⑤-7
大学から帰ってきて、久しぶりに部屋に掃除機をかけた。
ザリザリザリ……という不穏な音を響かせながら、あらゆるものを吸い取ってくれる。
かけ終わった後の絨毯は、深緑から黄緑に…色が変わっていた。
う~ん。不思議だなぁー(ただ汚かっただけ…とは意地でも言わない)
そうだ!智毅のために、何か茶菓子でも買ってきてやろう……。
なけなしの小銭が入った財布を持って、近所のコンビニへ出かけようと思ったそのとき、
「ただいまぁ~」と杏奈の声がした。
ここ2週間あまり、杏奈とは顔を合わせていなかった。
朝起きるといないし、夜は夜で俺もいろいろ忙しかったし。
「おかえり……」
玄関まで出迎えにいった俺は、唖然としてしまう。
白いセーラー服に、はためく赤いスカーフ……ま、まぶしいやんけっ!!
てか……めっちゃ可愛いぞ、おい…。
髪もポニーテールにして、青春雑誌?から抜け出してきたような、あまりの美少女ぶりだった。
まあ…要するに、俺の好みのストライクってとこです(照)
「にいに……?」
「な、なんでもないよ。いやはや……もう夏ですなぁ……あついあつい」
なんて親父くさいことを言って、手であおぐ真似をしながら、
半袖から出てる、細い二の腕をちらっと見てしまった。
ちょっと短めで素材も薄い…スカートから出てる、これまた細い足を見てしまった。
白いソックスなんて、履いちゃって履いちゃって履いちゃって…(エコー)
たまらないじゃないかあああああ!!
「ぐげほっ ごほっ」
内心を悟れられないように、下手な咳をして見せる。
「これからどっか行くの?」
財布を手に持っている俺に、杏奈が首をかしげて聞いてくる。ポニテもくるんと跳ねた。
「あ、これから友達が来るから……なんか茶菓子でも買ってこようって」
「杏奈も一緒に行っていい?」
「いやっだめだだめだめだだめっだ!!」
「そんなに否定しなくてもいいじゃん…。杏奈はにいにとお出かけしたかっただけなんだよ?」
「とにかく駄目だっ!」
そんな…格好でうろうろしてみろ!!きっと近所に付け回す奴らが出てくるっ!!
俺みたいに…セーラー服を見て甘酸っぱいキュンとした気持ちになる奴は、たくさんいるんだっ!!
これが本音だった。
「いつも登下校は増岡さんの車だからさ~。まりあちゃんともつまんないねーって言ってる。
制服で放課後にデートとか、あんな憧れちゃうなぁ」
デートってデートって……
そもそもアニキとの買い物は、デートって言わないぞ。
「とにかく早く着替えろよ! 智毅がくるんだ。夕飯も食っていくから、いろいろ…頼むよ」
「杏奈も、にいにの部屋で夕飯食べよっかなあ」
「だ、ダメ……いや、これはいいよ。智毅を元気づけてくれ」
俺はハフーと盛大なため息をつくと、玄関から出ていった。
そのとき、家の前からさっと立ち去る人影を見た。…ような気がした。
「……?」
杏奈がアイドルであることを、ようやく思いだす。
俺は再び鍵を開けて、玄関に入っていった。
(杏奈~変な男がいるかもしれないぞ)と、注意をしようと思い、顔を上げる。
すると……目の前には白いパンティ姿の杏奈が立っていた。
上はセーラー服のままで、下は白いパンツ&白いソックス…。
キャワワワ……///
「きゃああっ。にいにのエッチ!! なんで突然帰ってくるのおっ!」
「なっ! お前こそ、なんちゅうとこで……着替えてるんだっ」
心臓がばっくばくの俺。
てか、違うところも反応してきたかも…。
「変な奴がいたみたいだからっ! 戸締りをちゃんとしようと思って! そのうあのう……
てか、玄関で着替えるのはやめろ!!!これは兄命令だっ!」
「だって杏奈の前の家……せまかったんだもん」
言い訳になるかっ!!
「てか、にいにの顔、真っ赤だよ?」
「……っ!!///」
「あ! わかった! にいには水着ふぇちなのだね!」
「水着…?」
杏奈は両手を広げると、くるりんと回転する。
「制服の下に水着着てるんだよ~。今度、マーメイドプリンセスっていうコンテストがあるから、
あんなも水着を着こなしておこうかと思って……」
なんだ…そっかああ…水着だったのかあ…って安心できねえ! よりやばいよ!
セーラー服の下に水着ってなんだそれ! なんだそれ! なんだそれ! カアア///
とりあえずパンティではない。水着と安心して?杏奈を見てしまったが。
やはり漢である俺……どうしても下半身に目がいってしまう。
すると、再びくるりんっと後ろを振り返った杏奈は、
「ねえ…にいに? 杏奈のおしり、どう思う? 大きいかな?」
と言って、俺の方へお尻をつきだしてきたのだった……。
ちょ、さすがの俺も我慢の限界で、「鍵しめろ!! てか早く着換えろ!!」と言い残して慌てて家から出ていった。
なんなの…アイツ。童○の気持ちをもてあそんでるのっ?!キーッ!!なんて……
心のなかで毒づくものの…頭からあの白いお尻の残像が消えない……。
あんなこと……俺以外にしてるのか……。
賢者?の俺だからいいものの……普通の男だったら、どれどれ?(ゲヘヘ…)大きいかな?なんつって、お尻をまんべんなく撫でるよな?
俺だからいいものの……。
コンビニに着いて、なんだか無性に牛乳プリンが食べたくなってしまった俺だった。
白くてぷりんっとしてて、揺らすとぷるぷるって揺れる様を、思う存分見てから、
口に入れたいと思ってしまったのだった……。
ハア…なにこの病みっぷり…。
智毅の好きなのり塩ポテチと、杏奈の好きなロールケーキと、あとお茶のペットボトルなどを買って、
俺は、家まで向かった。




