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私たちは、あなたの輝かしい過去を一冊の本にし、夢を通してお見せします。  作者: 夢歌環めちあ


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11話 VS未来人対策

★主な登場人物★


・ベル (本名 ???)

現代人。鈍感な本の書き手/164cm

・来栖恭介

未来人。爽やかな医者/177cm

・百目鬼弓月

未来人。真面目な護衛兼リーダー/185cm

・七彩七海

未来人。チート級つよつよギャルの護衛/155cm

・服部半蔵

過去人。???/172cm

「違法でこの時間軸に来た片山さん達を、山神が率いる組織『闇山』が脅して引き込み、協力させていたそうだ。」


「もしかして……苗字は全員……?」


 私にでもできる推理だ。


「ああ、ベルの察している通り偽名の苗字には必ず山がついているそうだ。情報班からは、山神の警備に『右山』と『佐山』という者がいて、厄介な幹部らしい。ベルにわかりやすく説明するなら、そうだな……ラスボスの手前みたいなものだ」


 さっすがユヅさんわかりやすい! てか右山に佐山…? わかりやすい幹部だなぁ。


「全員山がつくなんておバカさんな話っスねぇ」


 ナナが頭の後ろで手を組んで呆れている。


「片山殿の話によると、仲間かどうか見分けるのに苦労してそうしたらしいでござる」

「なんだそれ……規模が大きいということか?」

「そうだ、恭介。山がついていると『闇山』かどうか確かめやすいとそうなったらしい」


「ねえねえ。間違ったらどうするんだろう?」

 山がつく名前って結構聞いたことない? 検索してみたら結構あったし。


 私の疑問にはキョウが答えた。


「まあ……未来人で忘却防止装置をつけているのなら時間を巻き戻して記憶を消すんじゃないか?」


 未来人なんでもありすぎる!


「さて、話を戻すぞ。目的はレナさんに夢を見せないことだ。だから――言いにくいが、ベルが狙われている」


 ユヅさんは私を心配しながらチラッと見るけど、私は平気です! とグーを作ってボクシングする動きを見せた。


「いや、ベルは戦ったら駄目だ」


 ユヅさんとの意思疎通難しー!


「ベルは大丈夫って言いたいんですよ。だよな?」

「うん!」


「そうか。じゃあ話を進めるが、不安になったら恭介にすぐ頼るんだぞ」

「はいっ」


 キョウ、よろしくねと膝の上で手を振ると。ニコッと笑ってくれた。


 推しって伝えて良かった〜〜〜! 幸せーっ!


 私は次どうぞ、とユヅさんに促した。


「総理は、クリーンで裏金問題も全く無くて支持率が過去最高なんですよね」


 総理がえっへんと腰に手を当てて胸を張る。


「そうじゃ! こんなジジイだがのう。悪いことはせんと決めておる!」

「当たり前だジジイ!」 


 琥太郎氏のツッコミが裏切りなく飛んでくるのが良い。この二人、芸人でも行ける気がする。


「そんな総理の弱みといえば、休暇が多いこと――だそうだ。レナさんが両親を失い、その分、レナさんと会うために休暇を取ったり、外交の時に自国に招くばかりで、海外渡航を控えていたのは賛否両論となっている」


「家族や大切な人を一番に考えるって当たり前だが……総理は立場上難しいですよね」


 キョウが総理の心苦しさを汲み取る。


「ええ。愚かなジジイですが、レナが病と戦っている時に不在なのは可哀想ですし、私個人としても許せません。全く……総理になんてなりやがって」


「しっ仕方ないじゃろ! 国が変わらないと医療制度とか変わらんし! それにレナが治った時に住みやすい国にしたいじゃろ?」


 ――総理って、レナさんのために総理で居続けて、レナさんのために仕事をしてるんだ。


「立場なんて関係なくて、ただレナさんの『お祖父さん』なんですね」


「書き手のお嬢さんはわかってくれて嬉しいのう。じゃが、レナのためだけではない。国民の幸せも願っているぞい。願うだけでは叶わんからワシがなっただけじゃ。そうじゃ! さっき教えてくれた"本"の奇跡とやらを教えてくれるかの?」


  "本"の奇跡――?


