表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢ルートに入りました~今世は私がヒロインのようです~  作者: 春乃りぜ(ましゅぺちーの)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/80

43 準備

それからしばらくして、ヘンドリックを始めとした加害者生徒たちの謹慎が解けた頃。

アカデミーでは、生徒たちが一週間以内に行われるダンスパーティーの準備に追われていた。



「シーラ、悪いわね。遅くまで残ってもらっちゃって」

「いいのよ、どうせ遅くなったところで何か言ってくる家族はいないんだから」



会場の準備の指揮を執っていた生徒会副会長のクレアは、お疲れ様とシーラに飲み物を手渡した。

もうすぐ開かれるダンスパーティーの準備を、シーラは率先して手伝っていた。



(どうせやることも無いし……暇だったからちょうどよかったわ)



シーラはクレアから渡されたカップに入った冷たい水を一口飲んだ。

まだまだ春だと思っていたのに、最近やけに暑く感じる。かなり動いた後だから、汗も出てきた。



「そういえば、シーラは今一人で暮らしているんだったわね」

「ええ……離れて暮らすお祖父様が手配してくれたの。おかげで快適な毎日を過ごせているわ」



それはよかったと、クレアは安心したように笑った。

アンダーソン家の複雑な家庭環境は、社交界では有名な話である。前妻の死後僅か一年で再婚し、その上長女と一歳しか年齢の変わらない娘がいるのだから噂になるのも当然だろう。



(アメリアが何も言ってこないのが気になるけど……)



父と義母はともかく、アメリアは帰ってきてほしいと言ってくるだろうと思っていた。

しかし、彼女は特にシーラを訪ねることも無く、沈黙を貫いていた。



そんなアメリアの様子を不審に思いながらも、放っておいてもらえるならありがたいと彼女自身も気にしなかった。

隣に座ったクレアは、水を飲みながらシーラに声をかけた。



「ところで、シーラはダンスパーティーのパートナーは決まったの?」

「ええ、ダミアン様を誘ったら良い返事がもらえたのよ」

「あら、なら当日はダミアンと一緒に行くのね」



ヘンドリックの生家であるレイヴィス公爵家には劣るが、ダミアンのウィルバート侯爵家もかなりの名門だ。

アンダーソン家とも釣り合っているし、彼がパートナーならば誰もシーラを貶めるような真似はできないだろう。



「ところで、ダミアン様にも婚約者がいないなんて驚きだわ」

「アイツ、勉強以外興味が無いやつだからね。異性に全く関心が無いのよ」



クレアはやれやれと呆れたように言った。

生徒会の頭脳との異名を持ち合わせるダミアンは、学びを深めることこそが究極の贅沢という思考の持ち主だ。彼が十八を過ぎても婚約者がいないのは、そもそも恋愛に興味が無いせいだろう。



(今考えたら、彼よりテスト上位のヘンドリックってどう考えてもおかしくない?)



あれほど頭の良いダミアンが二位、頭の中お花畑のヘンドリックが一位。

よくよく考えてみれば、かなり異常である。



――もしかすると、ヘンドリックは不正でもしているのでは……?

そう思うものの、確信など何もない状況ではシーラの頭がおかしいと思われるだけである。

何より、それで勘違いだったとしたらただでは済まないだろう。



「クレアは……やっぱりアルヴィン殿下と行くのかしら?」

「ええ、そうね……今年も結局そうなりそうだわ」



クレアはつまんないとでも言いたげに、頬を膨らませた。



彼女はアルヴィンの兄である第一王子の婚約者であり、その仲は良好だ。

しかし、二つ上の第一王子はすでにアカデミーを卒業しており、パーティーには参加することができない。

第一王子は大切な婚約者を他の男に預けたくはなかった。そのため、最も信頼できる弟のアルヴィンに彼女を任せているのだ。



「一学年のときは殿下がエスコートしてくれたんだけどね……今はアルヴィン以外は認めないって言われちゃって」

「それだけクレアのことを大切に思っているのよ」



次期国王夫妻がここまで仲が良いと、一国民であるシーラも嬉しい気持ちになる。

彼らの下で、王国はきっとさらなる発展を遂げるだろう。



「当日に着ていくドレスを決めないといけないわね……」

「そうね、迷っちゃうわ」



今までのシーラは、ダンスパーティーでは必ずヘンドリックの瞳の色である赤いドレスを選んで着ていた。

彼にプレゼントされたというわけではなかったが、ヘンドリックが自分の婚約者であるということを周囲に知らしめたかったのだ。



そんなことをしたところで、彼の気持ちがデイジーにあるということは変わらないのに。今思えば、くだらない意地だった。

華やかな赤いドレスは、地味な見た目の自分にはあまりにも似合っていなかった。



「当日のパーティー、楽しめるといいわね。シーラ」

「ええ……そうね」



シーラは微笑むクレアに、ニッコリと笑みを返した。

今回はダミアンも横にいることだし、きっと前世のようにはならないだろう。



(最終学年なんだから……一年に一度の行事くらい楽しまないとね)



せっかく回帰してきたのだ。

今世では余計なことなど考えず、思う存分に学園生活を楽しめばいい。




読んでくださってありがとうございます!


ブクマ、いいね、評価などしていただけたら励みになります!

おかげさまでブックマーク200件超えました!ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