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おれの彼女は、アイドルなのか?!  作者: とっぺん
②いざ、ライブへ!
18/80

②-8 (※若干、長いし閲覧注意!)

金色の光が消えた後の舞台上には……

こげ茶と黒の縞模様の猫耳をつけた「ねこむらタミー」さんがいた。


ビックリしたのは、手まで、ぷにぷにの肉球になっていたこと。

「にゃ~ん」と招き猫のポーズをして、頭についた猫耳を揺らす。

左右の耳が交互に動いている。


(作り物にしては……ずいぶん精巧な動きするんだな……)


俺は真顔でそれを見ながら、呑気にそんなことを考えていた。


「いずれあなたの肉球も……ふふふ…な、化け猫タミーでした~」


(あなたの肉球も、って……)

俺は…まあここには書けないところを想像して、1人顔を赤らめる。

隣のサラリーマンも「ぐふんぐふん」と変な咳をしている。


三番手に出てきたのは、よこはまジュリー。

はっきり言って何の特徴もないような、縦長の顔をしている女の子だった。

見方によっちゃ、可愛いかもしんないけど……ちょっと…アイドルっていうレベルではないな(本当に失礼だけど)


そう思うやいなや、再び「メタメタメタ……」の呪文が始まった。


こうなると俺もワクワクしてくるようになる。

次は何に変身するんだ??

金色の光が終わり、鈴が鳴る。

まばたきをしながら前方に顔を向けると、舞台には、


顔のない……女の子がいたっ!!


「のわっ!」

俺は座席から崩れ落ちる。

前の席からも悲鳴が上がった。

おいおい!ここは化け物屋敷かよっ!!


心拍数がかつてないほどに上がっている。

トマトちゃんが「心臓の弱い人は……」と言っていた意味がようやくわかった気がした。


よこはまさんは、ポケットから目と鼻のパーツを取り出し、いそいそとつけ始める。

すると一番前にいたファンの男性らしき人が、

「ジュリー! 鼻まがってる!!」と声を投げかけた。


「……」


よこはまさんはお礼を言いたいのだろうけど、口をつけ終わっていないので、まだ話すことができない。頭をペコリと下げることによって、感謝の念を表した。


なんてシュールな光景なんだろう…。

おれは、恐れなのか興奮なのか、手が震えるのが止められない。


じゃあ…ミニスカサンタのおねえさんは……?

一体どんな変身をするんだ。

怖いけど見たい。見たいけど怖い。

葛藤が始まった。


隣の老婦人が俺を見て、くすりと笑う。


「彼女たちの本気が伝わった? 言っとくけどまだまだこれからがすごいんだからね」


「まるで…見世物小屋みたいっすね……」


「……」


老婦人は口をつぐんだ。そして静かに会話を続けた。


「見世物でもなんでも、闇闇ガールズは魔女に魂を売ったのよ……」


オホホホホ…老婦人は口に手をあてて、優雅に微笑んだ。

なんだろう…この婆さん。なんかさっきから怖いんだけど。

俺は少し、距離を離して席に座り直した。


舞台に目を戻すと……


「いずれはあなたのお口も奪っちゃいます…ってことで、のっぺらジュリーでしたー」

そう言ったよこはまさんは、最初に出てきたときの同一人物とは思えないくらいに、可愛くなっていた。

縦長だった顔も、すっとした小顔になっている。


(もう何が来ても驚かない……)


でもそんな決心は、見事に覆された。

第四番手に出てきた女の子は、なんと外人だった。

金髪碧眼の美少女!

まあ……杏奈の方が……俺の好みだけど。

って何考えてるんだ、俺は。

杏奈のことなんて今考えることないだろうに。

でも……こんな人間離れした芸当を見ていたら、杏奈の汗でキラキラしていたステージを思い出し、甘酸っぱい気持ちになっていた。


(杏奈こそ本当に……アイドルなんだよなぁ…)


俺は杏奈のすごさを思い知った。


それはそうと、舞台にいる外人の女の子は、変身する必要なんてなさそうに見える。

「Iam マシマ」と名乗った彼女はすでに、変身後のようにキラキラしてたからだ。金髪がライトにあたって、それだけでも金色の華やかなオーラを感じた。


でも彼女は変身をした。

変わらない姿のままで立つのを見て「やっぱり…変身なんて必要ないじゃん」と思った俺はバカだった。


彼女は首に両手を当てると、ぐいっと前方に押し出した。

そのまま首は長く長く伸びていって……


「ヒィ!」「きゃああああ」と絶叫がこだまする劇場を、見下ろすまでになった。


ろくろっくび!!


隣のサラリーマンが顔面蒼白になっている。

俺だって、吐きそうなくらいだ。お化け屋敷が大っ嫌いなのに、

なんでこんな臨場感あふれる怖いものを見させられなきゃなんないんだ!!

こんなときでも、老婦人は笑っていた。

オホホホホホ……


しばらく空中散歩を楽しんだマシマさんは、掃除機のコンセントプラグのようにするするする…と回収すると、首を胴体にはめた。


「youにクビッタケダヨ……マシマデシタ~」


マシマさん!怖すぎだから!

笑顔で去っていくマシマさんに、俺は心の中でつぶやいた。


さあ、いよいよ…ついに……ミニスカサンタのおねえさんの番がきた!

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