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虚無王ザラビスは退屈している  作者: 釘宮・連
ザラビスの起源に関する注釈
7/101

第7話:非表示オプション

ギルド・ムシャフの上空の空は、ゆっくりと静けさを取り戻しつつあった。


戦いの名残の埃がまだ空気の中に細かく漂っている一方、観客たちは途切れることのないささやきを交わしながら、少しずつ散り始めていた。


「あの二人…やっぱりおかしいよ」

「女の方は明らかに人間じゃない…」

「男の方は…それ以上に奇妙だ…」


闘技場の真ん中では、ザラビスが人間の姿・レイジとして静かに立っていた。


彼の目はいつものように何の感情も映していないように見えた。


だが、彼の心の中は――そうではなかった。


重たい足音が近づいてくるのが聞こえた。


モグだ。


彼の顔にはまだ収まることのない怒りがあふれていた。


「俺…まだこの結果、認めてない」


少し離れた場所に立っていたアシアが、すぐに顔を向けた。


「どういうこと?」と彼女が言うのと、ミジャルンが同じ言葉を発するのが同時だった。


レイジは彼らの方をちらりと見ただけ。


そして――彼の唇の端が、ほんのわずかに上がった。


「ふうん…そうか」


ミジャルンはすぐに目を細めた。


「お兄ちゃん…その顔、何かたくらんでるでしょ」


「さあな」とレイジは落ち着いた声で答えた。「そうかもしれないな」


アシアは眉をひそめた。


「二人とも、何の話をしてるの?」


レイジは軽く頭を振った。


「何でもない。ただ…さっきは運が良かったと思っただけだ」


「運が良かった?」アシアは困惑しながら、小さくその言葉を繰り返した。


だが、会話が続く前に――


モグが再び闘技場の中心へと歩み出した。


「なら…もう一度やろう」


ギルド内の空気は再び静まり返った。


合図もなければ、カウントダウンもない。


モグはすぐに攻撃を仕掛けた。


彼の手から炎が爆発するように噴き出し、その規模は先ほどよりもはるかに大きかった。それは単なる怒りだけではなく――自分の誇りをかけた炎だった。


ザラビスは一歩も動かなかった。


ほんの一瞬の間に――


彼はすべてを理解していた。


攻撃の行方でもなければ、この決闘の結果でもない。


…それ以外の、何か。


何か「おかしい」こと。


だが――


彼はただそこに立ち続けた。


ドンッ!!


爆発が彼の体に直撃した。


炎が闘技場全体を包み込む。


その熱さに耐えられず、一部の冒険者たちは後ずさった。


ミジャルンは拳を強く握りしめた。


「お兄ちゃん…」


だが彼女も一歩も動かなかった。


彼女は知っていたのだ。


自分の兄が――これを選んだのだと。


煙がゆっくりと晴れていくと――


ザラビスがひざまずいている姿が見えた。


肩には少し傷がついていたが、呼吸は落ち着いている。


だが――彼は一切反撃しなかったのだ。


モグが大きく笑い出した。


「ハッ! これがお前の限界か!?」


観客たちの歓声が再びわき上がった。


ギルドマスターが手を上げた。


「勝者…モグ!」


歓声の中で、アシアはただ静かに立っていた。


彼女の視線はレイジに釘付けになっていた。


「…わざと負けたのね」


返事はない。


レイジはゆっくりと立ち上がり――そして顔をそむけた。


沈黙が流れた。


それから、アシアが小さな声で言った。


「なら…私もついていく」


ミジャルンが驚いてすぐに顔を向けた。


「アシア!?」


だがエルフの少女は彼らの方をもう見なかった。


彼女はモグの方へと歩き出す。


足取りはしっかりとしているように見えたが――心の中は明らかに違っていた。


ザラビスはただ一瞬目を閉じただけだった。


彼女を引き止めもせず、理由を説明もしなかった。


やがて騒ぎは収まり、闘技場は再び空っぽになった。


部屋の片隅では――


リヤがまだその場に座り込んでいた。


彼女の手は震え、目には涙があふれていた。


「わ、私…役に立たないんだ…」


ゆっくりとした足音が近づいてくる。


ザラビスが彼女の前に立った。


「それは違う」


リヤは驚いて彼の顔を見上げた。


「え…?」


ザラビスは真っ直ぐに彼女の目を見つめた。


「お前が役に立たないのではない」


彼は少し言葉を途切れさせた。


「この世界が…まだお前の価値を見つける方法を知らないだけだ」


リヤの目から再び涙がこぼれ落ちた。


「ど、どうして…私のことを助けてくれるの…?」


ザラビスはすぐに答えなかった。


まるで――適切な言葉を探しているかのように。


「…俺自身、お前のことを知りたいからだ」


その答えは単純だった。


だが、それだけで十分だった。


彼は手を差し伸べた。


「俺と一緒に来るか?」


リヤはためらっていた。


だがそれはほんの一瞬のこと。


それから――


彼女はゆっくりと頷いた。


しばらくして――


彼らは静かな広い草原にたどり着いた。


草がそよ風にゆっくりと揺れ、空は果てしなく広がっている。


その真ん中に――一軒の木造の家が建っていた。


ミジャルンはその家を長い間見つめていた。


「お兄ちゃん…これは…?」


レイジは短く答えた。


「一時的な拠点だ」


ミジャルンはまた目を細めた。


「…お兄ちゃんが作ったの?」


レイジは答えず、ただ家の中へと歩いていった。


家の中は――暖かく、静かだった。


リヤは戸口に立ったまま、中へ入るのをためらっているようだった。


「入れ」とレイジが言った。


「ここは…これからお前の家だ」


リヤは唇をかみしめた。


「…ありがとう…」


夜がゆっくりと訪れ、風は柔らかく吹いていた。


家の中では、ミジャルンが兄の方を見つめながら座っていた。


「お兄ちゃん」


「ん?」


「わざと負けたんだよね」


「ああ」


「どうして?」


沈黙が流れた。


数秒が過ぎ、ザラビスは窓の外を眺めた。


「…何かがおかしいんだ」


ミジャルンは眉をひそめた。


「どういう意味?」


ザラビスはすぐに答えなかった。


彼の目の色が少し変わった。


初めて見せるような――真剣な表情だった。


「…アシアのことだ」


彼は言葉を切った。


「…あの子は何かが違う」


ミジャルンは黙り込んだ。


遠く離れた、誰の目にも触れない場所――


闇の中に二人の影が立っていた。


「彼ら、ついに動き出したな」


「…ああ」


そのうちの一人が、ほのかに笑みを浮かべた。


「面白くなってきた」


再び小さな家の中へ――


ザラビスは目を閉じた。


だが彼の意識は――決して完全に眠りに落ちることはない。


「…このゲームは…」


彼はほとんど聞き取れないほど小さな声でささやいた。


「始まったばかりだ」

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