乗し、別部屋で待機してたSPさん二人も乗るという。SPさん別部屋に居たんだ!? 説明どうしたんだろー……?


 私もうさぎの仮面を借りてつけてる。予め教えてもらったユヅさんの運転するナンバーの車を探して乗り込んだ。短かったけど、みんなに会ってから初めての一人行動だったからどきどきしたあ。


 ユヅさん曰く、今回は予算に糸目をつけない依頼だったからできたものだ、とのことらしい。

 見て驚くかもしれないが、こんなことそんなに無いから楽しむくらいの気持ちで見ておけ、と言ってくれたので素直に楽しむことにする!


 すごー! と思った。でも、私はキョウうさをずっと撫でていた。


 だって、こんなこと……させちゃったのは、私の命が狙われてるせいだもん……。

 

 医療担当うさぎ仮面四人と、護衛担当うさぎ仮面が七人残った。屋敷で待つ使用人さんたちもほっとしている。戦闘時に無事じゃなった壁とか床の傷を直したりもするんだとか。


 全部ユヅさんの指示なんだろうけど、うさぎ仮面のファンになりそう!


 指定の車に乗るとナナが「ベルっちー!」と迎えてくれた。キョウも「すごい光景だな」と和ませてくれてるけど、それほど危険性が高いということでもあるから手放しに喜べない……。うう。

 おっと、うさぎの仮面を外さないと!


 無意識にキョウうさを撫でると、「うさぎばかりじゃなくて、俺も撫でてくれよ?」とからかい口調でキョウが不敵な笑みを浮かべた。


「もうっ仮とはいえお付き合いした途端こうなんだからっ!」


 頭を少し下げてねだる姿がかわいくて、「よしよし、恭介くん。いーこいーこ」とセットしている髪を崩さない程度に触れておく。


「いじわるしちまったかな?」と破顔してるのを見て、この笑顔、守りたい。尊いって思った。笑顔とかじゃなくて、破顔なの!


 んー……やっぱこの気持ちって恋なのかな? まだわかんないっっ!



 ――発端は出発前に遡る。



 ナナが私の気持ちを「好き」と断定したら、キョウは反論した。


「こら、ナナ。落ち着け! ベルは『推し』だって言ってくれている。強く決めつけすぎるなよ? それに……もし恋かわかったら教えてくれるとまで言ってくれたんだ。気持ちなんて曖昧なものに答えは無いだろ?」


 私の心を最大限尊重してくれて、受け入れてくれて嬉しかった。でもナナの話を聞いたら、好きなのかな……って迷ったりして、頭の中でぐるぐるがいっぱいできて、あわあわしちゃったのである。


 そこで、ユヅ先輩が助け舟を出してくれたかと思ったらドデカイ爆弾投下だった。


「提案なんだが、試しに付き合うのはどうだ? 嫌だったり違うと思ったら、やめてまた恭介を『推し』にすればいいだろ。……僕達は、仕事仲間の割には仲が良いし、腹を割って色々話すから別に恋愛が拗れようと問題はないしな」


「え、ユヅさん、でも私、試すようなことできないよ。キョウに失礼だもん……」


 キョウがすかさず、試して良い。と言ってくれた。


「心がわからないなら、とことん試してやってみよう。嫌ならすぐやめていいからな? 俺は……ベルが好きだけど、ベルが嫌なことはしたくない。それに、俺は傷つかないぞ? 本音を言うと、『推してくれてる』っていうベルの気持ちで、今、俺はありえないくらい舞い上がってるんだ」


「ふっふーん♪ キョウ兄はベルっちに百回ループして、その度にずっと好きなんスよ。ちな今は、百一回っス! だからちょっとやそっとじゃ落ち込まないっスし、ベルっちのことは良い気持ちもマイナスな気持ちも受け止めるいい兄貴っス!」


 ウチが保証するんで、試しに付き合ったらどうっスか? 愚痴も相談もユヅパイセンとウチが聞くから安心っスよ〜〜! と親指を立てる。


 そんなこんなで、「あの……お試しお付き合いお願いします」って言ったらキョウは「こちらこそよろしくな。なんでも訊いていいし、ベルが話したいことは全部聞くから。してほしいことも嫌なことも、言えるなら言ってほしい」と細すぎるくらい気を配ってくれた。


 ということで、今はがっつりキョウと手を繋いでいる。百回ループしたんだってすっごく驚いたし、知りたかったけど……その分私が"亡くなっている"ので、みんなを傷つけたらどうしようって思って何も言えなかった。


 気持ちを隠すのが下手だから、多分顔に出しちゃってたんだと思う。キョウは手を恋人繋ぎにしたり、ぶらぶら動かしたり、ずっとニコニコして私に声をかけてくれた。


 でも、前みたいに気を遣ってるとか、心配してるとかそーゆーのじゃなくて、キョウがしたいからっていう意思を感じて安心する。


 あっ! ルームミラー越しにユヅさんに気づかれた。


「恭介。気持ちはわかるがベルを寝せてあげてやれ」

「およ? ユヅパイセン気持ちがわかるんスか?」

「からかうな。お前も寝るんだよ! 疲労回復に努めろ! 恭介ッ眠剤寄越せ! 七海に飲ませる!」

「無理に眠剤飲ませるのはナナでもちょっと……」

「パイセン! ウチの可憐なツインテールの右を指に巻いてくりんくりんにしておいて偉そうに言わないで欲しいっスねぇ?」

「お前の髪は触り心地が良くてつい……。クソ、悪かった。後で詫びを入れるから寝てくれ。ただし戦闘時には起こさせてもらう」


 しょぼん、とするユヅさんと正反対に、ナナはひゃわわって顔を紅に染めて照れて喜んでた。

 かわいい〜! ナナがまっかっかだ!


