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異世界学園いざなぎ高校園芸部  作者: 桂虫夜穴


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23/27

23、毛じゃなくて、フサらしい

「キヒヒッ!」


「気持ち悪りぃ笑い方すんなって!ハハハッ!」


箸休めが終わり、七草がまた、本題に戻った。


「わかったよ!

..で、ここからジワジワ品種改良して行く訳だな。

しかし、どの地点でデカケツ改に舵を切ったんだろね?

ハナからそれを目指したんかねえ。

急に想像してしまったのかねえ。

「これ、実寸大の桃尻にしたら面白くね!」

..みたいな。

でも、この時点じゃ、桃尻姫だったはずだよ。

ネーミングは...」


「そうだな。何故、「桃尻姫」から「けつのけ姫」に変わってしまったかだな。

問題は...」


ヨッシーの疑問に七草が即決回答した。


「問題も何もないだる。

ケツの割れ目から毛みたいなのが出てるからだろ!」


「そだな!はははっ!」


ヨッシーが顔をクシャクシャにして、笑った。

これには、即納得したようだ。


「ところで何なんだ、この毛は?」


今度は七草の疑問に

ヨッシーがスマホをググって答えた。



「厳密には毛じゃ無いだろうけど...

えーと、なんだ。

ああ....フサらしいぞ。

ホラッ、みかんとか苺とか枝と.

繋がってるところだよ。」


七草は驚いたし、すぐには納得できなかった。


「本当か?オジサンが

何か、突っ込んだんじゃないのか?」


「そんな訳ねーだる!

わざわざ気持ち悪くせんでもいいたる。

この立派な桃尻のフォルムだけで充分

素晴らしいのに敢えてこれが付いてるのは

オジサンにとっては

これがキモなんだろ一番大事なんだろ。

これが付いて完結なんだろ。」


「そうだな。

キモイのが肝で桃ケツで完結したんだな。」


「ウマイッ!」


「うまいじゃねーよ!」


「いや、美味いのかね。これ?

こんなにデカいと大味っていうか。

甘さとか、どうなんかね。水っぽかったりして...」


ヨッシーの疑問は尽きなかった。


「そうとは限らんだる。

スイカだって、あんなに美味いんだぞ。

去年の、あの七海んちの果蔵園の極上スイカ。

最高だったじゃん!」


「あれは、また、別格だけどな。

でも、だとすると水々しくて甘い~~いヤツも

夢じゃないな。

食ってみてーな。」


その願望には現実問題が重くのし掛かった。

ヨッシーの気が少し沈んだ。


「そだな!でも、これ絶対高いぞ!

私ら庶民には手が届かんよ。」。


七草も一気に意気消沈して、しまった。



「パーティ用とか贈答品だろうな。

一般じゃ流通しとらんだろうし...

見たことねーよ。こんなの...」


「そらそうだろな。

このオジサンしかまだ作ってないんだから...

数が、まず少ないだろうからな。

注文販売かネット販売ってとこだろうな。」

あーあ、高嶺の桃尻姫か!」



ヨッシーの、しみじみした言葉に七草がツッコンだ。


「イヤッ!高値のケツ毛姫だ。」


「けつのけ姫だる。!

けつの毛とケツ毛じゃ響きの違いだけで

キモさが変わるもんだな。」


「そんなん、どっちでもえーわ!

あーあ、喰いてーなあ。そうだ!

七海んちの果勘園で作らせるんだよ!

そうすりゃ、食べ放題だ!」


再び七草の瞳が煌めきを取り戻したが

ヨッシーツッコミが即反応した。


「そんなの、いつになるか、わからんだる簡単にできる訳じゃ無し...

苗でも、分けてもらわん限りは夢のまた夢けそれに出来たらとしても最高責任者はおじさ

七海じゃない。食い放題はないぞ!」


「まあ、一個くらいは恵んでくれるだろ。」


「そら、そうだ!」


不毛会話は終了した。


"ガラッ!"!


突然、鉄製扉が開いた。

部長の冬本千晴と副部長の夏掛七海だ。


「こんにちは!皆さん、お揃いですね。」


「ああ、ところで今日は、なんの集合だ。

このクソ暑いときに...


七草が椅子に、ふんぞり返って不満顔で言った


「ああ、これだ!


七海が抱えていた大風呂敷に包まれたモノを

差し出した後、テーブルの中心に置いた。

ズッシリとした感触が見ただけでわかった。

一同の視線が、そこに集中した。

みんな、顔色が変わった。

絵も知れぬ期待感に包まれたのだ。


「七草。不満なら帰ってもいいぞ!」


七海の発言に七草は気持ち悪いくらい下手に出た。


「何をおっしゃいます。七海様!

