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魔の増す間に  作者: 負けうさぎ
冒険者、はじめました

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37/50

35.片付けはしましょう

手合わせを終え少し休んだあと俺は周りの地面を修復する。


魔法などの俺たちの戦った痕で周りはボコボコになっているので、それを一つずつ魔法で整えていく。


「終わりが見えないな...」


誰にも聞かれることも無い嘆きをこぼしながら作業を続ける。

もう一人の当事者の師匠はと言えば手合わせが終わって早々に帰って行った。



ため息をつきながら奥にある森を見ると魔力がたくさん動いている。


魔力が見えるようになってから見ると沢山いるな...


魔獣がこちらの様子を伺ってるのが何となくわかる。


この場所は水場もあって日当たりもいいから魔獣からしてもいい立地なんだろうが師匠のテリトリーなため入っては来れないんだろう。


わざわざこちらから関わりに行く必要は無いのでまた地面の整備に戻る。




作業が終わる頃には日も落ちかけていた。


疲れた...


今日は魔法の練習をいつも通りしてその後に師匠と手合わせをし最後にこれだ、疲れないわけがなかった。


家に帰ると師匠が夕飯の支度をしておりテーブルの上には既にスープとサラダ、お互いの取り皿が用意されていた。


「お、ちょうど帰ってきたね。今呼びに行こうかと思ってたんだ」

「師匠も手伝ってくれたらもっと早く終わったんですけどね」

「疲れた弟子に美味しいものを食べさせてあげようとしてるんだ。できた師匠だろ?」


少し嫌味を言った程度では師匠には響かない事はもう一緒に暮らしてるうちにとっくに理解してるので今回も諦める。


「それで、今日のご飯はなんなんですか?」

「今日のはなかなか上手くできたね、ほらオーガの角煮だ!」


目の前にはいくつもの幼児の拳サイズ位の脂の乗ったお焼き色とも少し違った茶色く染まった四角く切られたお肉が皿にのって出てくる。


そこから漂ってくる香りもとてもよく食欲がそそられる


「確かにこれは美味しそうですね」

「早く食べよう、いただきます!」

「いただきます」


師匠も早々に椅子に座ると食べ始めるので俺も自分の取り皿にとって食べる。


ちなみにこのいただきますというのは俺が前世の仕事でターゲット達がよくしていたのを見ていて、なんとなく一度やって見たら師匠が気に入ってそこからは毎回やっている。


オーガの肉は口に入れると歯を使わなくても食べれるんじゃないかという程に柔らかく味もショーユという豆を使った調味料で味付けされていてとても美味しい。


「すごい美味しいですね!」

「そうだろう!しっかり煮込んだからなとても柔らかくできた!」


師匠も料理の出来に満足そうに食べ進めている。


「今度俺にも作り方を教えてください」

「いいけど、私もなかなかこの柔らかさは引き出せないから上手く教えれるか分からないよ?」

「それで大丈夫です」


料理の出来が毎回少し変わるのは仕方がない、あくまで俺も師匠もプロではなく趣味レベルだ


「ところで角煮って言ってましたけど角煮ってどういう意味なんですか?」

「さあ?料理本にそう書いてあったからそう言っただけで意味までは知らないね、四角に切って煮込むからじゃない?」


師匠も詳しくは知らないみたいだけど確かに名前から考えればそれが一番しっくりくる


ある程度味が濃ゆ目になっているためサラダとスープも頂くとこちらも美味しい。

今日は疲れていたのもあって食事が身に染みる。


料理を食べ終わり全ての皿を洗い終わったら軽くシャワーを浴びてリビングで本を読む。


「今日中には読み切りたいな」


俺の手には『ケンディの冒険譚 上』があり、昨日まで読んだところに紐を通してどこまで読んだかわかるようにしてある。


この本は読み進めているとほんとかよという物語がいくつかあり、異世界なのもあって実話か作り話なのかちょっと分からなくなってきている。


今読んでいるところではケンディが村を守るために魔獣の群れに一人で戦うため夜に群れの元に忍び寄っている所だが夜ならケンディ前が見えないんじゃ……?


そんな疑問もありながら読み進めているとお風呂からあがった師匠が髪を魔法で乾かしながら歩いてくる。


師匠は湯船に浸かるのが好きみたいで毎回浴槽にお湯を張っている。

俺はシャワーで十分なので湯船には入らないがたまに師匠が俺がシャワーを浴びている時に突撃してきて無理やり入れられることは何回かあった。


あの時はラリアットみたいな形で風呂に突っ込まれたから気を失いかけたなと懐かしく思っていると師匠の口から衝撃の言葉が発せられる。


「そういえば言い忘れてたけど、コハク明日街におりてしばらく冒険者として活動しな」


は?明日?


「は?明日?」


しまった、びっくりしすぎて考えたままに喋ってしまった。


「そうそう、やっとコハクの分のアイテム袋もできたし手合わせしてもういいかなと思ったからね」


そりゃあ街で俺が冒険者活動をするという話はずっとしていたし別れ際に色んな人にもまたすぐ来ると言っていたから分かってはいたがあまりにも急すぎる。


もう就寝前といった時間帯に普通話すか?


「なんでそんな急に言うんですか、明日ってもう今から準備は出来ないじゃないですか」

「別に用意するもんなんかないだろ、必要なものはこっちで用意しといたから明日に向けて早く寝るんだよ、おやすみ」


そう言って自分の寝室に戻る師匠に「おやすみなさい」と返して見送りまた手元にあるケンディの本に目を向ける。


......とりあえず今日中に読まなきゃ


その日はいつもより遅めの就寝となった


朝眠い目をこすりながら起きる。昨日は遅くまで起きていたのでまだ少し眠い。


しかし今日は街に降りる日だ。

昨日の夜は急に言われたので少し戸惑ったが今は少しワクワクもしている。


この世界に来て初めての一人行動で冒険できる。

初めての師匠との別行動に不安もあるがケンディの冒険譚を読んだせいか楽しみの方が大きい。


俺はベットからおりて顔を洗い軽い朝食の用意をすると師匠も部屋から降りてくる。


「おはようございます師匠」

「おはよう〜」


挨拶をすると、師匠は欠伸をしながら洗面所に入っていった。


あれ?昨日早く寝てたよな?


