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『死ぬほど愛されたい』と願ったら、最強の公爵家に転生して家族の愛が重すぎます!〜赤ちゃん令嬢は『慈愛の眼』で今日もデレを解析中〜  作者: 五十嵐紫
第1章:意識が戻ったら、そこは「愛の沼」でした

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私はレティシア。公爵家の「奇跡の宝物」

意識がはっきりして数日。私の生活環境は、控えめに言っても「異常」だった。


まず、私の寝ているこのベッド……もとい、ゆりかご。

最高級のシルクと、触れるだけで微かに癒やしの魔力を感じる「世界樹の枝」で組まれているらしい。前世の私が一生かけて稼いだ給料よりも、このゆりかご一台の方が高いのは間違いない。


(……SE時代の私がこれを見たら、泡を吹いて卒倒するレベルの贅沢ね)


私は天井に吊るされた、虹色に輝く魔石のモビールを眺めながらため息をついた。

……あ、今の吐息も「あぅ……」という可愛い音にしかならない。


「見てください、アラリック様! 今、レティシアがアンニュイな吐息を! わずか生後数日にして、この高貴な雰囲気……まさしく我がグランヴェル家の最高傑作ですわ!」


母、ルナが頬を赤らめて興奮している。

隣でパパ――公爵アラリックが、真剣な顔で頷いた。


「ああ、間違いない。レティシアは知性の塊だ。もしかすると、言葉を理解しているのではないか? ……おい、シエル。例の件はどうなった」


兄であるシエルが、一歩前に出る。十歳とは思えない、理知的で冷徹な……それでいて妹を見る時だけはデレデレに溶けきった瞳で私を見つめた。


「父上、例の件ですが……」


シエル兄様は、手に持っていた魔導具を掲げた。


「レティシア専用の『自動子守唄再生装置』です」


「……え?」


「レティシアが眠りにつくと、自動的に僕の録音した子守唄が流れるようになっています。さらに、泣き声を検知すると、僕の声で『大丈夫だよ、レティシア』と再生されます」


(……お兄様、そこまで!?)


《解。対象:シエル。睡眠時間、直近72時間で合計3時間。状態:妹への愛情により、睡眠欲求を無視しています》


(お兄様、寝てください!)


「それに、万が一レティシアが夜泣きをした時のために、全自動ミルク調合システムも作ったんだ。温度、栄養、魔力濃度、全部レティシアの状態に合わせて最適化されるよ」


「まあ、素晴らしいわ、シエル!」


「だろう? 母上!」


「ええ。でも……」


母様がニコリと微笑む。


「レティシアのためなら、私が直接作った方が早いのではなくて?」


「…………」


兄様の顔が固まった。


「……それは、確かにそうだね」


(そこで納得するの!?)


そんな家族の会話を聞きながら、私はふと、自分の小さな手を眺めた。


前世では、キーボードを叩くことしかできなかった手。

誰かに褒められることも、誰かに抱きしめられることもほとんどなかった。


それが今は。


「レティシア、寒くないか?」

「お腹は空いていない?」

「眠くない?」

「抱っこしましょうか?」

「いや、私が抱く!」

「父上、僕が先です!」


(……愛されすぎてる)


胸の奥が、じんわりと温かくなる。


前世では、一度も感じることのできなかった安心感。


私は小さな手をぎゅっと握りしめた。


(……そっか。これが「愛される」ってことなんだ)


すると、その瞬間。


《通知。個体名:レティシアの精神状態が安定しました》


《新規称号を獲得:【家族愛の中心】》


(……称号まで付くんだ)


私は思わず、ふふっと笑った。


「あぅ……」


「「「か、可愛い……!!」」」


家族全員が一斉に悶絶する。


(……やっぱり、ここは「愛の沼」だわ)


でも。


私は、この沼から抜け出すつもりなんて、最初からなかった。

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