⑤-10
後日……。
ももてぃん病を発症した智毅とともに、ある地方都市に向かうことになった。
もちろん行先は……「闇闇ガールズ 七夕ライブ」。
ももてぃんに会えると思うと胸がドッキンコ☆だが、正直いって俺はそれどころでなかった。
2日後には静蘭の学校長との面談がある。
県立あさひやま高校には、辞退の電話を入れてしまったから、静蘭に意地でも教育実習をさせてもらわなくちゃならない。
(ちなみに、智毅は県立西おかべ高校に行くことになった。いまどき珍しい男子校だという)
最近ろくにバイトのシフトも入れられず、金欠状態の俺。
せっかく行っても、ももてぃんグッズが買えないのである(涙)
彼氏として~それはどうかな~って思うんすよね~。
それに、行ったら行ったで、ももてぃんと俺が付き合ってるって事実を……
智毅に…正直に言わなきゃならんしな……。
ふう。これも俺にとって大きな課題というか、ストレスであった。
ももてぃんにこのことを相談しようかどうか迷ったが、
智毅のことをよく知らないももてぃんは「え、別に言ってもいいよぉ♪」と
軽いノリで俺に言うに違いない。
ちらっと横目で窓際の智毅を見ると、すやすやと気持ちよさそうに寝ていた。しかも……
「リリカ……むにゃむにゃ」なんて寝言も!ほざいてるし…!
すっかり恋わずらいかっ!
夢のなかにも、ももてぃんが出てくるなんて!なんてうらやましい!
悲しいかな、俺の夢のなかにはももてぃんが出てきたことはない……。
あのくそ生意気な杏奈の夢なら見たことあるけどな。
「おにいちゃん!」って泣いてたっけか……。
あの……キスした夜……。
ぶるんぶるんっと大きく頭を振った。
あいつめ…!俺が話しかけても無視しやがって!!
真っ赤な顔を冷ますように、俺は頬を両手でパンパンと叩いた。
――この日のライブは……伝説になった――
結果的に…俺は智毅を傷つけずに済んだ。
智毅は、憧れの実物リリカ(ももてぃん)に会うこともできたし、
すっかり「闇闇ガールズFC」に入り、会員たちとも打ち解け、ポイントをためて特定グループしか参加できない「闇鍋のつどい」にも参加してやるぞ~!と息まいている。
問題があるとしたら、俺自身だ。
なんであんなことを言ってしまったのか、悔やんでも悔やみきれない。
「俺の彼女は猫村タミーだ」
って、なんで???
なに言っちゃったの、俺~~~~~~~~っ!!!
あのとき、ももてぃんグッズを買いまくる智毅を見て、俺のなかの悪魔がささやいたのだ。
「このまま言わなくてもいいんじゃね?」って。
ももてぃんの借金を減らすため(俺とももてぃんがS○Xするため)に、
智毅に貢いでもらうのもアリだろって。
それに正直に言ってみな、俺の彼女って知ったとたん、智毅はまたショックを受けるだろう…。
またゾンビみたいになるぜ。生きがいができて良かったじゃん。
せいぜい、貢ぐだけ貢いでもらったあとに、「実はさ……」って言えばいいじゃん。
いやいやそれは親友としてどうなんだよ、って悩んでいる間に、
俺を見たももてぃんが「瞬くん、来てくれたんだ♪」と駆けつけてきてくれた。
額にはこぼれ落ちる宝石のような汗がついている(ペロりんちょ…と思う俺は変態だろうか)
にこぉっと俺に向かって笑ってくれた。
ももてぃん……超かわいい……。
ぽけぇと見とれていたら、智毅が「瞬くんてなんだよ。もう知りあいかよ!」って
小声で俺にささやいてきた。しかも高速エルボーで俺の胸を打つ。まじ痛いんだけど。
「お、おお……実はな…ももてぃんは……俺の…」
俺の彼女って言うつもりだったのに……!!
この話のつづきの詳細はまた今度、余裕があるときに語ろう……。
ショック過ぎて、なにも手につかんのだ。
それに……トマトちゃんっ…!!のことも。
……まあこの伝説ライブのことは……静蘭の教育実習にも絡んでくるわけで……。
もったいぶるわけではないが、とりあえず今回はこんな感じでスミマセン。




