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伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第4章
192/229

12 フラグ

男子寮から女子寮への帰り道。

クロウに出会った直後、私たちは地震に遭遇した。


クロウは私を女子寮まで送ってくれた。

私とは距離を取りながら。


聞いてみれば、巨乳過ぎるのは苦手だと感じる人もいるらしい。

クロウもそういう感じなのだそうだ。


「レベッカの顔でその体型はバランスが悪い!」

と、力説された。


いや、何の主張なのよ。

これはエド王子の好みでしょうよ。

私がお説教されている気分になった。

アニメやゲームに出てきそうな、巨乳でスタイル抜群の女の子。

コスプレ気分を楽しめたと言えなくもないけど…。


なんにせよ、エド王子に指輪は返さないでおこう。





ーーーーーーーー






乙女ゲームで、

エド王子がヒロインへの好意を持ちつつ結ばれないエンドが存在した。


その前触れとして、「このイベントが起きたらエド王子の好感度が愛情から友情に戻る」

そういうフラグが存在したのだ。

これを見てしまうと、エド王子を狙っていても落とせなかったことになる。


他の攻略対象者のヒロインへの好感度の方が高い場合に起こることが多い。

それが起きたら、エド王子とは結ばれないことが確定する。


そもそも、ヒロインは私ではないのだから、当てはまるかはわからないけれど。




前触れは、この地域で起きるはずのない地震が頻発するようになる。

何故なのか様子を見ているうちに、

学園の地下にダンジョンが存在するという事が明らかになる。

そこにドラゴンが住み着いてしまっていて、それが原因の地震だったのだ。


国としては、魔導師団や騎士団を動員して対処するが、

ドラゴンから逃げ遅れたヒロインを庇ってエド王子は負傷。

ヒロインに出会ってからの記憶を失ってしまう。



その後詳しいことはゲーム上で出てこない。

好感度をチェックする画面では、彼からの好感度は愛情から友情に変化している。

その後、エド王子をデートに誘うこともできなくなってしまう。

そして別の攻略対象者とのエンドになるのだ。



エド王子とは、さっき、微妙な空気感の中で別れたところだった。

それが関係しているかはわからない。


でも、エド王子が記憶を失ってしまうかもしれないし、

危険な目に遭わせてしまうかもしれない状況を知って、

何もしないで放置するのは良くないだろう。


学園にいる生徒や職員、学園周辺の住民へ危険が及ぶ場合もある。

何かあれば相当な被害が予想される。

王都中心部への影響もあるかもしれない。



私はヒナタに念話をしてみた。

すると、すでにこちらに向かっているという。

早いな。


さっき侯爵邸で別れたばかりなのに。

「用事がある」と言って、残ったのだ。

もう用事は済んだのだろうか?


しばらく待ってみると、レベッカのヒナタが部屋に到着した。


「入れ替わってすぐに出かけたい」と言ってきた。

落ち着きのない人…。


「ちょっと待って。いろいろ話したいことがあるの」



私は、エド王子のイベントやフラグについて、簡単に説明をした。

ヒナタも、ゲームについての知識はある程度ある。

私のやっている所を見ていて質問してくるので、

主要なキャラクターを説明したりしていた。


ヒナタは、もともと少女マンガも読む人だったりする。

ただ、彼はゲームを実際にプレイしていないので、覚えていないことが多いのだ。


「うーん、つまり、

学園の地下にあるダンジョンにドラゴンが住んでいて、それが地震を起こしてる。

話の流れ上、ドラゴンがエド王子を襲う可能性があるってことか」


「まぁそんな感じかな」


「エド王子を学園に近づけないようにするか」


「そうだよね…」


問題はどうやって本人を学園から遠ざけておくか。

彼は自由に動いてしまいそうな人だし。


「王女様に相談してみたらどう?」

ヒナタが提案してきた。


「そうだね」

それが無難かな。



「そうそう、その地震が関係しているのかわからないけど、

王都郊外の森で、急に魔物の動きが活発になってきているらしいんだ。

コリンになって退治しに行きたいなと思ってて」


ああ、それで。

レベルを上げに行きたいんだ…。


「ドラゴンは今すぐにでも出てくるものなの?」

ヒナタは言う。


「うーん…ゲーム上では数日の間ブランクがあったと思うけど…

何回も地震が起きてからだったと思うから」


「じゃあ、時間的には余裕があるってことだね。

早めに出かけて早めに戻ってきたいな」


今のヒナタはレベッカになっているけど、

やけに頼もしい雰囲気を感じた。

この人といたら大丈夫って感じがするんだ。

前世でもそうだった気がする。


私たちはいつものように入れ替わった。



「風子の位置をいつでも把握できるように、

ペンダントを付けておいてくれる?」


1年生の時、私たちが入れ替わりを始める前、

ローブとメガネの次にくれた、黒い石のペンダントのことだろう。

私の位置情報がわかるものだった。


私は部屋の机の引き出しの奥からペンダントを出した。


「そこに入れてたの?」

「うん。指輪もあるよ」


黒い石の指輪の方は、即死回避の効果がかかってるらしい。

恋人としての気持ちが離れてからはずっとここに入れてある。


「一応それも普段から持っておいてくれると嬉しいんだけど」


「私がこれを持っていたら嬉しい?」


さっきのアル先輩に言われた事を思い出していた。

『ヒナタを僕にちょうだい』という言葉。

ヒナタは先輩をどう思っているんだろう。

私に対しての気持ちはまだ残っているのだろうか?



「嬉しいよ」

ヒナタはコリンの姿で、私の目を見て言った。


「ヒナタは先輩のことが好きなの?」


「気になる?」


「………」


ヒナタは私のことをじっと見た。

そのあと、黒い石のペンダントを私の首にかけてくれた。


「心配しないで」

そう言って頰にキスしてきた。

「なっ…」


質問に質問で返した挙句に、表情から勝手に何かを読み取ったらしい。


顔が熱い。

どうしてだかわからないけど、

入れ替わるときのキスよりもドキドキしてしまった。




そうしてヒナタは出かけていった。

念話が通じる範囲にいるということだったので、

たまに連絡を取り合うことにした。


強い魔物が出たら、無理して戦わないで自分を呼ぶようにと念押しされた。

無茶をしないで逃げるようにと。


想像してみたけど、私は逃げるだろうなと思った。

ヒナタに言われなくっても。

レベッカとしては強くても、気が小さい人間だから。



私はお姉ちゃんの部屋を訪ねることにした。

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