20、めざせ!アイドルオーディション
放課後の園芸部の部室。
「あのぉーっ!
私の事をお忘れじゃないですかっ⁉︎
存在自体を無きものとしておいでじゃないですかっ⁉︎
この短亀摩姫をっ!」
「おっ!いたのか!
アンタ最近、チョン君と同じだ!
存在感、薄いんだよ!」
「えっ⁉︎ 初めからいましたよ。
先輩達をたてて、遠慮してただけですよ!
そんな機関銃バトルトークに中々入って行ける
間もないし勇気もないですよ!
でも、絶対に、ここは譲れません!
私も、入れて下さい!
その、アイドルオーディションメンバーに!」
「あんなぁ、アンタさぁ…
また、何か企んでるだろ…
オーディションで
短亀うどんの宣伝をするつもりじゃないのかい?
あの生徒会の選挙演説。
うどん屋の宣伝に終始しただろ。
豊富も何も取っ払って
「このクソ暑い夏に冷やしうどんが
おすすめでーす!」
…とか、さぁ…
あんな事、やられたら、ぶち壊しなんだよ!
絶対、落選確実だよ。どうせ…
「短亀♪短亀♪短亀〜っ♪ うどんは結構長め〜っ♪」
…とか、歌うんだろう!
あーあぁ、恐怖でしかないよ!」
「だったら、七草先輩こそ、どうするんですか?」
今のCMソングだって
音程、外れっぱなしだったじゃないですか!
一音も合って無かったですよ!
音痴の上にバカデカ声
それとあのギクシャクダンス!
アイドルとしての要素…
必須事項が全て抜け落ちてるじゃないですか!」
「そっ、それは!
今から、ヨッシーの「鬼の特訓」で、何とか…」
「誰が鬼じゃーーっ!」
「そこは、いいんだよ!
まぁ、しょうがねーか!取り敢えず…
短亀ちゃんも参加させるとしてだ…」
「取り敢えずも…しょうがないも…
何だか、残念で、嫌な言い方ですね…
全面的に認めて下さいよ!」
「ああ、わかった。認めてやるよ。
でも、宣伝は無しだぞ!」
「ハイ!わかりました!
ヤッターッ!」
「よしっ!ヨッシー!善は急げだ!
私達の分も、一緒に参加申し込みしてくれ!」
「何、言ってんだよ!
それは、銘々、せんとダメだろ!」
「そうか…めんどくせーな!
まぁ、いいや…ホレッ!」
七草はヨッシーにスマホを放り投げた。
「ワワッ!
落としたら、どうするんだ!」
「いいから、いいから、私の分、申し込んでくれ!」
「ハーッ⁉︎ 訳わからん!
そんな事、自分でしろよ!」
「頼んます!
操作がよくわからんのよ!」
「じゃ、名前は?」
「えー…春野…
…って、そんくらい知っとるだろうがっ!」
「あっ、そう…
じゃあ、してやんない!」
「ああっ!…ヨッシー様!
ヨッシー殿 ヨッシーちゃん!
お願いしまーす!」
「そう言う事だよ。
人に、ものを頼んで偉そうにするなよ!」
「ハイ!そだねー!
お願いしまーす!」
「しかし、どんな服を着て行くかな…
おしゃれ、しないとな…
交通費は、どれくらいかかるんだ?」
「一時審査は、この申し込みのアンケートと
写真画像だろ…
二次は、リモートだし…
普段着でいいんじゃないか!
交通費も、いらんよ!」
「しかし、二次に受かれば
3次審査が本選なんだろ!
そうなりゃ、おしゃれして
花の東京じゃないか!」
「ナッ、ナクサ!アンタ…
やっぱり、のぞいただけなんだね!
このアイドルオーディションって
隣街の町おこしのイベントでやる
アイドルオーディションだよ。
だから、そんな大層なもんじゃないんだよ!」
「ええっ⁉︎ ハロプロじゃないのか⁉︎
さっーしーの二代目オーディションじゃないのか?
モー娘とか、乃木坂とか、
フルーツジッパーの妹分じゃ、ないのか!」
「そんな訳ねーだろ!全部違うよ!
そんなん、さすがに私も、気が引けるよ!」
オーディションでコスプレが披露できれば…
くらいの感じだよ。」
「ヨッ…ヨッシー……そんなぁ…」
気落ちした七草だったが
部長は真っ先に逃げの言葉を放った。
「あっ、七草さん…私……
やはり、母にあまり心配かけたくないので…
色々、しくじってますから…」
短亀ちゃんも、その後を追っかけた。
「わっ、私も…お店の方…
ここのところ、結構、忙しかったの忘れてました。
あー…うっかりしてましたーっ!」
「ええ…みんな…そんなぁ……」
七草はさらにローテンションになったが
ヨッシーが"ガッ!"と、その肩を抱いた。
「ナクサ!いいじゃん!
二人で、やろうよ!
おもしろそうじゃん!
受かっても、受からなくても…」
ヨッシーの言葉に七草の瞳が輝いた。
「そうだな!おもしろそうだもんな!
令和のピンクレディーだ!」
「令和って、言いながら
メチャクチャ昭和を引きずっとるじゃないか!」
「いいんだよ!
それよりヨッシー!
あの衣装、また、使えるじゃん!
UFOの衣装で、いけるよ!」
「そうだな!
今度はナクサの分も作ってやるよ!
「ヤッター!
楽しみにしてるぜーっ!」
「イェーイ!」
二人はパチーンと勢いよくハイタッチした。
そして、井の中の蛙、二人が
奇跡的に3次審査まで進んだ。
「ヨッシー!やっぱりこれ、スターウォーズだよ。
ノッポとチビで、あのデコボココンビだよ!」
ヨッシーの作ったアイドル衣装は
さすがの完成度。
銀色のラメがヨッシーのモデルばりのボディに
ピタリと張り付いて電飾ギミック付きだ。
七草の衣装は金色に輝く超ミニワンピ。
しかし、その豪華さに七草は完全に負けていた。
そんな二人が並ぶと
映画のワンシーンを
彷彿させずにはおかなかったのだ。
「スターウォーズもUFOも似たようなもんだろ!」
「おおざっぱだな!間口が広過ぎるよ。
まぁ、いっか!思い切ってやるしかないな!
おっ!出番だ!いくか!」
二人は、商店街のイベントの
アイドルオーディションのパフォーマンス審査の為
舞台に勢いよく飛びだした。
続く