「ほぼゼロだと思って下さい。ですが、山神側は万が一の奇跡を恐れています。というのも、"本"によって夢を見た者は稀に奇跡が起きるんです。例えばレナさんの場合、本当に望み薄ですが――病気が良くなるなどの類が予想されます」


 急にユヅさんが頭を下げる。


「期待させてしまってすみません」


 謝った体制のまま、ユヅさんは重荷に思わないでくれ、と小声で私に伝えてくれた。


 私は静かに頷いた。だけど重い……総理のキラキラした目が全然期待してる! 


 きょ、キョウ〜〜〜! うるうると目線を送る。


 キョウはため息をつきそうになり、手前で我慢して総理に向き合った。


 「こんな時に言うのは心苦しいですが、その分大きなリスクがあることを何卒ご容赦ください……。俺達は尽くしますから、どうか」と頭を下げていた。


 私の肩に手を添えて、さっきのユヅさんのように「期待に応えようとするなよ。やるべきことをしよう」とコソコソ話してくれた。


 キョウに合わせて頭を下げようとすると「このジジイに頭を下げる必要はありません! 百目鬼様、話を続けてください」と琥太郎氏が総理を背負い投げして言い放った。


 あーっ! 総理がそろそろ怪我しちゃう!


「はい。説明が長くてすみません。ええと……その奇跡が起こったと仮定しますと、休暇をとっていた総理が休まず働き、相手国に赴き外交も円滑に進められますよね。それに伴い支持率が上がることを恐れてこのような行動に出ているようです」


 総理にバッテンのマスクをつけた琥太郎氏が呆れてやれやれ、と頭を抱えていた。


「くだらないですね……このジジイの支持率が上がったくらいで山神が総理の座につける訳がないというのに――待って下さい。もしや、バタフライエフェクトですか?」


「そうです。山神側に奇跡が起きる可能性もあるんです。全員寝返ったり、裏金問題を覆す何かが起こったりするかもしれません」


「成程。わかりました。予想外もあるかもしれないと頭の中に入れて行動します。」


 ユヅさんは地図を広げた。


「『闇山』の拠点と、僕達を狙えるポイントにチェックをつけておきました。この二つのルートで移動しましょう。流れ弾で総理と琥太郎さん達に何かあっては困りますので、僕達と総理は別々に移動しましょう。もちろん護衛はつけます。レナさんのいる病院で会いましょう」


 うさぎ仮面達が敬礼した! 頼もしい!


「では各自準備し移動する!」


「青年よ……片山達はどうなるのじゃ?」


「恭介が医師の権限で四人の休養を上に約束させました。その後に未来の警察が事情聴取に来ます。その時に残るかどうか、罪として裁くことを望むか総理と琥太郎さんに相談させて頂くと思いますが……僕達も、警察組織のことは不明瞭でわからないんです」


「あいわかった。できることなら傷つけてしまったお嬢さん達と皆に謝ってほしくての。イケメンの青年もうらやま……災難じゃったからな」


「に、任務でござるから、気にしないでほしいでござる」


 服部さんは総理に初めて声をかけられて、背筋がピンと伸びてた! 緊張したりするんだね!


  ――そんなこんなで、私たちは、バタバタと準備をし始めた。


 使用人の人たちはおにぎりやノンカフェインを考慮してルイボスティーを用意してくれて持たせてくれた。お菓子もあって、ナナが「あざっス!」と喜んでた。

 ナナは、カワイイ! と、使用人さんの間で超人気者になってて、喜んでくれたとまたナナの頭にお菓子が降ってきてた。

 ねえ、ナナ。そんなに食べれるのー?


 琥太郎氏はキョウとひそひそと話していた。顔を赤くして断ったりしてたけど、結局何か受け取ったみたい。何だろう?


