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赤い糸が見える悪役令嬢らしい私は王子との婚約を破棄したい  作者: あお


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8/36

はち



なんてことだと私はジワリと涙がこみ上げた。

婚約のときは全然気持ちが伝わらないと嘆いていたけど、ちゃんと自分の気持ちを伝えればお母様はとても協力的になってくれる。

心強い味方であることがなんとも頼もしい。


「ありがとう!お母様!」


私はヒシっとお母様に抱き着いた、というよりお母様の膝の上にダイブした。

といってもお母様に怪我を負わせるようなことはない。

お母様の隣に座っている私は、上半身だけをお母様の膝の上に倒しただけだ。

「あらあら」と言いながら撫でてくれるお母様に、私はさしずめ猫のような気持ちになる。


「……あれ、でもどうしてお母様、婚約破棄に賛成なの?あんなに喜んでいたのに…」


そうなのだ。

お母様は私が王妃様に褒められたことが嬉しすぎて喜んでいたのに、私を諭すことなく、すぐに婚約破棄に向けての長期的な対策に乗り出してくれた。

映像を記憶することができる魔導具も、私の勢いがありすぎる主張を聞いただけでお母様は決めたのだ。


「母の学生時代、公の場で婚約破棄された令嬢がいたのよ」


「ほえ?」


私はお母様の突然の話に首を傾げた。

そんな私にお母様は苦笑し、懐かしむように話し出す。


「相手の男性はね“運命の人”と添い遂げたいと、幼いころから決められていた婚約を突然破棄すると宣言していたわ。婚約破棄を告げられた令嬢は突然のことで何も考えることができず、有りもしない罪を着せられそうになった」


「罪…?」


「色ボケした男の妄想よ。彼女を虐げたといって、噴水に突き落としたとか、教材を破り捨てたとか、とにかく事実とは異なった妄想を話し、罪を着せようとしていたわ」


「…ひどい…」


私は思わず呟いたあと、何故か他人事ではないような、そんな感覚を味わった。

もしかすると夢の中の女性が言っていた悪役令嬢って、王子の運命の相手に対してなにかをしたから断罪された?

確証はないがそれでも私に敵意を向けるあの王子の様子を見たらありえなくもないと考えてしまう。


「酷いでしょ?その子はね、やっと状況を理解できたとき違うと主張したの。私ではないとはっきりと発言したわ。でも駄目だった。証拠がなかったの」


「証拠……」


「そう、証拠。その子は悔しそうにしていたわ。日頃から自分の行動を証明できるようななにかがあれば…と強く思った」


「そ、それでその子はどうなったの!?」


「どうなったと思う?」


お母様は質問した私を面白がるように笑う。

私はむっとして「わからないわ!」と答えるが、その後恐る恐る「……もしかして罪に問われたの……?」と尋ねた。


他人事ではないような、お母様が話す令嬢の行方が気になってしまったのだ。

もしかしたら、未来の自分と重なることになるのではないかと不安な気持ちが押し寄せる。


お母様は落ち込む私に気付くと慌てた。

まさか悲しむとは思っていなかったようだ。


「大丈夫よ。助けてくれた人がいたの」


「助けてくれた人?ど、どうやって助けたの?!」


「ふふ…ある魔道具のレポートをまとめようとしていたその人は、ちょうど噴水に向けて定点カメラを設置していたの。魔石の大小による稼働時間を調べるためにね」


「!」


「その人の調査期間はとても長かったわ。数日や数週間どころじゃなく、数カ月といった期間で調査していたの。

だから噴水に突き落としたという証言が正しいのか、映像があるから確認しようということになり、結果無実だと証明された」


「じゃあ他のことも同じように証明してくれたのね!?」


お母様は私の問いに首を振る。

どうやらカメラは噴水にだけ向けられていたために、他の表現に対しては確認することが出来なかったらしい。


「だけどね、“溺れるところだった”と女性が泣くものだから、実際には突き飛ばされたわけではないことがわかって、他の証言も虚言なんじゃないかと疑われたの。婚約破棄を告げた男性も女性の嘘に驚いて……、自分の発言を取り消そうと躍起になっていたわ。だって、はたからみれば婚約者ではない女性の言葉を信じ、婚約者を断罪しようとしたひどい男だと一目瞭然だもの。頭が弱くともどちらが非難される立場なのか気付いたのよ」


クスクスと笑うお母様に私も釣られて笑ってしまう。

だけど良かった。その令嬢が悪だと罵られ、そして罪を着せられることにならなくて。


「それにしても誰もカメラの存在に気づかなかったのかな?」


「あら、気付くわけがないわ。だってとても小さいもの」


私は首を傾げた。

定点カメラなのに気付かないほどに小さいの?

だって定点カメラってあれでしょ?カメラを固定するために脚をつけて設置しておくカメラ。

それに魔石を供給源として動き続けさせるだなんて大掛かりになりそうだし、みたらすぐに分かると思うけど、とお母様に尋ねるとお母様はクスクスと笑う。


「小型カメラって知ってるわよね」


「勿論!筒状の棒の形の先にカメラが付いている商品でしょ?エクシロン公爵家が投資しているフローズ商店の人気商品なんだから知ってるよ!」


筒状になっているのは手に持てるように、細いから自立しなそうにみえても底には土台が装着できるようになっている。

欠点としてはやはり稼働時間が短いことではあるが、それでも重要な場面を保存したりと政治の世界にも活用されているといわれているのだ。

そしてそんなすごい商品が発売されているのがフローズ商店で、エクシロン領での専売となっているから、他で発売されるとすぐに罪を問える状態だ。えっと…こういう販売方法ってなんていうんだっけ…?

でもそっか、小型カメラならそうそう見つかることはない。

手持ち部分だって土の中に植えてしまえば地上に出るのはカメラ部分のみ。

噴水といっていたから、草むらの中に隠してしまえば誰にも見つかることはないだろう。



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