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【コミカライズ連載中】アラフォー警備員の迷宮警備 ~【アビリティ】の力でウィズダンジョン時代を生き抜く~  作者: 日南 佳
第四章・幕間

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幕間3 ミッシング・イン・アクション(2)

【Side:霧ヶ峰 静香】



「広島放送の道長です。高坂さんが日本から遠く離れた旧北朝鮮領に飛ばされたとの事ですが、これはどのような方法で確認したのでしょうか?」



「高坂メンバーは東洋鉱業様より装備の提供を受けております。これらには位置情報をリアルタイムで知らせるGPSトラッカーが付いております。盗難防止を主目的とする物ですが、今回のような突発的なMIA……作戦中行方不明に対しても効果を発揮します。東洋鉱業様のデータサイエンス部門が受信した最終位置が旧北朝鮮領の座標を示していた事により断定しました」



「しかし、こういう言い方は良くないとは思うのですが……その、霧ヶ峰CEOがおっしゃるようにテレポーターによる転移が発生したとして、現地では既に亡くなっている可能性もあるのではないでしょうか?」



「それにつきましては、ダンジョン産のマジックアイテムで確認が取れています。詳細については差し控えさせて頂きますが、少なくとも生存が判明しております」



 カメラのフラッシュが焚かれ、シャッター音の合唱が会場に流れております。やめてくだされカメラ実は苦手なんですぞ!

 しかしですな、マイベストフレンドフォーエバーの雪ヶ原氏がゴネにゴネて高坂氏からかっぱらったとさんざっぱら聞かされた江田島ダンジョン産のレアアイテム「離れずの星」のおかげで高坂さんが生きてるのを確認しましたなんて言えるはずがありませんぞ。

 そんな事を言った日にゃVoyageRの株は空前絶後のストップ安を叩き出してしまい、アイドルに処女性を求めるユニコーンめいた過激派ファンによる炎上がSNSを天まで焦がす事でしょう。

 大事な話はお口にチャック、情報漏洩ダメ絶対。ズッ友の為にも報道しない自由を行使させて頂きますぞ。

 しかしそんな拙者の誓いも虚しく、記者が追撃をかまします。



「生存を確認した方法について、詳しく説明して頂くわけにはいかないでしょうか?」



「申し訳ありません。当社と致しましても装備品の詳細は秘匿事項でして、皆様にお伝えする事が出来ません。どうぞ悪しからずご了承頂きますようお願い致します」



 ンモーしつっこいですぞ! 拙者しつこい記者とパクチーと納豆が死ぬほど嫌いですからして!

 バカ丁寧に返答しながらも拙者の脳内ではどデカいうさちゃんのぬいぐるみにムエタイ選手も真っ青な回し膝蹴りを叩き込んでおりますぞ。膝と肘を制する者はムエタイを制しますからな! 知らんけど!

 拙者がややバイオレンスな妄想に浸りながらビジネス向けのスマイルを記者に返すと「ありがとうございました」と引き下がって行きました。



 次の質問者にマイクが渡りましたが……ゲ、こいつはマズい。

 こいつ、いつも嫌な事ばかり聞いてくるフリーの記者ですぞ。誰ですかな入れたの、いつもは門前払いですよな???



「フリーの溝浜です。事案が発生して一週間も公式発表が無かった理由をお聞かせ下さい」



 やっぱそこ気になっちゃう? 気になっちゃう感じですかな? でもしょうがないんでござるよなー!

 高坂氏の居所自体は割とすぐに見つかったんで「こりゃイージーモードですぞ」と胸を撫で下ろしていたら、その位置まさかの北朝鮮!

 ……まあ、とうの昔にダンジョンに呑まれており、領土と国民と主権が消滅している時点で国家の体を成していないのは知っておりましたが、そうなると彼の地は基本的に国連管理地域になりますぞ。

 しかしダンジョンに呑まれた場合、国連軍でもおいそれと対処出来ませぬ。

 だもんで国際探索者連盟とその兵隊である迷宮探索機構が攻略に乗り出す訳ですな。

 特に旧北朝鮮・ロシア西部・南アフリカの三地域は複数の迷宮漏逸が重なる事で複合ダンジョン群として成立してしまっておりました。何て呼んでたっけ、迷宮漏逸崩壊域……CRODだったかな?

 このうちロシア西部は昨年末に完全攻略が成りました。南アフリカに関しても一応の目処がついたとの報告がありました。

 あ、これ国探連の内部情報ね。我が朋友には国内のみならず海外の情報も容赦なくぶっこ抜くスパーハカーがおりますのでな。

 ……いやマジであかりん強すぎですぞ、ナーフされんかこれ??



 しかし旧北朝鮮の複合ダンジョン群……CRODは、他二つと違ってかなり特殊な物のようでした。

 まず単純にエリアが多いだけでなく、内部が複雑に入り組んでおりマッピングが困難。

 そしてエリアごとのギミックが他エリアへの道を開く鍵になっていたりとリアルメトロイドヴァニアといった様相を呈しているようですぞ。

 極め付けにはダンジョンゲートが月イチでしか開かない特殊な規則性を持っているため恒常的な出入りは不可能で、さらにあらゆる情報が遮断される厄介な性質を持っているとの事でした。何これ、高難易度コンテンツかな?

