17 それぞれの思惑 3
《ルーナ視点》
ベンジャミンと、お見合いの後で始めてデートをした。
王都で有名な劇場に行った後で、レストランで食事をした。
ベンジャミンとは従兄弟同士で、以前にも何回か会ったことがある。
レベッカの集まりで。
昔はあまり話したことがなかった。
普通の綺麗な男の子って感じだった。
この数年で変わったみたいで、よく話すようになっていた。
彼は王妃様のお気に入りらしく、そういう人間関係からの変化かもしれない。
女っぽい口調は、その方が話しやすいし、聞き手が注意して聞いてくれるからだそうだ。
男性らしい話し方もできると言って、私と一緒の時はそうしてくれた。
従兄弟同士の結婚は、以前ならば断っていただろう。
でも、お見合いを続けているうちに自分の気持ちが変わっていたのが大きい。
自分にとっての自分は、もっと選ばれる人間だと思っていたのが、
他人から見た自分の価値は意外と低いものなのだ。
片目が黒のオッドアイだったり、黒髪のせいもあると思う。
ベンジャミンも同じ立場として、魔法のことも含めて理解してくれそうだし、
結婚相手としてはいい感じなのかもしれないと、ようやく納得していた。
そんな感じで初めてのデートに出かけたのだ。
レストランで声をかけられた。
「ルーナ」
エド王子だった。
頭が真っ白になってしまった。
私の結婚を辞めさせようと駆けつけてくれたのだろうか?
まだ気持ちは残っていたのだろうか?
いや、そんな訳ない。……でも……
いろいろな思いが渦巻いたところでベンジャミンが言葉を発した。
「エド様。私のために来てくださったのですか?」
ああそうか。ベンジャミンのところに来たのか。
そう思った。納得しようと思った。
でも、エド王子は嫌そうな顔をした。
やっぱり私のために来たようだ。
でもそうなると…エド王子と正式に付き合うことになるのかしら。
2人は何か言い合い、揉み合っていた。
それを眺めてまだぼんやりとしてしまった。
やっと気持ちに整理がつけられたのに。
何で私の結婚話を壊しに来たのか…という気持ちと。
反面、なんだか嬉しい…?…ような、期待に満ちた気持ちが混ざっていた。
自分ではそう感じるのを止められなかった。
《ガイア視点》
一番上の姉のルーナがお見合いをしている。
もう21歳で、結婚適齢期ってやつを過ぎているらしい。
なかなかうまくいっていないようだったんだけど…。
一時期、エド様に、ルーナと仲良くなりたいってことで協力を頼まれてたことがある。
俺は何も考えずに従っていただけだった。
エド様はお姉ちゃん(風子)にも気があるようだ。
それって
『二兎を追う者は一兎をも得ず』ということなんじゃないかと思ったんだよな。
エド様は、相手を1人に絞れば絶対女はイチコロだと思うんだ。
他の女に目が行っていたら、いつかどっちにも愛想をつかされてしまうだろう。
王族だし、愛人を持ったりするのもアリなのかなぁ。
ちょっと嫌だなと思っていた、そんなころだった。
ルーナのお見合いが纏まりそうだと屋敷の執事に聞いた。
相手はベンジャミンだという。
「げげっ」
能力的には申し分ない相手だけど、
あいつが義理の兄になるのは嫌だ。
そう思ってしまった。
性格に難があると思うんだよ。
何を考えてるのか、まっっっったくわからないんだ。
あいつが義兄になるぐらいだったら、エド様が義兄になって欲しいよ。
ルーナだって言い寄られて満更でもなさそうだったし。
俺は2人が会う場所など、詳細を調べて、
エド王子に念話をかけたのだった。




