8.偽りの平和
本編再開
モグ「まだだ! まだ終わってないッ!!」
三人「……え?」
レイジ「ああ、なるほど。そういうことか」
ミジャルン「お兄ちゃん、今の声ちょっと怪しいんだけど 何か企んでる?」
レイジ「まぁ、そういうことだ。」
アシア「え? 二人で何話してたの? ごめん、聞こえなかった。」
レイジ「あぁ、何でもない。ただ……俺は運が良かったってだけさ。」
アシア「運が……良かった?」
レイジ「おい、もう一度やるか?」
モグは前に出た。
その瞳には燃えるような決意。
そして静かに呟いた。
モグ「俺の真名は──《***》。」
ミジャルンの心の声:
『はぁ? 調子に乗ってる……。お兄ちゃんが本気出してないだけなのに。』
アシア「レイジ、次も勝てるよね? 」
レイジ「あ──……。」
そして、二人の再戦が幕を開けた。
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ギルド・ムシャフ闘技場
砂埃が舞い、夕光が差し込む。
歓声は遠くでこだまするが、どこか虚ろだった。
ザラビス(レイジ)は立ち尽くし、モグと向かい合っていた。
ひと振りで終わらせることもできた。
だが──彼はしなかった。
ミジャルン「なんで手を抜いたの?」
レイジ「勝ち負けじゃないんだ。……誰が“心”を守れるかだ。」
ミジャルンは唇を噛んだ。
兄が何かを隠していることを知っていた。
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最後の一撃
モグは高位爆裂魔法を放つ。
轟音と閃光が闘技場を包み、観客は息を呑む。
煙が晴れたとき、ザラビスは膝をついていた。
致命傷ではない。防げた。
それでも、彼は敢えて受けた。
モグ「はっ、言うほどじゃねぇな!」
ギルドマスターが手を上げる。
ギルドマスター「勝者──モグ・パーティー!」
歓声が再び湧き上がる。
だが、アシアだけは俯いていた。
アシア(小声)「……わざと、負けたんでしょ。」
彼は何も言わなかった。
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その夜、ギルドにて
モグ「お前は役立たずだ! 出ていけ、リヤ!」
リヤ「ち、違う……私、頑張って」
モグ「黙れ!」
リヤは床に倒れ、震える。
アシアが立ち上がった。
アシア「やめてよ! どうしてそんなこと言うの!」
モグ「嫌ならお前が来いよ、アシア。お前ならまだ使える。」
アシアは震えるリヤと、黙って見つめるレイジを交互に見た。
そして――
アシア「……わかった。私、行く。」
ザラビス(レイジ)は目を閉じた。
何も言わず、ただ静かにその背を見送った。
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新たな地へ
数時間後。
風が柔らかく吹き抜ける草原。
そこに、木造の大きな屋敷が建っていた。
ミジャルン「ねぇお兄ちゃん、こんな家いつ建てたの?」
レイジ「あの旅の途中だ。空気が澄んでて……“心を休める場所”に丁度いいと思ってな。」
ミジャルン「理由それだけ?」
レイジ「いや。“無限想界”で創った。」
ミジャルン「……毎度ながら規格外だね。」
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リヤへの贈り物
レイジ「ここが君の新しい家だ。」
手を翳すと、銀白の光がリヤを包む。
レイジ「無限のマナを授ける。好きに使え。」
ミジャルン「ちょ、ちょっと! やりすぎ!」
レイジ「構わん。彼女なら守れる。」
リヤの手が光り、涙が溢れた。
リヤ「……レイジさん、抱きしめてもいい?」
ミジャルン「いいよいいよ! この人鈍感だから!」
レイジ「……どうぞ。」
彼女は静かに抱きつく。
温かい沈黙が流れた。
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真実
暖炉の前で、リヤが尋ねた。
リヤ「どうして……モグに負けたんですか?」
レイジ「アシアは“本物”じゃなかった。」
ミジャルン「やっぱり気づいてたか。」
レイジ「宿で気づいた。あれは“ヘイモン”──魔将の人だ。」
リヤ「じゃあ……モグは……?」
レイジ「操られている。」
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別れ
レイジ「リヤ、ここで生きろ。お前の優しさがこの世界を変える。」
リヤ「……レイジさん……」
レイジ「それと、これを。」
掌に光が集まり、青く輝く卵が現れる。
リヤ「これは……?」
レイジ「ドラゴンの卵だ。お前の未来を共に歩む存在。」
ミジャルン「それ、つまり“後継者候補”ってことだよ?」
リヤ「へっ!?」
レイジは微笑んだ。
レイジ「じゃあな。」
光が弾け、二人は魔界へと消えた。
残されたリヤは卵を抱きしめながら呟いた。
リヤ「……レイジさん、ありがとう。」
時に…別れは終わりではなく、信じる勇気を持つ心への小さな試練となる。
全ての笑顔が平和を意味するわけではなく、全ての傷が敗北を意味するわけでもない。
時には、光の背後に潜む闇を打ち砕くために、退却したように見せかける覚悟も必要だ。
なぜなら、どんなに静かな計画でさえ…世界を揺るがす可能性があるからだ。