「じゃっじゃあシート倒すっス。ベルっちごめんっスよ〜」と車のシートを倒した。手で顔を覆っていたけど、指の隙間から私たちの繋いだ手を見て「にゃふー!」と独特に笑った。 


 にゃふーって何? 面白いんだからあ。


 キョウが目だけで「五月蝿い」と言ってるのがわかったみたいで、ナナは私にロックオンした。じっと見てくる。わあ、猫だ! 猫がいる! ナナネコだ!


 あまりにも愛おしくてナナの髪を触っちゃう。ナナは「ふふん」とドヤってた。

 本当にサラサラだー! 私も指にくるくる巻いちゃお。ナナがベルっちはタダでまきまきして良いっスよって言ってグーの側面をスタンプに見立ててポンとかろうじて届く私の腕に押してくれた。


 永久許可証ってコト……!? あざっスだよナナー!


「この仕事お給料良いっスから、マジで良いシャンプー、コンディショナー、トリートメントにヘアオイルまで揃えられるんスよ。勿論スキンケアも完璧っス! 今日はウチが責任を持ってベルっちを綺麗に洗ってあげるっスから、ウチと同じサラサラになれるっスよ」


「あ、そっか。危険な仕事だから当然だよね……。ってナナ? 洗ってくれるってなあに? ――はっ! もしやもしや、一人でお風呂は駄目だったりする? 安全面的なアレで!」


「よく気が付いたな」とキョウがため息をつく。

「ベルは狙われやすいから、風呂も万が一に備えて警備の為にナナと共に入ってるんだ」


「そうっス! ウチとのお風呂楽しいっスよ!」


 確かに楽しそう! はしゃいじゃう!


 え、でも寝る時は、と思ったところでユヅさんが話に入ってくる。忙しいのに大丈夫かな? ずっとハンズフリーにしたスマホに向かってやり取りとか指示出ししてるし。


「悪いなベル。一人になれなくてストレスだらけだろう? 恭介と付き合ってる今なら、お互いに話し合って風呂も寝る時も彼氏に担当させて良いぞ?」


 また大きな爆弾が投下された。勘弁してぇ!


「きゃあーーーーー! まだそれは! 待って来栖恭介さん! 違うんですよ、嫌とかじゃなくて恥ずかしさマックスなだけで、わか、わか……わかります?」


 キョウを見ると、「わかっ……るます。俺もそうだ! ユヅ先輩勘弁してくださいよ!」と目をぎゅっと瞑って首をぶんぶん振ってた。


 推しかわよい。


 ナナに「キョウ兄って両思いになるとポンコツになるっスね、アーニャたんになってるっス」とツッコミを入れられてた。キョウは痛いところを突かれたみたいで、反撃せず窓を見て誤魔化してる。


 確かに、たまにエラー起こすけどあれって……私が好きだったからなんだ! わああー!


「じゃあウチがお風呂も寝る時も一緒でいいっスね? ベッドはごっちんってしてくっつけるっス! あ、ベッドは野郎共も全員同じ部屋っスけどそれは我慢してほしいッス。でも枕投げいつでもできるから楽しいッスよー!」


 ナナ、なんか嬉しそう! 枕投げ、"前"の私もしてたんだろうなぁ……やりたいなぁ。


「お風呂は恥ずかしいけど、慣れるまでよろしくね」


 あいっス! と返事をしたところでいい加減寝ろ! と怒号が飛び、赤信号の時にユヅさんがナナのお腹をくすぐった。「ひゃ! にゃにゃにゃ! 寝るっスからあ〜〜〜!」と涙声になってるのをキョウと二人で笑った。


 私はドキドキしてて寝れないから、ナナは戦闘後で興奮しているからという理由で、キョウからすぐに眠れる薬をもらった。私は、偽薬なのは見抜いちゃったけど、ナナには効果テキメンですぐ寝ちゃってた。


 それからなかなか寝付けなくて、キョウに「してほしいことある?」って訊いたら写真が欲しいって言われて、お互いに写真を撮ったりした。んー! いい笑顔してくれた! 待ち受けに設定っと……。


 幸せ。だけど不安はずっとまとわりついてた。だって、たまに振り返ると大量のクロストレックが離れずについてきていて、前にも走っていて、離れずついてくのって大変なんだよね。運転が上手いなあと感心しつつも申し訳なさと規模の大きさに押し潰されそうになる。


 腰に居てくれているキョウうさを撫でてみる。やっぱり安心した。ふふっ。


 ほっとしていたら、本物のキョウが頭を撫でてくれて、嬉しいとドキドキの二つが私の心を駆け抜けていった。



 ごめんね、この不安は伝えないままでいい?


 キョウに笑っててほしいから。

お星様にて応援頂けますと嬉しいです!


クロストレックは完全に私の趣味です。

かっこいい車は正義です!

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