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どうして私がラスボスなんだ【更新停止中】  作者: 月草ユズ
今日から私も悪役令嬢?
18/34

【18】どうやら事件はまだ終わっていないらしい。

 

「ーーーエミリア様とラーナ様が……?」


 行方知れずとは一体どういうことだろうか。


「ええ、実はカトレット嬢もあの後体調を崩し寝込んでいまして。あなたには心配させるから伝えないようにと彼女に頼まれていたのです」


「エミリア様が……」


 てっきり元気にしているものだと思っていたアリスは自分の考えが甘かったことに気づく。

 魔力が人よりだいぶ多い自分でさえこの有様なのだ。片棒を担がせた少女がいくら主人公といえどなんともない筈がなかった。回復魔法とはなかなかに魔力を消費するのだ。体調を崩しても不思議ではない。


「カトレット嬢の寝ている部屋は下の階の一室なのですが、今日になって姿が見当たらず……。

 カルミア嬢に至っては意識もまだ戻っていない状態だったのですが、同様に姿がなく。もしやあなたの部屋かと思い来たのですが」


「……私は朝から起きていましたが、お二人はいらっしゃいませんでしたわ」


「そのようですね。既にお二人の捜索要請をしています。すぐに発見できると良いのですが……」


 そう言って顔を曇らせる先生。それはそうだろう。聞くところによると二人は自力で遠くまで移動できるとは思えない。とすると何者かに連れ去られたと考えるのが妥当であろう。


 ーーーどうやら事件はまだ終わっていないらしい。



「……何か痕跡は残されていないのでしょうか」


「特に争われた形跡もなく、綺麗に人だけが消えているようです。ただ、カトレット嬢の部屋には彼女が身につけていたとされる髪飾りが落ちていました」


 これです、とアリスが手渡されたのは確かに彼女が着けていた飾りだった。


「そうですか……。これはエミリア様が戻られた時に私からお渡ししますわ」


 だから、必ず帰ってきて欲しい。そういう声がアドニスには聞こえた。


「わかりました。是非そうしてください」


 友人の行方がしれず心配そうな表情を隠さないアリス。忘れかけていたが、いくらかの公爵令嬢といえどまだ少女なのだ。そう思った先生は、捜索を急がせるべくアリスの部屋を後にした。




 ーーちょろいなぁ。



「レイガー先生ったら純粋なのか策士なのか確信犯なのかわからないわ……」


 や、確認犯なのは間違いないか。

 最初こそ私のことを知ってて巻き込んだようだったけれど。今回については余程想定外だったのかしら。


 彼についての認識は未だにグレーだ。白よりの。敵ではないようだが、おそらくアリスには言っていないことがある。それが様子見なのか利用したいだけなのかよく分からないが、先ほどの様子を見るとそんなに悪い人でもないのだろう。



 ーーさて、手がかり(髪飾り)も入手できたことだし、色々と試してみよう。


 アリスは暇を持て余しつつ読み漁っていた本の内容を思い返す。確かこうやって指を動かしながら魔力を込めて、最後に円を描くようにする。

 すると手に持っていた髪飾りがふわりと宙に浮いた。

 ふわりふわりと漂うのは太陽が沈みゆく方角だった。


「……そう、あなたの持ち主はあちらにいるのね」


 アリスが見様見真似で行ったのは探索魔法の一種であった。長いこと身につけている物には持ち主の魔力が移ることが多々あるという。普通この魔法は無くしたものを探すときに用いるのだが、逆もいけるのではという考えから興味本位で試してみたところ上手くいったようだった。


 アリスはふと考え込むと、紙とペンを取り出した。さらさらとそこに文字を書き込むと、室内着から外用の服に着替えた。そして自らが着けていた耳飾りを一つ添えると宛名を記す。


「ーーーエミリア様が拐われたのは私の責任だわ。どうしてこう裏目にでるのかしら」


 アリスの希望から自身が関わったことを公表していない為、第二王子を救ったのはエミリアということになっているだろう。黒幕殿はどうやらそれでエミリアをターゲットとしたようだ。あぁもう。


 アリスは先程までウィルがいた木の枝に目を向ける。


「ご令嬢たるもの、常に淑やかに慎ましやかにが基本だけれど。しのごの言っている場合ではないわね。」


 窓からあたりを見渡し誰もいないのを確認すると、アリスはふわりと木の枝に飛び移った。次いで地面までの距離を確認すると、丁寧に枝を選びながら降りて行く。


「っと。……案外いけるものね」


 降りるときに少し手を切ったがこれくらいなら問題ない。今は先を急がねば。髪飾りの動きが鈍くなってきている。

 本来ならばご令嬢自らが動くべきでないことなど百も承知だ。周囲に行くと言おうものなら全力で止められるだろう。しかし今回は時間がない。書き置きはして来たのでオリオンがなんとかしてくれるだろう。心の中で苦労をかけるだろう幼馴染を思い浮かべると、アリスは森を駆け抜けた。



 この物語のラスボスは私だ。ちょっとくらい無茶したってそう簡単に終わりにはならないだろう。しかし主人公には幾重ものバッドエンドが存在する。こんな展開は見た覚えがないが、だからこその不安要素だ。


 ーーーそんじょそこらの小悪党にやられるなんて許しませんわ。



 だから……



「エミリア様、ラーナ様、もう少し待っていてくださいませ」




 ーーそうしてアリリエスは学院から姿を消した。



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