 高坂氏のGPSトラッカーも最初の一瞬だけ情報を送信してはおりましたが、そこから先は完全にロスト。何度も連絡を試みましたが、スマホも音沙汰無しでした。



 ほな国探連に問い合わせたらええやんけとなりそうでござるが、逆に国探連も高坂氏が入り込んだ事を把握していないと思われます。

 なんせ前回ゲートが開いて閉じたのが我々が原爆ドームダンジョンを攻略するちょっと前。完全な密室状態の内情を外側の国探連には知りようもない事でござるよな?

 高坂氏の状況確認や国探連との水面下での交渉、さらには原爆ドームダンジョン攻略の後始末と怒涛の忙しさの中で記者会見が後回しになるのは当然の帰結と言えましょうな。

 でーもそんな事を記者相手に全部バカ正直にぶっちゃけても何の得もしませんからなー! 何なら今後の交渉に悪影響だって出る訳で!



「高坂メンバーが国外に転移させられた時点で、いち企業が単独で対処出来る範囲を逸脱しています。ましてや飛ばされた先が未だ条約未定結の国探連の管轄エリアともなれば、国単位での交渉が必要となります。その土台を整える必要もありましたし、原爆ドームダンジョン攻略後の手続きもありましたのでご報告が遅れてしまいました。この点は皆様にお詫び致します」


「ですが、早期に会見を開いて行方不明者の情報を出す事は可能だったのではありませんか?」


「申し訳ありません、ダンジョン最下層でのテレポータートラップの起動自体我々の想定を超える事態ですので、情報収集と対応に時間がかかってしまいました。今日の会見も出来うる中で最も早いタイミングである事をご理解頂きたく思います」


「そもそも、他のAチームのメンバーは皆無事に帰還している訳ですよね? その高坂さんの資質は原爆ドームダンジョンの攻略チームに組み込むに値するレベルだったんですか? 他のメンバーより劣っていたから事故に巻き込まれたんじゃないですか? そうなると霧ヶ峰CEOやサンブリンガーズ運営者の任命責任もあるんじゃないですか?」



 溝浜の不躾な物言いに会場がざわつき始めました。

 オイオイオイ、死んだわコイツ。この記者会見、高坂氏を腐したらどこまでも追い詰める二匹の狂犬がテレビで見てるはずですぞ?

 ほーら後ろで控えてた氷の苗字を持つ人達がコソコソ内緒話を始めておりますぞ? これもう既に指令が下りてませんかな? 

 いやはや、拙者には預かり知らぬ所ではございますが。シラナイ、ワカラナイ、コムギコカナニカダ。



 そもそもAチームが生還できたの誰のお陰だと思ってるんですかね? 紛う事なき高坂氏の功績ですぞ??

 ……まあしかし、そう思うのは無理からぬ事。現在、最下層での出来事はかなり厳重な情報封鎖が施されておりますぞ。

 その原因は何と言ってもイデアルに進化したヒロシマ・レッドキャップの存在ですな。一人一人が一騎当千とも言える戦力に格上げされてしまっておりますでな。

 その中でも回復魔法のみならず蘇生魔法まで使えるようになった一桜嬢は、人間の探索者であれば聖者認定されてバチカンに連行されかねない程ですぞ。

 Aチームの皆は高坂氏や一桜嬢達に返しきれない程の恩義がありますので、情報封鎖にはとても協力的でござった。

 しかし、その情報封鎖のせいでこのような物言いを許してしまうのであれば、裏目に出たと言わざるを得ませんな。



「……弊社の探索者の人選にミスはありませんでした。現在、最下層での出来事については各種政府機関より他言せぬよう厳命を受けております。ですが、一つだけ。Aチームが生還出来たのは高坂メンバーの献身による所が大きかった事は申し上げておきます」



 拙者が反論した矢先、溝浜のズボンがけたたましく鳴り響きました。

 最初は無視していた溝浜でしたが、ポケットからスマホを取り出し、画面を操作しているうちにみるみる顔を青ざめさせ……



「……ありがとうございました、失礼します」



 ついには会見場を辞してしまいました。いつもの溝浜ならここから的外れな持論を展開しつつとにかく質問を畳み掛けるスタイルですが、それどころではなくなったようですな。

 あーあ、もう拙者しーらない、氷の者が溝浜の後を追いかけるようにして退出していくのなんて見ておりませんぞ。

 翌朝にはネギトロめいた姿に変貌しているやも知れませんな。サツバツ!



「では、他に質問のある方はいらっしゃいませんか? それでは奥から二列目、左端の——」



 司会を務める我らが秘書のきららちゃんが次なる質問者を指定します。えー、まだやるんでござるかぁ? 拙者そろそろしんどいでござるよー。

 脳内でげんなりしながら駄々を捏ねている間にも次の質問が飛んできております。もーやだー! かえりたーい!!

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