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伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第4章
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10 時期尚早

私はアルバート先輩と一緒に、学園へと向かう馬車に乗っていた。


先輩は「ヒナタを僕にちょうだい」と言った。




私はふと、遠い昔の出来事を思い出していた。

前世の学生時代のことだ。




***


普段仲がいいわけではない同級生の女の子が話しかけてきた。

話を聞いてみると、私と同じ班のK君が私を好きなんじゃないかと言う。

隣の席のK君。

感じの悪い男の子ではない。

でも、私に対してそういう気持ちがあるようには思えなかった。

だから、違うんじゃないかと言ったけれど。


彼女は彼女の主張を曲げなかった。

彼は私のことを好きなはずだと言い張った。


そうかな?

いや、どう考えても違うと思ったけど、もう黙っておいた。


すると、

「私、Kのことが好きなのよ」

そう言ってきた。


……ええっ、仲良しでもない人間にそんなことぶちまけて大丈夫?

心配になってしまった。

後から思えば彼女はそれほど必死だったのだろう。


彼女の目的は、私の気持ちを知ることだった。

私はK君に対して特別な感情はなかったので、それを彼女に伝えた。


さらに念押しで、彼に告白されても応じないで欲しいと言われたのだった。


***



ああいうのも牽制…って言うのかな?


あの時は彼に対しての気持ちがなかったから、何も揉めることはなかった。


じゃ、仮に気持ちがあったら?

……どうしていたのだろう。




私は結局、その場では、アル先輩に何も言えずに終わった。


「考えがまとまっていないので…」

と言い、即答を避けた。




ーーーーーーーーーーー



男の格好で学園に戻ってきてしまった私は、

なんとなく男子寮の部屋に戻って行った。

馬車の御者さんが、アル先輩と、男性になってる私を見て、

気を利かせて男子寮の近くまで乗せてくれた。


アル先輩とは寮の階段のところで別れた。

先輩の部屋は3階で、私…コリンの部屋は2階だ。




部屋の鍵は男子寮のも、女子寮のも、私が持っている。

コリンのものも、レベッカのものも。

ヒナタは鍵がなくても入れるらしい。


ヒナタとの合鍵を持っている時点で、

私の方がアル先輩よりリードしているのかも…なんて、内心思いながら部屋の鍵を開けていると、後ろから声をかけられた。



「ヒナタ、今帰りか?

ちょっといいか?」


「えっ?」


振り返ったらエド王子が立っていた。


ど…どうする?どうする?私?

思いもしない所での遭遇に焦った。


「あの、ちょっと今忙しいので…」

「邪魔するわ」


強引に部屋に入られてしまった。

私、忙しいって言ったよね?



彼は私より先に部屋に入っていき、ソファに座った。


仕方なく、私は持っていたカバンを下ろすと、エド王子に

「お茶いれますね〜」

と、一声かけた。


あれ…でも、会話を始めたら、私がヒナタではないと気づかれてしまうよね。

このまま2人きりでいるのは、いい予感がしないな。

『早くコリンと入れ替わってこいよ』

って、この前言われたし。


入れ替わったら、男女の関係になってもいいのかと言われた気が……


「うわっ!」


台所で考え事をしていると、エド王子が後ろから抱きついてきた。


「やめてくださいよ。男同士で何考えてるんですか?」


「お前、風子だろう?」


「えっ?…ち、違いますよ」



私はヒナタっぽく見えるよう、必要のない伊達メガネをかけている。

大丈夫だ。誤魔化せるだろう。

エド王子を引き剥がしにかかる。

でも、なかなか離れてくれない。




それにしても、突然会ってもいい匂いがするし、

色気があるし、王子ってすごいなと思ってしまう。

フェロモンみたいなのが出ているのだろうか。

めちゃくちゃイケボだし。


そんな油断が招いたのか、手を取られ、指輪をはめられた。

黒い石がついたリングだった。


《ポンッ》


私は変化した。


戸棚のガラスに映った姿は、レベッカだった。

下を見る。

すごい巨乳……この前のやつだ。

おおっ。巨乳のレベッカ。


とにかく胸が重い。

……ええっ?何これ、足元が見えない。



エド王子に、あらためて後ろから抱きしめられる。

後ろから密着され、腰に手が回されている。


「離してくださいよ」

「そう言われて、離すわけないだろ」


どうしよう。耳元でいい声で囁かれてドキドキする。



それでも彼の手は一度腰から離れ、私の髪を撫でた。

頭なでなで?……

疑問に思った次の瞬間、自然な動作でメガネをするりと外された。



「元に戻ったなら戻ったと、言ってくれなきゃな?」


気がつけば、至近距離から迫力ある瞳が覗き込んでいた。

緑の瞳を直接見られてしまった。

風子だということがバレた。…もともとバレていた?


「いつから気づいてたんですか?」


「最初から。ヒナタなら鍵は使わない」



彼にがっちりホールドされてしまった。

身体に力が入らない。

男性から女性への変化だからだ。


「うーーっ……」

私はジタバタと逃れようとしてみて、無理だと悟った。




そして、無力さに呆然としていたら、

自分の身体ではありえない巨乳がどうしても目に入り、気になってしまった。

自分で触れてみる。

感覚はあるけど、自分の身体の一部としては、違和感しかない。

これがあるために、エド王子が腰に回している腕すら見えなかった。


「………」


「………」


そんな様子に気がついたのか、彼が私の胸に触れてきた。

そっと、様子を見ながら。

服の上から撫で回される。


「やっ…ああっ…ちょっと、やめてくださいよ」


「お前だって触ってたじゃないか」

「自分で触るのと、触られるのは別なんです!」



嫌だ…嫌だけど、嫌じゃない。

彼の手が怪しく動く。


「いやっ…ああん……っ…もう、エドさま…やめてください……」


変な気持ちになってきてしまった。


彼は私の背後に密着しつつ、私の顔を振り向かせるようにして、

強引に口付けてきた。

それはすぐに深いものに変わってしまい、胸を弄られ、

私はしばらく翻弄された。


その後、急に私は横抱きに抱っこされた。


「エドさま?」


彼は私を寝室に運んだ。

身体を触ってきたり、いつもよりも余裕がなく、焦っているようにも思える。


「まっ、待っ……」


私をベッドの上に横たえると、唇を唇で塞いでくる。

着ていたローブも脱がされた。


コリンの服は、変化に合わせてサイズはレベッカのサイズに変わっていたけれど、

ジャケットやシャツというデザインはそのままだ。

ヒナタはサイズ変化の服を用意して着ていたらしい。

……いやいや、今はそこに引っかかってる場合じゃなく。


これ、貞操の危機じゃない?


ああでも、レベッカじゃなければいいって、前に言ってしまったような。

もっと先のこと考えてよ、自分!

思っても相当遅かった…。


ジャケットのボタンも外されてしまった。

シャツのボタンに彼の手がかかっているところだ。

男装だから下着は付けていない。


どうしようどうしよう。

こうなるにしても、今じゃないはずなのに。


何でこうなってしまったんだろうと思った。





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