帰る訳ないでしょ。何なら泊まりますよ。」


七草のあまりの豹変ぶりに、七海は苦笑いで応えた。


「そこまで、せんでえーわ!

急に態度を変えやがって!」


「いやいや、その大風呂敷の中身…..

あれだろ。なあ….

あれだろ!去年、ご馳走様になった。

超高級スイカだろ!」


七草はテーブルにひれ伏し

大風呂敷を直近で下から眺めた。


「俺は、ご馳走してないぞ!

あれはオマエの母上様がウチから買って

ご馳走してくれたんだったろう。」


「そうだった。

でも、制作総指揮を担っているのは

夏 果園だろ?」


「大袈裟な言い方、せんでいいよ!」


「いいや!アレは、それ程の逸材だよ。

神より、おぼし召し果物界一の史上最高品種だ!

人類が携わった唯一、自然界に対等出来る銘品だ。」


七草は立ち上がり、両手を広げ熱弁した。


「ハハハッ!散々、なめて貰った後で申し訳無いけどな。これはアレじゃないよ!」


七海の言葉に七草の顔色が、また変わった。


「なーーにい!何でそれを早く言わん!

褒めて損した!」


七草はプチキレしてドカッと椅子に座り込んだ。


「ゲンキンな奴だな!

オマエが機関銃トークで話し掛けるからだろ。」


「じゃあアレか、かぼちゃか?」


七草は懲りずに質問したが、七海は呆れ顔だ。


「かぼちゃ持って来てどうするんだよ!」


「ハロウィン用に

今から準備しとくとかじゃないのか?

種出しとか乾燥させたりとか

結構、下準備が、いるんじゃなかったっけ。

違うのか?」


七草と、同じくヨッシーも疑問顔だ。


...そう言いながら

七海が大風呂敷の結び目に手を掛けた。


「そんなに珍しいヤツなのか⁉︎ 」


七草が、大風呂敷を凝視しながら

ゴクリと固唾を飲み込んだ。

ヨッシーも緊張しながら言った。


「だからこうして

風呂敷をほどかずに焦らしていた訳だ。」


「まーな。それ程のモノだぞ!これは!」


七海の自慢口調の後に七草が叫んだ。


「ちょっ、ちょっと待て!ヨッシー!」


七草とヨッシーは顔を見合わせた。


「いやいや...ナクサ!

それは、いくら何でもありえんだろうよ。」


ヨッシーは激しく手の平を振って

否定の仕草をした。


「なんだ!心当たりがあるのか?」


七海の言葉に七草が応えた。


「いやいや、あるっちゃあるけどなぁ…..

ヨッシーイ!」


七草はヨッシーに目配せしたが

ヨッシーは相変わらず、手の平を振っている。


「ああ、そうだ。ナイナイ!それは、無い!」


「オマエら、何、おじ気付いてんだ。開くぞ!」


七海が風呂敷の結び目に手をつけた時だ。


「ちょっ、ちょっと待ったぁ!」


七草が叫び声をあげた。


「わっ!なっ、何だよ。びっくりしたぁ。」


七海は本当にビックリしたようだ。


「悪りぃ!ちょっと心の準備が....」


と言った直後だった。


「あっ!短亀ちゃん!」


フワ~~~ッ!深業色の大風呂敷の角が

ゆっくりと四方に広がった。


短亀ちゃんが風呂敷の結びを解いたのだ。

当の本人は澄まし顔で微笑んでいる。



素晴らしいものが姿を表した。

それは高級風呂敷の上に鎮座している。


「わーーっ!」


みんな感嘆の声を上げた。


巨大なお尻..いや桃尻が圧倒的な存在感で

その自らの尊厳を主張している。


みんな自然に手を合わせた。

感動屋の部長は、もうその瞳に涙を浮かべていた。

彼女は独特な感性を持ち合わせた稀有な人なのだ。


「ヤベーよ!七海!何だって

こんなモンスターをアンタが持ってきてんだよ!」


ヨッシーも七草も興奮していた。


「そうだよ!これは、神が造りあそばした..

それに匹敵する程のモノだぞ!」



「だから、オマエら、大袈裟だって

これは、ここにこうして実在する人が作りしものだ。

いや、こっちまで変な言い方になっただろ!

作ったものだ。」


「…って、事は買ってきたんじゃないのか?

まさか、七海、オマエが作ったのか?

育てたのか?育成したのか?」


「同じ様な事、繰り返してるぞ!

それと、俺が作る訳ないだろ!

