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おれの彼女は、アイドルなのか?!  作者: とっぺん
⑤新年度はじまる!
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⑤-4

熊谷教授のゼミにはぎりぎりで滑り込んだ。

ゼミの人数は、大体で10~15人。(なかには途中で来なくなったやつもいるから正確にはわからないが…。)

ぱっと見て、全員がそろってることがわかった。

ヤバい!! けど肝心の、熊谷教授はまだ来ていないみたいだ。


ほっと胸をなでおろそうとした瞬間…。

ゼミのメンバーたちの冷たい目が、後ろのドアから入ってきたおれたち2人に集中した。


(今この大事な時期に、遅刻するとかってまじふざけてる)


(ぐりとぐらコンビだぜ…。卵の殻に乗ってお出ましかぁ?)


やめろおおおお…あの名作絵本をディスるなあああ!!


って……これはすべておれの幻聴だ。

すべて……「ぐりとぐら」に執着してる…おれの……幻聴だ。

朝からいろいろあって疲れているのだ(言いわけ)。



「もっち~! 遅いじゃん! 俺とっくに来てるんだけど!!」


教卓の前を陣取った赤西とそのとりまきたちが、おれに笑いかけてきた。

あろうことか手招きまでしてるではないか。


「こっちこっち~!! ほら、その友達の……もさあ! ほら来なよ」


名前を忘れられた智毅は、ロコツに嫌そうな顔をして、近くにあった席にすばやく腰かけた。

赤西軍団に取り入る気は一切ないらしい。

おれも、一応ありがとうの意味をこめて一礼すると、智毅の隣に座った。


「やっぱりあの2人、デキてるんじゃね」とクスクス笑いが聞こえてくる。

これは幻聴ではない。とりまきの1人、斉藤とかいったかそいつがニヤニヤとこちらを見て笑ってくる。


おれたちをバカにしてるのだ……と思うと、カアっと顔が熱くなった。


赤西太一はとにかくうざいキャラだが、そのとりまきたちの方が、おれは大嫌いだった。モテる赤西太一に金魚のフンのようにくっついておべんちゃら言って、その恩恵に預かっている。

こういう奴らが、これからの教育現場に出ていくのか…。

おれは一抹の不安を抱える…。


しかし、その笑いが突然止んだ。

教卓でバーンと何かがぶつけられる音がしたからだ。

委員長キャラである飯村李加子さんが、名簿を机に叩きつけた音だった。


「な、なんだよ。急になに出てきてんだよ~。飯村ァ~」


斉藤がビビッたのを隠すように、目の前の飯村さんにいちゃもんをつけ始めた。


「出席をとりますっ!! ちなみに、これまでの出席もカウントしてるんで、今さら出てきた人はもう遅いです。留年してください」


歯に衣きせぬ物言いとはよく言ったものだ。

斉藤が「ああ…あ…あ」と狼狽してる姿を見てるのは、ちょっとスカッとした。


そうだよな…斉藤はじめ赤西軍団はあんまり授業で見なかったもんな…。

出席日数だって足りてないだろう。教育実習以前の話だぜ。

くしし……いい気味だぜ。


と、その時。


「飯村くん……あんまり苛めちゃ可哀相だよ。彼らだって、来れないときもあっただろう」


背後から、熊のようにのっそりと熊谷教授が現れた。


「聞いたよ……君たちはハワイの海岸でゴミ拾いの活動をしてたんだってね」


「「そうなんす!!」」


ハモる赤西軍団。


「サークル活動の一環として、それも出席日数に含んで余りある行為だと、私は判断したよ。だから、教育実習は全員できることになった」


あま~~~~~~~~~~っっい!!!


ゴミ拾いとか絶対嘘だろ。絶対海で泳いで、そこらへんの女ナンパして

夜にはランチキ(漢字がわからん)パーティだろ。


熊谷教授ーーー!! 騙されないでーーー!!


おれは心のなかで絶叫した。でも届かなかった(というか、実際には言えないチキンなおれであった…)


「君たちにはそれぞれ実習する学校に、希望を直接出してもらっていたと思う。その回答が、大学を通して文書で来た。これから渡そう。必ずしも…希望通りではないことは…一応頭に入れておいてくれ」


熊谷教授は、教卓の前に来ると、深いため息をついた。


「まずは……希望者が多かった隣の静蘭から…言おうか。まあここは書類選考が通ったら学長と面接をしてもらうことになる。

結果、8人中3人が通った。まずは飯村李加子くん。まあ…君の場合は、母校だからな」


へえ……飯村さんか…。

まあ厳しいけど、良い女子高の先生になりそうだよな…。

封筒を受け取りにいって、席に戻ってきた飯村さんと目が合った。


さっと視線をそらされる。


え?おれの顔になんかついてた?

顔を撫でまわすが、何もついていない様子だ。

念のため、智毅にも確認してもらおうかと隣を向くと。


智毅は……念仏をとなえていた。

いや…念仏じゃない。マントラでもない。こいつはお祈りをしているっ!!


「静蘭に行けますように静蘭に行けますように静蘭に行けますように……」


いや、ガチすぎて笑えるレベルじゃないし…。


神様、智毅の願いを叶えてやってくださいよ。おれも思わず一緒にお祈りをした。


しかし、無情にも……2人目は、智毅の嫌いなあの男の名前が告げられることとなった。


「赤西太一くん」


「ひゃっはああああ!!!」


梨の天使さながらに雄叫びをあげて、ジャンプを繰り返す。

大興奮の赤西太一くん。


「センセ、まじありがと!!」

熊谷教授に抱きつく赤西太一。

男のクセに。けっ・・・・・。

って、なに顔赤らめてんすか、熊谷教授~!!


「俺、ホント絶対行きたかったんす。っていうのは、ひとめぼれした子が通ってるから……。この俺がっ!ひとめぼれした女っすよ。

興味ありません? どんだけ可愛いか。俺の夢に毎晩出てくるんすよ。

好きだよ、太一って。俺たち、両想いなんですよ~。てか、絶対リアルに両想いにしてみせますけどネ!! てかまずは学校で探さないとナ!!

俺に落とせなかった女はいないっ!! ハハハ…まってろよ~!!」


超不純な志望動機じゃねーかっ!!


いいのか、静蘭?! こんな野獣みたいな男を、乙女の園に放りこんで…。


てか、ひとめぼれされた子も可哀相に……。


このときの俺は、そんなことをのん気に考えていたのだった。


そして、3人目の名前が告げられる…!!



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