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おれの彼女は、アイドルなのか?!  作者: とっぺん
②いざ、ライブへ!
19/80

②-9

そう……ミニスカサンタのお姉さんは変身した。

トリ(最後)にもってくるぐらいだから、人気があるとは思っていたが、

想像以上に盛り上がった。

涙している人もいたぐらいだ。

変身後のお姉さんは、俺がクリスマスイブにコンビニで出会った……その人だった。

少したれめのつぶらな瞳に、ピンクの唇。

話す声も、落ち着いた柔らかい優しい声だった。

昔、母さんが絵本を読み聞かせてくれたときのような……。


それに…抜群のスタイルだから一挙一動に目が離せない。


……いや正直に言おう。

でっかいおっぱい。……に見とれていた。

動くたびに揺れる揺れる…。

柔らかいだけじゃない、ボヨンとした弾力も…感じられた。


観客席を見回したお姉さんは、後方の俺に気づいて、俺だけに手をあげてくれた。

それなのに、「こっち見て笑った! 俺にだけ手をふってくれたぜ!」と大興奮する前の席の若者よ。

悪いけど…俺にだけ!だからな。勘違いするなよ!


お姉さんはその様子に笑いながらも、瞳のなかに不安をそっと忍ばせていたようだ。


俺にどう思われるか心配だったのだろう。


でもハッキリ言って、俺には変身前と変身後の違いがわからなかった。


化け物じみた変身をする前の4人とは違い、

ミニスカサンタのお姉さんは…顔も、体型も、特別変化したところがなかったからだ。


(どこが…変わったんだ?)


はてなマークが頭でいっぱいのまま、帰ろうとした俺に、劇場案内の係の人が1枚のメモを手渡した。


もうお腹いっぱいだ…と思いつつも、メモを開いてみると……。


『話したいことがあるので、駅前の○○○リアで待っててくれませんか モモ』


と書かれていた。


そして……新年になったちょうどの時間。記念すべき時間に…。

俺はミニスカサンタのお姉さんである、「魔女っ子ももてぃん」と、24時間営業のファミレスにいた。


「ハッピーニューイヤー!」と盛り上がるさなか、俺たちはテーブル席で深刻な話をしていた。


ももてぃんは変身を解いた姿でメガネをかけて、目立たない灰色のセーターを着ていた。

間近で見ても、変身後と変わらない。

普通の美人な(巨乳の)お姉さんであった。

しかし、ももてぃんと気が付く人はいない……。すっかりアイドルのオーラは消えてきた。


俺は変わった個所を見つけようとガン見するのもおかしいと思い、ウロウロと目をさまよわせていた。


俺にとってみれば、女性と食事なんてはじめての経験でもっと浮かれていいはずだった。

それに…年越しを女性と迎えた!なんていう僥倖は、この先あるのかどうか…なのに、


ぶっちゃけ、深刻な話を聞いて、それどころではなかった。


ももてぃんはしばらくして、これから実家に帰るということで深夜バスのある都心に向かうことになった。そのときLINEを交換しませんか、と提案をされた。


俺は嬉しい反面、少しビックリした。


「どうして俺に?」


と聞くと、ももてぃんは笑ってこう答えた。


「持田くんって、うちの父に似てるんだ。だからとっても安心するし、初めて会った時から他人って感じがしなかったの」


…運命を感じた。

これだけの会話で俺は、運命を感じてしまったのだった。

俺の母にどことなく似ているももてぃん。


反対に、ももてぃんのお父さんに似てる俺。いったいどんなところが似ているんだろうか。


興奮してしまい、帰り道は、コンビニで買った缶ビールを店前であおった。

酒が弱いはずなのに、飲まなきゃやってられない気分だった。


(からかってるんだろうか…)


そう思う気持ちもあった。


だけど…ももてぃんの話は、とても考えさせられるものだった。

それにももてぃん自身は、すごく真面目で嘘をつけるような人間でないと、短い時間だったけど確信したのだ……。

そう…俺にとって想像以上の女性だったのだ。


俺がどんな人間かわからないのに、ありのままの自分をみせてくれたももてぃん。


これからどういう付き合いをしていくのかわからないが、

とにかくももてぃんのファンになりたい。そばで応援したい。

俺…「闇闇ガールズ」のファンクラブに入ろうかな…。

酔いのまわる頭で、そんなことをブツブツ言いながら家に向かう。


時間はすでに1月1日の午前1時をまわっている。

みんな寝てるんだろうな~。

静かに入らなきゃいけないよな~。

鞄をあさって鍵を取り出し、鍵穴に差し込んだ。


カチャっという音とともに開くはずのドア。

ん…? んん?

引き戸を動かそうとしても、まったく動く気配がない。


それになぜか

カチャカチャっと内側から閉められる音も同時に聞こえるではないか。


それにもめげず、俺は再び、鍵穴に差し込んだ。カチャ。

カチャカチャ。


また閉められた!!くそっ!


犯人はわかってる!こんなことをするのは杏奈しかいないっ!


夜中なので騒ぐこともできない、これくらいの分別は酔っぱらっててもついている。

小声で「あんな~あけろ~」と言うが、何の効果もない。

真っ暗な中、玄関先にだまって潜んでいるのだろう。

こうなれば……


「イテテテテテ!!」

俺はお得意の?腹痛を起こした。


「腹が……めっちゃ痛い! 助けて! 助けて!」


すると、鍵が開く音がして、ドアがそっと開けられる気配がした。

ほんの隙間が開いたのを見計らい、俺は腕を差し入れた。


直後……


「イテテテテテテ!!!」


今度は本気の叫びになった。腕がはさまれている。

杏奈が閉めようとしていたからだ。

体重を使って、力いっぱいに引き戸を閉めにかかっている。


(コイツ…! そこまでするか?!)


深夜、玄関先で格闘する俺たち。

古い家なんだから、このままするとドアも壊れる!っと思った瞬間。

勝利の軍配は俺の方に上がった。

勢いよく開けたドアの反動で、暗闇の中で杏奈が転ぶのが見えた。


「きゃっ!」


「杏奈っ!!!」


俺は夜中だというのに、大声を出してしまった。

大慌てで玄関に入る。

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