親父だよ。ウチのオヤジが作ったんだ。」


「なぁーーーーーいーー!?!?!?」


「もう、いいか?少し、落ち着け。

一体どうしたんだ?」


「ハア、ハア、ハア。何をおっしゃる。

神なる創造主のご子息様!」


「七草!気持ち悪りぃって、持ち上げ過ぎだろ。

後が怖えーよ。それに神とは無関係だから。

普通に桃だ。」


「これが、普通なもんか!

それは誰の目にも明らかだ。」


「そうですわね。これは、やはり特別ですわ。」


部長にとっては別の意味で特別な様だ。


「これを七海のオヤジさんが、作ったのか?

じゃあ、ネットに上がってるのは…

ヨッシー画像だせ!」


「ホラ!」


「どれどれ..........あっーー

そう言えばオヤジさんだ!

一回くらいしか、会った事なかったもんな。

それにしても、アンタら、やらかしてくれたね!

..で、今、彼は、どこのムショに服役してんだい?」


「何、訳のわからん事をいってんだ!

何も不正な事はやってないぞ!」


七海は突然の言いがかりに動揺していた。


「えっ!大丈夫なのか?このエロ画像!」


「何だ?見せてみ...えっ!?

何だこれ!こんなのが出回ってるのか?

ヨッシー!削除要請してくれ!今だ。今すぐだ!」


七海は予期せぬ事に驚いた。


「ああ、今したよ。次期削除になるだろ。」


「何だ。夏掛果園が発信元じゃ無いのか?」


七草の言葉に七海が答えた。


「ああ、誰か第三者の仕業だな。

果樹園のお客さんもいたし、誰か特定は出来んな。

ただ、ウチとしてはまだ市販出来る段階まで行ってないからな。

まあ、市販は期待せん方が、いいけどな。」


「何でだよ。こんな凄いもの。

売り出したら大儲けだる!」


七草の打算発言に七海が苦笑いで答えた。


「それが、そうもいかんのだ。

採算が合わないんだよ。」


「どう言う事?」


みんなポカーンと、していた。


「この桃は

一本の木に一個しか実をつけられんのだ。

元々、実が少なく付く様に品種改良してあるんだが

そこから更に間引きをして

一番良いものを残して育て上げるんだ。

最後は...

栄養をこの一つに集中させて完成させるんだ。」


「おっ、おい!そんな貴重なモノ。

いかんだろ!私達ごときが頂いたら....」


ヨッシーの心配性を七草が諭した。


「ヨッシー!どんだけ自分を卑下しとるんだ。

ほっといたら腐っていくんだぞ。

朽ち果てていくんだ。

ここは、ありがたく頂くとしよう!」


「心配するな。これは、間引きした方のヤツだ。

オヤジが、「いつもお世話になってるから」ってさ。みんなにご馳走してやっててくれって

持たせてくれたんだよ。」


七海が満面の笑みで言った。


「オヤジさん!相変わらず太っ腹!」


ヨッシーが感心した。七草も同感だ。


「そうだよ!感謝しかねーよ!

それにしても、間引きでこれか!美し過ぎる。

これも売ればいいじゃないか!」


「俺もそう思うがな。

オヤジが、それは決めた事だからな。

それが、こだわりなんだ。

オンリー1を育てたかったんだと...

その年に立った一つだけ、最高の桃に

「桃太郎姫」と言う名を授ける。

それは、もう儀式みたいなものだ。」


七海の語りにみんな感動していたが

七草には疑問が浮かんだ。


「ちょっと待て!

名前は「けつのけ姫」じゃなかったか?」


「何だ、そのヘンテコな名前は?

そんなのつける訳ねーだろ。」


七海の発言に七草が

スマホの画像を彼の顔の前にかざした。


「だって、ホラ見るよ。

これ!スクショだけど。」



「ああ、これか!

配信したヤツが

サムネイルに勝手に書き込んだんだろ!

あの界隈は全く、無法地帯だな。

デッカイ桃と言えば、桃太郎だろ。

桃から生まれた。桃太郎だよ。

姫は桃姫から残したんだ。

桃姫を品種改良して成った桃だからな。

それで桃太郎姫だ。」


「クーッ!最高だな。崇高な話だ。

けつのけ姫じゃ、こうはいかんかったな。」


七草が歓喜した。


「しかし、その「けつのけ姫」っての大丈夫かな?

ウチがジブリに訴えられんかな。」


七海の心配にヨッシーが答えた。


「それは、大丈夫そうだな。

あちらさんは、沈黙を守っとるよ。

訴えは、元より何のコメントもしとらんよ。

何か動いて反応すればネット民の思う壺だ。

更にある事ない事を書き込まれかねん。

鎮静化を待つ魂胆だ。」


「確かにそれが得策だ。

ウチは見つけたら

こまめに削除要請するだけだ。」


「そだな!」



続く

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