97.開かれた異界の扉
静寂……ようやく多元宇宙ニリオンに降り立った。
だが、それは心穏やかにする静寂ではない。
そこには平穏はない。
ただ……一時の休止。
終わっていない破壊の間の休止。
戦いの名残 第一層
空間には亀裂が未だ広がっている。
以前ほど大きくもなく、速くもない。
だが、確かに存在している。
癒えることを拒む傷のように。
銀河の破片が方角もなく漂っている。
現実の一部は消滅したように見える……破壊されたのではなく、消し去られたのだ。
その破壊の真っ只中に。
四人の人物が立っていた。
ヴェルドラ。
フェルダ。
アルロ・アッシュヴァレン。
そして……ミジャルン。
ヴェルドラが長く息を吐いた。
彼の黒き龍の気配は大きく弱まっていたが、完全に消えてはいない。
「はあ……ようやく静かになったな」
声は気楽そうだが、瞳は依然として鋭い。
フェルダはその言葉に応えなかった。
彼は一歩前に踏み出した。
「ヌルヴァガナ」
たった一言。
核心を突いた言葉だった。
ミジャルンが顔を向けた。
「……あの惑星は……」
フェルダが彼を見つめた。
「単なる惑星ではない」
彼の周りの紫の霧がゆっくりと渦巻いた。
「もし修復されなければ……不均衡は拡大し続けるだろう」
アルロがようやく口を開いた。
声は重く、安定しており、拒否することはできない。
「生じた損傷は……物理的な形を超えている」
彼はヴェルドラを直視した。
「もし貴様が修復に失敗すれば……」
少しの間があった。
「……この破壊は一つの層では収まらない」
ヴェルドラが眉を上げた。
「おいおい……みんないきなり真剣になりすぎだろ」
彼は頭をかいた。
だが今回ばかりは。
彼は完全に冗談を言っているわけではなかった。
彼は周囲を見渡した。
亀裂。
歪み。
虚空。
「……チッ」
初めて、彼の表情がわずかに変わった。
「わかった」
彼は体をまっすぐにした。
「俺が起こした問題だ……俺が片付ける」
ヌルヴァガナへの旅路
彼らの前の空間がゆっくりと開いた。
普通のポータルではない。
これは現実の構造同士の直接的な転移だ。
空間の層が折り畳まれ……
そして開かれた。
その先には。
一つの世界が見えた。
損なわれた世界 ヌルヴァガナ
あの惑星は……まだ存在していた。
だが、完全ではない。
表面の半分が破壊されている。
単に亀裂が入っているだけではなく。
一部の領域は……完全に消滅している。
まるで存在から切り取られたかのように。
大気は不安定だ。
エーテルエネルギーが宇宙へと漏れ出し、絶え間なく回転する濃い紫の渦を形成している。
そして最も奇妙なのは。
惑星周辺の空間自体が……不安定なことだ。
まるでその世界がもはや現実に正しく「結びついて」いないかのようだ。
ミジャルンは緊張した面持ちでそれを見つめた。
「……これは……」
フェルダが静かに答えた。
「これが結果だ」
ヴェルドラが前に踏み出した。
初めて、彼はすぐに冗談を言わなかった。
彼は手を上げた。
黒き龍のエネルギーが集まり始めた。
濃密に。重く。深く。
再構築の開始
エネルギーが惑星へと流れ込み始めた。
破壊された破片が引き寄せられ始める。
宇宙の塵が集まり。
岩、エネルギー、存在の名残が。
ゆっくりと再び組み立てられていく。
最初は……うまくいっているように見えた。
失われた惑星の部分が再び形成され始めた。
表面の構造が再び結合した。
大気も再び作られ始めた。
ヴェルドラがかすかに笑った。
「見ろ? 簡単だろ」
だが。
アルロは動かない。
フェルダは口を開かない。
ミジャルンは……逆に手を握りしめた。
何かがおかしいと感じたからだ。
不完全さ
