18 幽閉(エド王子視点)
俺は、他家の見合い話を壊し、父上に叱られて、
城内にある塔に幽閉されてしまった。
前のことも持ち出された。
2年前のレベッカの時の事だ。
あの時は、風子に気持ちが向いてしまって、
イザベラとの婚約を解消しようと試みた。
レベッカの強さに近づこうと修行に出たりして。
結局、レベッカの中身のヒナタと行動することになったんだよな。
後でイザベラとの婚約は解消になり、彼女も今では人妻だ。
うーん、今回の幽閉…って、何でだ?
俺をここから出られないようにする意味が何かあるのか?
……なんとなく気になる。
普通に閉じ込められたところで、
今の俺なら魔法を駆使して塔の1つや2つ壊せるだろう。
でも、見張りをつけられてしまった。
ベンジャミンを。
くそー。
あいつ、魔法を無効化してくるんだよ。
そういう術をかけられた部屋に入れられてしまったのだ。
「ベンジャミン。俺に気があるならここから出せよ」
部屋のドアに付いている、鉄格子の嵌った小窓から外へ声をかける。
「ダメです」
「なぁ。どうしたら出してくれるんだよ?」
「どうしたらも何もありませんよ」
いつもの奴とは違って、つれないな。
そういえば…
「あの指輪があればお前の相手をしてやれないこともないのにな」
俺は、なんとなく呟いた。
巨乳のレベッカに変身する例の指輪だ。
風子に使ったまま置いてきてしまった。
「あの指輪って何ですか?」
「うわっ!」
目をギラギラさせたベンジャミンの どアップが目の前にあった。
怖かった。
俺は、女に変身できる指輪があり、
今は学園にいる風子がそれを持っていると説明した。
「ああ。兄さんが前に風子に使ってたやつ。レベッカに変化してた。
…だったら、レベッカ(ヒナタ)にでも借りるからいいわよ」
「風子が持ってるのは特別だ。俺の好みのナイスバディの…」
「じゃあ今すぐ風子から貰ってくるわ!!」
食いついた。
「ダメだぞ。
あれは誰が使ってもいいものじゃないから、管理は厳重にしないといけない。
風子でもお前には渡さないだろう」
俺は踏ん反り返って言った。
「じゃあどうしたら?」
「ここから出せ」
「………」
ベンジャミンはしばらく考えた。
「ダメね。それはできないわ。
あるかどうか不確かなもののために、エド様を逃がすわけにはいかないもの」
やっぱりダメか。
「それによくよく考えてみれば、変化魔法も中和させる可能性が高いから、
私にその指輪が使えるのかわからないわ。
中和魔法の使い手は、大抵どんな魔法でも普通の人間の倍の魔力を必要とするのよ。残念だけど、変化に必要な魔力には足りない可能性の方が高いわね」
変化の指輪自体、異性への変化に使う魔力が元々膨大な物だ。
ベンジャミンやルーナにとってはさらにその倍の魔力を必要とするようだ。
個人によって、得意な魔法にも左右されるらしいが、
およそ4倍以上の魔力が必要となる計算だ。
コリンから女体化した風子は相当魔力を持っていかれていたし、
俺もレベッカに変化したからわかる。
あの倍の魔力が必要と言うならば、相当負荷がかかるはず。
そうだな。
かなりの魔力を持つベンジャミンにも、指輪を使いこなすのは無理かもしれない。
取り引きの材料には使えないか。いい考えだと思ったのにな。
「お前さ、気配は探れるか?
北のほうで何かが起こってることはわかっているんだろう?」
「まぁね。禍々しいオーラを感じるわね」
「こういう時、俺が何とかすべきだと思わないか?」
ベンジャミンは無言で俺を見つめる。
「王族として、安全な場所から黙って見ていていいとは思えないんだ。
頼む。ここから出してくれないか」
結局俺は、正面から切り込むことにした。




