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伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第4章
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5 怪しい2人

私は、女子寮に戻る途中で考えていた。


そうだ。

私はコリンとして男性の人生を生きるんだ。

女性の心では、女の子と恋愛できないからと悩んだ時もあった。

でも、私にしては人生の早い時期に恋愛という経験もできたし、

この先は男性として自由を謳歌するのもいいんじゃないだろうか。


前世での私は、もともと話すことが得意じゃなかった。

男性に生まれていたら何かが変わっただろうかと思うことが多かった。

男性に憧れていた。


1人で夜道を歩いても何も言われないだろうし。

門限を設けられて不自由に思っていた自分にとっては憧れだ。


女性よりも体力もあるし、稼げそうだし。

そうであれば結婚の必要もない。

自由だろうな…って思っていたんだ。

(きっと男性には男性の悩みもあるのだろうけど)


自分は実家に必要とされていないと感じていたから。

お姉ちゃんがいたら私なんていらないって思っていたから。


生まれ変わったら男になっていたというのは、

案外そんなところから始まっていたような気がする。

自分の深いところの悩みを解決する形で転生できていたのかもしれない。



ーーーーーーーーーーーー





その女子寮への帰り道、ヒナタとアル先輩が一緒にいるところを見かけた。

珍しい組み合わせだ。

花壇の近くのベンチに座って、何か熱心に話し込んでいる。


気になった私も、側にあったベンチに座って、

エド王子にもらったばかりのブーツに履き替えた。

これで足音はしないはず。


なるべく気配をさせないように、認識阻害の魔法もかけた。

ちょっとした探偵気分だ。

何やってんだ、私。



でも、近づいても音は聞こえてこない。

防音だ。

防音の結界が張られているんだ。


少し離れているけど、そこから2人の表情を見ることにする。

最初のうちは2人とも真面目な顔で話していたと思ったら、

ヒナタがちょっと焦った感じになって。

最後は何か心が通じ合ったように、楽しそうに笑い合っていた。


《ズキン》

心臓が嫌な感じで跳ねた。


んん?何、今の。

ヒナタとは最近仲良くしていたから、ショックだったのか?

そうだよね。

なんだか寂しいんだ。


そう納得して、その場を離れようとした時、

慣れないブーツだということを忘れていた。

私は派手に転んでしまった。

2人が近づいてくる。

逃げようとしたけど、うまく立てずにジタバタしてしまった。

我ながらカッコ悪すぎる。


「…風子?

どうしたの?大丈夫?」


盗み聞きしようとした相手に心配されるとは不覚だった。

そして、ジタバタしてるのを見られて恥ずかしい。


アル先輩も、戸惑ったように、心配したように覗き込んでいる。


ヒナタが私の手を取り、立たせてくれた。


「これ、エド王子が履いてたのと同じブーツ?」


驚いた様子だった。


ベンチに誘導してくれて、擦りむいた膝に治癒魔法をかけてくれた。

優しさに泣けてくる。天使みたいだ。


「ありがとう…。

ところで、2人で何を話してたの?」


「それは……授業のことでちょっとね」


「何でもないよ」

アル先輩も穏やかに微笑んだ。



でも、この日から、

この2人が一緒にいるところをよく見かけるようになってしまったのだ。

何でもないと言いつつ、2人の距離感が前よりも近い。

イケメン同士のカップル誕生かと、女子生徒の間でも噂に登るようになっていた。



私はヤキモキした。

だって、アル先輩は前世女の子だったんだ。

しかもヒナタとは恋人同士だったらしい。





私は、アル先輩の気持ちを知りたいと思った。

でも、直接聞くのが怖くて躊躇われたため、

キャロルに聞いてみることにした。

私は無口で人とあまり関わっていないため、情報通ではないのだ。


「アルバート先輩?

そういえば、ダンスパーティーでは王女様と踊っていたわね。

パートナーとしてエスコートしたんですって。

一時期噂になっていたけど…身分の違いもあるからねえ」


「今は2人はどうなってるの?」


「どうも何も、特に表立った噂はないみたいよ」


「そうなの?本当に?」



アル先輩はお姉ちゃんを諦めたのだろうか?


「うん。美男美女カップルで、目立ってたけどね。

でもいろいろ難しいんじゃないかしら。

この世界って身分が違うとね」


声を低くして言う。

「アルバート様、カッコいいけど、地方の男爵家三男だものね。

同じくらいの身分の女子からは、

お婿さん候補としては優良物件と言われてるけど。

でも言いたくはないけれど、彼の実家はあまり裕福ではないらしいから、

自分もそれなりのお金持ちじゃないと手を出しづらいかもしれないわ」


「そうなんだ」


なるほど、そこは割と想像していた通りか。

…ただ、将来的にはかなり出世するんだろうと思うけれど。

だって、乙女ゲームの攻略対象者だし。



「何?風子はアルバート様を狙ってるの?」


「いや、私じゃなくって……いや、何でもない」


私は曖昧に笑って誤魔化した。


ヒナタがアル先輩を狙っているかも。

相思相愛かも。

……なんて、言えるわけがなかったのだ。





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