小さな亀裂が現れた。
惑星の表面ではなく。
その周囲の空間に。
細い線。
ほとんど見えないほどの。
それから。
その亀裂が動いた。
ヴェルドラが目を細めた。
「……は?」
彼はエネルギーを増幅させた。
より多く。
より強く。
惑星は再び形成され続ける。
だが。
亀裂は消えない。
逆に……
増えていく。
フェルダがようやく口を開いた。
「やめろ」
ヴェルドラはすぐには従わなかった。
彼はさらに多くのエネルギーを注ぎ込もうとした。
「ちょっと待て――」
「やめろ」
今度の声はより厳しかった。
ヴェルドラは手を止めた。
沈黙。
何かがおかしい
アルロが前に踏み出した。
彼の瞳は亀裂に焦点を合わせている。
「これは再構築の失敗ではない」
ミジャルンが彼を見た。
「じゃあ……何なんだ?」
アルロはすぐには答えなかった。
彼は手を上げた。
亀裂の近くの空間に触れようとするが、実際には触れない。
一瞬。
その空間が振動した。
そして初めて。
その亀裂が「反応」したのだ。
傷のようではない。
損傷のようでもない。
だがまるで……
外部から何かが侵入しようとしているかのようだ。
ハルマゲドンの意識の門
別の場所で。
ニメロスが突然凍りついた。
「……ありえない」
ヴェルキラがすぐに顔を向けた。
「何を感じた?」
ニメロスは前方をぼんやりと見つめた。
「このエネルギーは……」
彼の手がわずかに震えている。
「……ニリオンのものではない」
すべての番人が突然沈黙した。
「我々のシステムのものでもない」
ヴェルドラはゆっくりと手を下ろした。
彼の表情はもはや気楽ではない。
「おい……」
彼は亀裂を見つめた。
「これは俺のせいじゃないよな?」
フェルダは答えなかった。
彼の瞳は依然として冷ややかだ。
だが今回ばかりは。
何かが違っていた。
アルロが静かに話した。
「違う」
皆が彼の方を向いた。
「これは……構造の外から来ている」
ミジャルンが凍りついた。
「外……?」
アルロはゆっくりと頷いた。
「ああ」
そして初めて。
彼でさえも……警戒した様子だった。
すべての外側 見つめる者たち
遥か彼方。
多元宇宙ニリオンよりも遠く。
知られている構造よりも遠く。
そこには空間が存在した。
だが普通の空間ではない。
方向もなければ。
時間もない。
そこに。
六人の存在が立っていた。
彼らには定まった形がない。
時には影のように見え。
時には光のように見え。
時には……全く理解できない姿になる。
そのうちの一人がわずかに動いた。
「干渉が生じた」
別の者が答えた。
「この構造は……不安定だ」
彼らの名前が……聞こえ始めた。
ゆっくりと。
まるでこだまのように。
「ノッドマン・カオス……」
「アスワッタマ・ストラク……」
「ニャルラトホテプ・アイ・アジル……」
別の声が上がった。
「我々は介入するのか?」
沈黙。
それから。
答えが返ってきた。
「まだだ」
「亀裂が……成長するのを待て」
「彼ら自身で道を開かせるのだ」
そしてゆっくりと。
六人の存在は一つの方向を向いた。
多元宇宙ニリオンの方へ。
ヌルヴァガナへの帰還
亀裂は……ますます明確になっていた。
大きくはない。
だが……
何かが違う。
ヴェルドラは黙ったままそれを見つめた。
フェルダも沈黙している。
ミジャルンは手を握りしめた。
アルロは一瞬目を閉じた。
そして再び開いた。
「これは以前の破壊の名残ではない」
沈黙。
「……これは扉だ」
亀裂が……わずかに開いた。
そしてその中から。
見慣れない何かが……
感じられ始めた。
「彼らが……入ってくる」
「次回更新: 3月 26日 21:00」




