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伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第4章
199/229

19 黒い姫降臨…?

最初に地震が起きてから5日目の午後。

ほとんどの生徒は避難を終えていた。


私も、王都の伯爵邸に帰るべく、コリンへと変化して歩いていた。

馬車に乗りたかったが、学園の近くにいると馬が落ち着かないようで、馬車の手配が難しくなり、結局手っ取り早く徒歩で帰ることにしたのだ。


ヒナタから念話がかかる。


「風子?今どの辺りにいる?」


「学園から伯爵邸に帰るところだよ」


「悪いけど学園に戻ってきて」


えー…。


私は、歩いて学園へと戻ることになってしまった。

せっかく避難するところだったのに…ドラゴンのいる学園に戻るなんて怖いな。


ヒナタの指示で、途中でレベッカの姿に戻った。


いつもは、髪を茶色いストレートヘアに変化させていることが多い。

だけど、常にはめている指輪を外し、

本来の緩くウエーブした黒髪、黒い瞳で来るようにと指示された。


言われた通りに指輪を外し、頭には黒目に見えるカチューシャをはめてみた。

こういう時のために使えばいいんだ。なるほど。


男装だけど、女性に戻ってもサイズ変化の服なので問題はない。

今日は黒いローブ姿だ。


でもこんな姿で出歩いて、問題が起きたりしないのかな?

怖がられちゃうよね。


エド王子にもらった、あのブーツも履いた。



学園の正面には、騎士団や魔導師団が集結していた。

ローブを着た人たちが魔導師団だろう。

鎧とかプロテクターを付け、武器を持っている人達は騎士団かな。

魔法を使える剣士とかもいるらしいし、一目見ただけではわからない。


人がいっぱいで緊張するなと躊躇って離れたところから見ていたら、

数名が私に気がついてざわざわしはじめる。


どうしよう、見つかってしまった。

……やっぱり怖がられているよね。


その時、比較的近くにいる人達から敬礼のポーズを取られた。


「えっ……」


「お勤めご苦労様でございます!」

何人かにそう声もかけられた。


やがて、集まっていた人々が、モーゼの十戒のように道を開けたので、

私はそこを通るしかなくなってしまった。

何これ?

通らない選択肢がない…引っ込みがつかない状況だ。

もうヤケだ!


悪役令嬢のつもりで…

私はできるだけ堂々として見えるように、前を見て、背筋を伸ばして歩いて行った。

めちゃくちゃ見られているし、

『黒い姫』というような単語が聞こえてきた。


しかし、状況が読めない。

レベッカがドラゴンを何とかする空気が出ているけど、

私はドラゴンと戦えませんよ!

……って、言いたいけど、言えるわけないし。

モヤモヤした。


進んでいくと、学園の大きい正門がある。

そこには、騎士団の偉い方々が集まっているようだ。


近づいて行くと、ここでも皆、戸惑った様子を滲ませながらも、

門を通してくれる感じだった。

偉い人の中に、よく知る人を見つけた。


「ジョン先生!」

気づいたら声をかけていた。

知っている人を見つけてホッとしてしまったのだ。


先生はハッとして驚いた様子だった。

いつものような笑顔はない。状況が状況だからだろう。


先生は

「こちらで少し話をしようか」

と言い、学園の門の中に一緒に入った。


学園の敷地の片隅で話をする。


「まず、私は君の知っているジョン・グレイヴスではない」


「…えっ…」


「ジョンの兄だ」


え、あれ?…先生じゃないのか。

本人にしか見えなかった。


ああそうか、いつもは、お兄さんの姿を借りて変化(へんげ)しているのか。

確かに、瞳の色が少し青っぽいなぁ。

先生は紫色なんだよね。


「本来ならば、騎士団と魔導師団総出で対応するところなのだが、

上から、まずはエヴァンス家の兄妹に任せるようにと指示が出されている。

今から学園の正面…南側中心に、結界でぐるりと障壁を張る」


その後の説明によると、レベッカとルークさんでドラゴンを何とかすることになっており、

学園の南側半分を覆うように大きな結界を張り、街の方に被害が及ばないようガードするということらしい。

半円形のドーム状に覆うようだ。



その時いきなり、手を両手でガシッと掴まれた。

「中にはあいつもいるんです。

あいつをよろしくお願いします」


「は…はい」


ジョン先生も敷地内にいるようだ。

それにしても、ジョン先生のお兄さん、鬼気迫る感じだな。

私は何も言えなかった。


彼と別れ、私は人のいない学園の奥へと進んだ。

校舎は鍵がかかっている。

先生たちも避難した後のようだ。


校舎の建ち並ぶ奥へと進みながら、ヒナタへ念話をかけてみた。


「どこにいる?」


「そっちに向かってる」


そう、私は位置情報のわかるペンダントを付けていたんだった。

ヒナタが見つけてくれるのを待とう。


学園の敷地はかなり広い。

王都でも周辺部に位置していて、学園の北側にはほとんど何もない。

ただ、民家がポツポツと点在している。

この数日で、そこの住民も避難を終えたと聞いている。


南側だけ覆ったということは、何か意味があるのだろうか?

北へ逃げ道を作って、山に返すとか…?

でも、この近辺の山にドラゴンが住んでいるという話は聞かないけど。

いるとしても、もっともっと遠いはずだ。



校舎の建ち並ぶ奥に、魔法の修練場や剣の稽古場がいくつかあり、

合間に庭園があったりする。

ところどころに、古めかしい祠が立っていたりするんだよね。

雰囲気の良い庭園だと思っていたけれど。


そういった学園の敷地の奥の方が危ないんじゃないかと思う。

考えたこともなかったけど、この数日で何だかそう思うようになった。

地下がダンジョンになっているなんて。

祠が入り口なのかもしれない。



私は取り止めのないことを考えながら、校舎の北側で待っていた。



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