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『死ぬほど愛されたい』と願ったら、最強の公爵家に転生して家族の愛が重すぎます!〜赤ちゃん令嬢は『慈愛の眼』で今日もデレを解析中〜  作者: 五十嵐紫
第1章:意識が戻ったら、そこは「愛の沼」でした

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解析スキル【慈愛の眼】の目覚め

意識がはっきりしてくると、私は自分が豪華なゆりかごの中にいることに気づいた。

前回の記憶通り、目の前には絶世の美男美女。私の父様と母様だ。


「ああ、見てくれルナ! レティシアが私を見て笑ったぞ! 今、確実に『パパ、大好き』と言っていた!」

「まあまあ、アラリック様。レティシアはまだ生後数日ですよ? でも、確かに今のは私への微笑みでしたわね」


金髪の偉丈夫、公爵アラリックは、戦場で敵を震え上がらせるという「獅子将軍」の面影など微塵もなく、鼻の下を伸ばしてでれでれだ。

銀髪の美女、公爵夫人ルナも、その優雅な手つきで私の頬をなでながら、瞳をハート型にしている。


(……この人たち、ステータスとかどうなってるんだろう)


ふとそう思った瞬間、脳内にあの無機質な声が響いた。


《解。固有スキル【慈愛のマスターアナライズ】を発動します。対象:アラリック・ド・グランヴェル。解析を開始します》


目の前に、半透明のウィンドウが浮かび上がる。


名前:アラリック・ド・グランヴェル

種族:人間(英雄級)

職業:グランヴェル公爵、王国軍総帥

称号:【愛娘の奴隷】【親馬鹿神】【大陸最強の剣聖】

魔力量:計測不能(測定器が爆発するため)

スキル:【神速剣】【一騎当千】【娘への無限の献身】

状態:極度の興奮、レティシアへの過剰な愛情


(……称号のクセが強い! あと、魔力量が計測不能って、このパパどれだけ強いのよ)


驚いている暇もなく、、次は母様に視線を向ける。


《解。対象:ルナ・ド・グランヴェル。解析を開始します》

名前:ルナ・ド・グランヴェル

種族:人間(賢者級)

職業:公爵夫人、元宮廷魔導師長

称号:【慈愛の聖母】【レティシア第一主義】【氷結の魔女】

魔力量:計測不能(星の鼓動と同等)

スキル:【全系統魔法無詠唱】【聖域展開】【娘を邪魔する者への慈悲なき裁き】

状態:レティシアに離乳食を食べさせる日を夢見て、恍惚としている


(お、お母様も……!? 魔力量が星の鼓動って何? 全系統魔法って何!?)


どうやら私は、この国の、いや、この世界の軍事力と魔導力の頂点に君臨する夫婦の間に生まれてしまったらしい。

しかも二人とも、その強大な力を「私を愛でるためだけ」に使おうとしている節がある。


「アラリック様、見てください。レティシアが少し驚いたような顔をしていますわ。……もしや、この部屋の温度が0.1度ほど低いのではなくて?」

「何だと!? すぐに騎士団を呼んで、暖炉の薪を最高級の香木に変えさせよう! 庭の聖獣たちにも、レティシアのために風を操るよう命じてくる!」

「あら、良い考えですわね。ついでに、レティシアの産着をあと百着ほど新調しましょうか。シルクの質がまだ甘いわ」


(ひ、引く……。愛情のスケールが大きすぎて、ちょっと引くレベルだよ!)


私はあまりの衝撃に、思わず「あぅ……」と声を漏らした。

すると、部屋の扉が勢いよく開いた。


「父上、母上! レティシアが声を出したと聞いて!」

駆け込んできたのは、十歳前後だろうか。


プラチナブロンドの髪をなびかせた、将来を約束されすぎた超絶美少年だった。


《解。対象:シエル・ド・グランヴェル。解析を開始します》

名前:シエル・ド・グランヴェル

種族:人間(神童)

職業:公爵家長男、次期当主候補

称号:【シスコンの極北】【若き天才魔導士】【妹の騎士(自称)】

魔力量:将来的に世界を滅ぼせるレベル

スキル:【超速読】【妹守護魔法】【妹を害する者への抹殺衝動】

状態:妹の産声に感動し、全財産を妹に譲る準備をしている


(お兄様お前もか……!)


シエル兄様は、ゆりかごに顔を近づけると、宝石を見るような目で私を見つめた。


「レティシア、お兄様だよ。大丈夫、君の周りの悪い虫は、僕が全部消しておいたからね。安心してすくすくと育っておくれ」


(悪い虫って……私、まだ生まれて数日なんだけど!?)


どうやら、私の新しい人生は、前世の「誰からも顧みられない孤独」とは真逆の、

「家族全員からの、逃げ場のない超重量級の溺愛」

から始まるらしい。


《確認。個体名:レティシアは現在、極めて安全で愛に満ちた環境にあります。》

《推奨:されるがままに可愛がられること。》


(……分かったわよ。もう、こうなったら、全力で赤ちゃんをやり直してやるんだから!)


私は覚悟を決め、目の前の美少年兄様に、ぷにぷにの手を伸ばした。

それだけで、部屋中に「ぎゃあああ! 手を! 手を伸ばしてくれた!!」という、

大陸最強クラスの人間たちによる絶叫と歓喜が響き渡るのだった。


私の二度目の人生は、どうやら「愛の沼」の底からスタートする。

けれど、悪くない。

前世でボロボロになるまで働いた私への、神様からの特大のボーナスだと思って、

この過保護すぎる日常を、鑑定スキル片手に楽しんでいくことにしよう。

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