師匠は別に朝が弱いということも無いためあんな姿は少し珍しい。


戻ってきて椅子に座る師匠に聞いてみる


「師匠があんなに朝弱いなんて珍しいですね?」

「昨日部屋に戻ってからちょっとね、それより今日だけど街に行く際飛行魔法は禁止だよ」

「飛行魔法が禁止?どうしてですか?」

「街に降りるついでに魔獣を倒して資金作りをしていきな」


なるほどそういうことか


確かに街に降りれば宿に泊まらないといけない、しかし宿に泊まるにもお金は必要だ。

魔獣を倒して冒険者ギルドに持っていけば買い取ってもらえて、お金が手に入るということか。


「分かりました、どのくらいに出発すればいいですかね?」

「昼前くらいに出ればいいんじゃないか?」


俺はそのまま朝ごはんを食べた後はとりあえずいつも通り家事をして外に出ると大事なことを思い出し師匠の元に走る。


「師匠!外に干してあるお肉に停止魔法かけといてください!」


師匠はなんのことかいまいちわかっていない様子だったが大事な事だ。

ここはちゃんとしてもらおうと思い手を引っ張って外に連れていく


「急になんの話?」

「昨日見たじゃないですか、外に干してるベアコングのお肉ですよ。停止魔法をかけておいてください」

「別に停止させなくても私がちゃんと作っておくよ?」

「それだと俺が食べらないじゃないですか!?」


このまま街に行ってしまえば帰ってくるのはいつになるか分からない

長引けば腐ってしまったり師匠が全て食べてしまうかもしれない。


「わかったわかった。ちゃんと停止させて奥から心配するな」


師匠が目の前で停止魔法をかけるのを見てようやく安心できる。


服はさすがに何着もは持っていけないので二着だけ持っていく、気回せれば問題は無い。

実際師匠の言うとおりそこまで用意するものはなかった。


せいぜい服と街に行く途中に食べるパンくらいしか無かった。

本来冒険者なら鎧だったり武器なんかも必要なんだろうけど俺にはそういったものは必要ないのでほんとに何も無かった。


暫くは戻らないので部屋の掃除をしていると師匠が扉を開けて部屋に入ってきた。


「ほら、これがアイテム袋だ」


そう言って俺に差し出してきたものはパッと見はなんてことない綺麗な巾着袋だ。


「これはどのくらい入るんですか?」

「性能は私が使ってるのとほぼ変わらないね、入る量の限界はほぼ無いと考えていいよ。ちゃんと時間停止の魔法もかけておいたし」


容量はアイテム袋によって変わり当然その量で値段が変わけだがそこに時間停止魔法までかかってるとなれば、このアイテム袋一つ売るだけで貴族になれるくらいの値はつきそうだな。


当然売ったりはしないがなんともないようにこんなもの作ってしまう師匠はやっぱりとんでもないなと改めて思う。


「それとこれもあげる」


そう言って師匠は俺に何かを手渡してくる。

なんだろうと思い渡されたものを見るとそれはメガネだった。


メガネ……?


「そのメガネにはコハクの瞳を普通の目に誤魔化す魔法がかけてあるから街中で過ごす時はそれをかけてるといい」


なるほど、これから街中で過ごすのにずっとローブのフードを被ったままでは生活はしずらかっただろうからこれもとてもありがたい。


「師匠ありがとうございます!ところでしばらくって話でしたけどどれくらい街で過ごせばいいんですか?」


そういえばそもそも期限を聞いていなかった。

流石にあまり長いと少し寂しい気がする


「んー、それじゃあ冒険者ランクがBになるまでは頑張ってきな」


あまり考えてなかったのか師匠は少し考えるとそう提案した。


Bランクか...

今の俺のランクが確かDだったはずなので二つ上だ。

冒険者ギルドのランクをあげるのがどれくらい大変か分からない

でもこの前ギルドでしばいたやつが確か腕前的にはBでもおかしくないと言っていたから大丈夫かな?


俺は師匠に「分かりました」と返事をして師匠に貰ったアイテム袋に早速先程用意した軽食と服を入れていき家を出るため玄関に向かう。


「それじゃあ師匠行ってきます!すぐに帰ってきますからね!」

「あぁ、行ってらっしゃいコハク。もし困ったことがあれば帰っておいで」


ここでBランクになるまで帰ってくるなと言わない所に師の甘やかしを感じるがそれも嬉しい


初めての一人旅にワクワクしながらも家の前で俺を見送る師匠に大きく手を振りながら進み師匠が見えなくなった頃森に入り当たりが暗くなる。


少し歩くとパキッと乾いた枝を踏んだ音が辺りに響く。


道中なんとなく森に落ちてた真っ直ぐな木の棒を拾い『コエダー』と名付けた。

しばらく歩いて進んでいると俺の周りにいくつもの魔力が集まってくる


「早速か...」


姿は見えないが魔獣が俺の周りを取り囲んでいるのがわかる



確かに森に入ってまだそんなに時間が経っていないのに魔獣と戦っていたら街に行くまで時間がかかりそうだな……





今回も読んで頂きありがとうございます。

どんな評価、感想でも励みになりますので良ければお願いします。

次回も是非よろしくお願いします( ´ ▽ ` )

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