表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見合い相手は殺し屋でした⁉ 幸せを掴むスリリングなメソッド。  作者: 八波琴音


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
32/39

32

 デパートの窓際に位置しているその茶店にはモダンな雰囲気の座席の脇には長く続く池があり、そこを鯉や金魚が泳いでいた。

「何にする?」

 優雅に泳ぐ池の鯉を珍しそうに眺めている百合亜にメニューを差し出し、レオンが尋ねた。

「ええっと、わたし……お水……」

「水?」

「こういうお店の場合、飲み物を頼むよりも食べ物を注文した方が原価率的に、お得なようなので……お水とトーストをいただこうかしら」

 おおよそ華族のお嬢様とは思えぬ台詞に、レオンは呆気にとられるどころか、感心したように頷いた。

――なんという堅実さ。素晴らしい。ますます理想的だ。

 普通なら引いてしまうかもしれないところだが、ますます好感を抱いたレオンは頬を微かに染めた。

「千蔵さまは……?」

「僕も同じものに――」

 と応えたところで、「お決まりのようですね」と、素早くウェイトレスが駆け寄ってきた。

 あまりにテキパキしている様子に違和感を覚えていると――

「こちら、あなた様へ」

 そっと耳打ちしながら、レオンにメモを手渡してきた。

――な……っ。こんなときに……。

 それを開いたレオンが慌てた表情をした。

「……千蔵さま?」

「いや、申し訳ない。ちょっと、うちの会社の方で。電話を掛けてきても……?」

「ええ。どうぞ」

 レオンは店の端の方に設置された電話ボックスに入っていった。

――『お仕事』かしら?

 千蔵――レオンの本業を知っているだけに焦りを感じない百合亜は落ち着いた様子で微笑んだ。

 その様子を見てほっとしたレオンが電話に出た相手に「こちらレオン」と言葉を発した。

『随分変わった場所に居るようだが……?』

 電話の向こうの声が怪訝そうに尋ねる。

「今日は休暇だと言った筈だ。どういうつもりだ?」

『悪い。ちょうどずっと追っていたターゲットの近くにおまえが待機しているようだったからな』

「待機って……俺は――」

『今回の件を片付けてくれれば、減給の話は白紙。破格のボーナスを進呈しよう』

「乗った」

 思わず即答してしまったが、出た言葉は回収できない。

 百合亜のことはどうしようかと思う間もなく、ターゲットの居場所と簡単な特徴と名を告げられ、一方的に電話が切られていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