↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おれの彼女は、アイドルなのか?!  作者: とっぺん
⑦芸能アカデミーコースは、○○がいっぱい?!
67/80

⑦-7

学校に着くと、職員室にはすでに飯村さんがいた。


もう一度、あの写真の男の顔を見たくて、かなり早めに学校に着いてるつもりなのだが、

昨日今日と、飯村さんが必ずいるのだった……。


童○にしかかからない魔法…(いまのところ)俺にしかかからない魔法…。

誰か1人でも、学校内に存在してると解けてしまうものらしく、もういっこうにかかってくれない…。


大石のババアのかける魔法は…悪意があるんだよな。

俺はイラついた。


というか飯村さんは…こんなに朝早く来てるのは…なんでなの?? とつっかかりたくなる。


教科書を開いて、授業の予習らしきことをしてるのはわかるのだが…。

そんなことは、家でもできるじゃあないか。

駅前のス○バとかオシャンティなカフェで、コーヒーをすすりながらできるじゃあないか。

と思わず口から出そうになるのを慌てて押さえた。


俺が職員室のドアを開けて「あ、おはよう(…いたんだ)」と言うと、

飯村さんは「お、おはよ」と小さな声でぼそっとつぶやいて、そのままずっと下を向いている…。


沈黙…沈黙…沈黙…。時計の針が動く音すら聞こえてくる空間…。


なんか居心地悪いなあ…と俺は頭をぽりぽり掻く。


猫村タミーとの邂逅がタイムロスだったか…。

明日こそ早く起きて、一番乗りして、写真の男をもう一度この目で見てやる…!


…と、俺が静かな決意をしていたとき…。


飯村さんが「持田くん…」とささやくように声を出した。


「え?」俺は飯村さんの方に体ごと向く。


すると、飯村さんはその場を勢いよく立ちあがり、窓を向いて俺に背を向けた。


「あ、あの…ね、私ね、ずっと言いたかったことがあるの……」


なんだろう…。実は好きだったの…とか?


イヤイヤ…それは絶対ないな。真面目な飯村さんが、この何の取り柄もないねずみ男みたいな俺を好きだなんてことはないわな…。


俺は自虐的に心のなかで笑ったあと「ん? なんだい?」と青春ドラマちっくに、かっこつけて聞いてみた。


「持田くんって…巨乳が好きなんだよね??4」


ええええええええ~!!!なんでそれをっていうか、なにそれなにそれなんなのその質問っ!!

いきなり朝からする質問ですか~?

しかもずっと言いたかったことってそれですか~?


「アイドルも好きとか皆の前でも言ってるし、ストライクゾーン広すぎて…なんかわからない…」


飯村さんは、俺を振り返り見ると静かに横に首を振ってうなだれた。

軽蔑の眼を浮かべているように見える(なんとなく)。


「持田くんはアイドルが好きだから、この学校に来たの? 真面目に教師になりたいために来たんじゃないの? 彼女って誰なの? ねえ!教えて!」


朝日の逆光でよく見えなかったのだが、飯村さんの顔付近でキラリと光るものが見えた気がした。


な、なみだ…? まさか…。


「彼女は……アイドルだけど…違うんだ」


「なにが違うの? アイドルって誰なの? この学校にいるの?」


飯村さんはヒートアップしてきたのか、どんどん声も大きくなってきた。

赤西軍団に「喝ッ!」を入れたときのように、興奮してきてしまったようだ。


「そんな…不純な動機で来てるんだったら、教師なんてならない方がいいんじゃないのっ?」


それはあ…赤西の方にばっちしきっかし当てはまるやろお?…と言いたかったが、何も言えずに黙っていた。


普段おとなしい真面目な飯村さんが怒ると怖いとは、よく大学でも言われていたがこれほどまでとは。


というか、俺なんか怒らすようなことしたっけ?

そもそもアイドルが好きでなにが悪いんだ?

好みは人それぞれだし、それを飯村さんに言われる筋合いはないはずなんだけどなあ…。


だから俺は言った。

「教師は昔からの夢だったし、アイドルだって…昔から好きだよ。

たまたま教育実習に来た学校に、アカデミーコースがあったわけで、俺は赤西みたいに好きな女の子がいるからだけで来たわけじゃないよ」


「それに…」


杏奈のことも言おうかと思ったが、口をつぐんだ。他人のふり他人のふり……。

義理の妹の学校での様子を見るからっていうのも、まあ立派な理由のひとつで、これなら飯村さんもすんなり納得しそうだけど…俺は言うのを辞めた。


「ああ…そうですか。私は巨乳じゃないし、アイドルじゃないし…ダメな女だよね」


飯村さん、今度はいじけモードで俺を上目づかいで見つめてきた。


「そんなことないよ、飯村さんはそのままで十分…」


「うそっ!! 巨乳が大好きなくせにっ!」


バレた~~~!!!…というか、なんでそんなに巨乳にこだわるの?(泣)


涙をポロポロと流している飯村さんの前で、俺は途方にくれる…。


とそのとき、バーンと職員室のドアが開いて、赤西と室岡先生が「おはようございまーす」と入ってきた。


「リカ~。どうしたんだよお。廊下まで丸聞こえだぞぉ」


赤西が飯村さんのそばに寄っていき、頭を右手で抱え込んでだきしめた。


「落ち着けって」赤西は飯村さんのつむじあたりに、ちゅっ!と音を立ててキスをする。


うわああ……と、俺はサアアと血の気が引いた。キザすぎるだろっ!


「…だってだって……」


ああ…やっぱりこの2人できてるんじゃん。俺はふうっと息をつく。

あとは2人でどうぞ~とその場からそっと離れる。

赤西はやっぱり、飯村さんと付き合いながらも……ひとめぼれした女を追ってきてる。

最悪な男やな。


「たいへんそうだねえ」

後ろからのんきな声が聞こえてきた。


振り返ると、今日もまた髪がふわんふわんとたなびいている室岡先生が立っていた。


「巨乳好きなら、意外と…根本さんなんかいいかもよ…グフフ」


へ? なに言いました? この人。


一番無害そうな…男だったのに……はじめて闇を感じた一瞬…。


「アカデミーコースは…アイドル、そうそうカワイコちゃんがいっぱい。飽きないと思うよぉ」


のほほんと笑うと、室岡先生は「今日からさっそく授業はじめてね」と言い残して去っていった。


いやいや……杏奈の担任として……ヤバイだろ。今の発言は…。

てか、性癖がバレたらクビになるんじゃないか?


俺はこうしてまた一つ……闇の秘密を持ってしまったのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。