 ユヅ先輩が一人になっていた私を見つけて「すまん。恭介と七海が席を外してしまって」と私の隣に座った。私は残念ながらお手伝いすることもできずに、座り込んでエッセイ本を読んでた。これから本を書くからには、本を読んで学ばないとね!


「ユヅさん、あのね、キョウにも言ったけれど、ユヅさんもナナも服部さんも謝らないでほしい……」


 タメ口で良いって言ってくれてたけど、ユヅさんだと敬語になりやすくなっちゃう!


「善処する。恭介とは、何かあったみたいだな」

「うん。あ、それ言う前に伝えたいことがあって」

 私はユヅさんに個人メッセージで「メッセ読みました。秘密を守ります。みんなも守ります」と送った。

 読んだユヅさんが、「悪い……こんな時に……」と項垂れる。

「頼ってくれて嬉しかったから、謝らないで! そうならないように守るから」


 てゆーか……と私は既視感を覚える。


「また謝ってるー! ユヅさんとキョウって本当に似てるっ」

「そうか? 長い付き合いだからな……で、何があったか訊いていいか?」

「ウチも気になるっス!」


 お菓子をいっぱい持ったナナがひょこっと顔を出した。あーんして下さいっス! と私にチョコを食べさせてくれた。もうっナナったら大好き!


 ナナを抱きしめると「ベルっち〜〜! キョウ兄と何かあったんスよね?」とハートを体から出してニコニコして聞いてきた。さっきキョウに頭掴まれてたもんね……。

 てか、そのハート、どこから出てるの? アニメみたいだね!


 あれ、キョウとのことって言って良いのかな? と迷っていたらキョウがガチめに走って来た。


「俺……から説明する。ベルっいいかっ……?」


 息絶え絶えじゃん! そんな焦らなくても!


「うん。お願いね」

「間違ってたら直してくれ」

「? うん」


 ナナが「ひゃわーッ!」って騒いでいるけど、放っておいてキョウは口を開く。


「そのだな……ベルと俺の気持ちを伝え合った」


 ナナが「にゃーーッ!」ってさらに私を抱きしめる。ユヅさんが離してやれ、とナナのツインテールを引っ張ってる。あ、でも多分力入れてない。

 ユヅさんー? 私的にこの二人ったらなんかアヤシイんだよね。


 ……おっと私からも説明したほうがいいかな?


「で、私がキョウを推してるって言ったの」

「そう、推されてるって言ってくれたんだ」


 キャウは嬉しそうにしてた。かわいい……我が推し……一生守る!


「で、キョウ兄はなんて言ったんスか?」


 ナナが質問する。相変わらず私を抱きしめてるままだ。ユヅさんはナナを私から離すのを諦めて、ツインテールの髪を指でくるくる巻いて遊んでいる。えっ、意外!


「二人がよーく知っている気持ちを伝えた」

「えっ二人はキョウが私を好きって知ってたの?!」


 やだやだ言葉にすると恥ずかしい〜〜!


「バレバレっスから」

「恭介はわかりやすいからな」


「で、付き合ったのか?」


 今度はユヅさんから質問される。


「いや、ちょっと違う、よな?」

「うん…。私がこの気持ちが恋かわかんないけど、でもキョウを推してるんだって言ったの……。そしたら、推してくれてありがとうって言ってくれ、て……」

「俺は、その……。ベルに好きでいていいって許可を得た」


 二人でもじもじしているとナナがすかさず捲し立てた。


「なんスかそれっ! 付き合ってるってコトじゃないっスか! ベルっち、推しとは手を繋ぐっスか? どー見ても相思相愛っス! さっきだって手を繋いだり見つめあったり! ウチは見逃さないっス! キョウ兄! 責任取るっスよー?」


 えーーーーーー!? 相思相愛!? 私もキョウを好きなの? 違くない?


お星様にて応援頂けますと嬉しいです!


ベルちゃまは鈍感ですが見守って下さい……!

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