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伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第4章
189/229

9 侯爵家訪問

夢を見た。

前世の夢。


あれは、風子と別れた後。

俺たちが終わってしまってからしばらく経ってからのことだった。


あの日、駅前で彼女を見た。


風子は別の男と仲よさそうに歩いていた。


彼女はこちらに気がつく。

チラチラとこっちを何度も見る。

一緒にいる男はそんな彼女の様子に気がついていなかった。


すれ違うときも、彼女は子供のような好奇心を丸出しにしてこちらを気にする。

俺は目をそらす。

不思議そう…というか、本当に俺なのか確認したかったようだ。


でも、そのまま彼らは通り過ぎていった。

仲睦まじく手を繋いで。


ああ。

……あの時一緒にいたのがヒナタだったのか?




目が覚めた俺は、汗びっしょりだった。

良くない予感がした。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



数日後。

侯爵邸。


私はヒナタと一緒に侯爵邸にやってきた。

結局、私たちは入れ替わり、私はコリンの姿に戻っていた。

ヒナタが準備した、瞳の色を変化させて見せるカチューシャの出番は無くなった。

まあ、侯爵様は娘であるレベッカの事情を知っているということだったので、

よく考えれば、入れ替わりを隠すアイテムを使う意味もないのだけど。




「緊張する…」


「大丈夫だよ」

レベッカの姿のヒナタは私の手を握る。


「今日はお父様だけだから」


レベッカのお父様は侯爵という立場上忙しいようだ。

2つの家庭を行き来していることもあるようだけれど。


忙しい合間に時間を作って会ってくださるということらしい。

そして、私の気持ちがまだ決まりきっていない事も考慮してくれたようで、

ご両親ではなくて、お父様との面会という感じになったようだ。



この屋敷に最初に来たのは、ガイアの護衛のアルバイトの帰りだった。

その後、消された記憶を戻したくて、ルーナさんに会いに来ていた侯爵家。

結局ルーナさんには会えなかったけれど……。


私がヒナタと一緒に来るという未来を想像したことはなかった。

こんな日が来るとは…ドキドキするなぁ。




応接室に通され、侯爵様と対面した。

レベッカのお父様は、結論から言うと、

感じのいい、ダンディなおじさま…という雰囲気だった。


実年齢は40歳手前なんじゃないかと思う。

この世界では結婚が早いから。


そして、レベッカ(ヒナタ)が言っていたように、

歓迎ムードだった。


「うちの娘が迷惑をかけていないかい?」

と、気遣ってくれたぐらいで、恐縮してしまった。


以前に、レベッカが領地の伯爵家に挨拶に来た時のように、

今回も、レベッカと侯爵様が主に話していた。

主導権をここでも奪われている感じだ。

…でも、それが嫌ではないのだけど。


領地のことなど、雑談を交えながら話していると、お昼ぐらいになった。



そのとき、部屋の外が少し騒がしくなった。

レベッカのお客さんが来たらしい。

レベッカが廊下に出て対応していると、

一緒に昼食を……ということになったようだ。


レベッカのお客さんが来たなら私は帰った方がいいのだろうか…

そんな事を思っていると、その人が呼ばれてやってきた。


「…アルバート先輩?」


「こんにちは」


爽やかに微笑みながら立っていた。

そして、侯爵様の方を見て挨拶した。


「初めてお目にかかります。

アルバート・ハイドと申します」


レベッカにも軽く紹介を受けた後、私達の輪に加わった。

何故先輩が?……気になってしょうがなかった。


レベッカ(ヒナタ)も普通に接している。


何故だかわからない状況の中、

会話の内容としては、レベッカと侯爵様が話していた内容と変わらず。

そこにアル先輩が加わった形になっただけだった。


侯爵家と男爵家の領地のこと、名産品、特産品などの話題が出ていた。

婚約者の家に挨拶に行くのってこんな感じなのか?

さすがの私も、なんだか変だなと感じてしまった。


和やかに食事の時間が終わり、

侯爵様は次の予定のため帰って行った。

結婚についての具体的な話は何も出ないまま。

それについては内心ホッとしてしまった。



私とレベッカ(ヒナタ)とアル先輩は、そのまま食後のお茶の時間へと移った。


嫌な予感がしていたけれど、レベッカとアル先輩だけが話していて、

私は会話に入って行けない。

私が知らない話ばかりだったのだ。


居心地の悪さにしばらく耐えた後、ようやく帰る意思を伝えると、

アル先輩も私と一緒に帰ると言い出した。


表面的には非常に和やかなんだけど。

ここでも嫌な予感は消えなかった。


それでも結局、レベッカの姿のヒナタを侯爵邸に残して、

私とアル先輩は一緒に学園に帰ることになった。


帰りの馬車の中で言われた。

「ヒナタに聞いたよ。

風子も男としての人生を選ぼうとしているんだってね」


「………はい…」


「風子はさ、エド王子にもヒナタにも、

それほど強い気持ちは持っていないってことだよねえ?」


「………」


私は何も言い返せなかった。

どっちつかずでフラフラしてしまっているから。

自分で自分が嫌になってしまうから。



「どちらにもその程度の気持ちしか持っていないのならさ。

ヒナタをボクにちょうだい?」


にっこりと微笑みながら告げられた。

自信に満ち溢れた感じだ。


一瞬、何を言われているのかわからなかった。


アル先輩はお姉ちゃんのことが好きだったはずなのに。

年末のダンスパーティーでお姉ちゃんと踊ったと聞いている。

……ああ、でも、女の子でも男性でも、どっちでも好きになれるとか言ってたっけ?


そんな事をぼんやりと考えてしまった。






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