15 それぞれの思惑
《アルバート視点》
僕は考えに耽っていた。
風子も過去の記憶とともにゲームの記憶を取り戻したらしい。
エド王子のイベントの事を言ってきた。
竜が出てくるあのイベント。
そのことは彼女と軽く話をした。
風子はエド王子を危険に晒さないようにと気にしていたが、
本当にイベントが起き、その通りに事が運ぶのであれば、
その方がヒナタにとっては都合がいいんじゃないかな。
つい、物騒な事を考えてしまう。
ヒナタの想いが成就するためには、エド王子が諦めてくれるのが一番手っ取り早い。
僕はヒナタの恋を応援している。
風子にやきもちを妬かせる作戦に協力してきた。
僕のアイリス王女への気持ちは変わっていない。
ヒナタとの作戦はアイリスも承知している。
やきもち作戦の効果はあったかなと思っていたんだけど。
どうやら風子はそういうので左右されるタイプじゃなさそう。
追いかけるよりも追われる方が向いているのかもしれない。
下手したら、ヒナタのことを諦めてしまうだろう。
ただ、風子はヒナタの事を悪いようには思っていないことはわかった。
受け身過ぎやしないかと、人ごとながら心配にもなったけど。
受け身のわりには、僕に素直に譲るとは言わなかった。
それが答えなんだろう。
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《アイリス王女視点》
エドお兄様は、ルーナさんのお見合いを壊したらしい。
侯爵家から苦情が入ったそうだ。
いつもであれば、お兄様が相手の都合の悪い記憶を消すところなのだけど、
今回はそうは行かない。
ルーナさんも、そのお見合いの相手も、
中和魔法という特殊な能力の持ち主だった。
記憶を消すことができない相手だったのだ。
内輪での話し合いで、この機会に、エドお兄様とルーナさんの婚約をまとめてはどうかという話が持ち上がって、ルーナさんのお母様は、王家との繋がりができると大層乗り気のようだ。
そして、私はお父様に
「この機会に、お兄様にはしばらく謹慎していただいてはどうでしょうか?」
と、意見を言ってみた。
お父様は、
「少し考える」と言った。
色々な問題がありすぎたのだ。
学園の敷地内を震源とした地震が起きていること。
王都周辺で、魔物の動きが活発であることも把握している。
有事の際に、強い者は率先して動くべきだろう。
お父様がエドお兄様を将来的に騎士団長などの地位に付けようと目論んでいたのだから、
謹慎させたくないのかもしれない。
一体どうなってしまうのかしら。
私はため息をついた。
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《その頃の風子》
学園が臨時で休校になった。
私もレベッカとして避難しようと思ったけれど、
レベッカの家には本人じゃないので帰りづらい。
私はコリンに変化して、伯爵邸に戻ることにした。
他の生徒達は自主的に避難を始めているところだった。
1日に何度も地震が起きる。
最初の揺れで、食器などがいくつも割れてしまった。
その後は、風の魔法の応用で、割れない工夫がなされた。
生活魔法でそういうのがあって、先生たちがその方法を生徒達に急遽広めていた。
壊れた物を直す魔法もあるけれど、壊れない魔法の方が魔力も少なく済み、簡単だ。
私は寮の部屋で、術がかかったカップを眺めていた。
数ミリ浮いてるんだよね。
……これって、あのブーツみたいだよね。
エド王子に貰ったブーツ。
「あーーっ」
前世のゲームで出てきたではないか。
なんとかブーツ。
名前忘れた。
これ、地震の影響を受けないためのものなのでは?
試しに、ブーツを履いてスタンバイした。
自宅に戻るための荷造りをしながら、地震が起きるのを待ってみる。
使えそうなものはこの際何でも、4次元カバンに入れておくことにした。
《ガタガタガタ……》
揺れだ。
作業に没頭していると、忘れた頃に地震が起きた。
家具などが音を立てた。
私は、揺れていなかった。
むしろ、揺れていない時よりも安定して立つことができていた。
これは使えるアイテムだ。




