表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/49

征夷大将軍就任

建武三年三月

ついに、南朝と元国の同盟成立並びに元国による南朝への援軍派兵が明らかなものとなった。

これ、南朝の内通者から証拠が届けられたんだよね。

おかげで、北陸の足利軍を倒すだけでなく、元国への対応も考えなければならなくなった。

全くもって、南朝は余計なことをしやがって。面倒くさいったらありゃしない。

ただ、南朝が外国と手を結ぶことが明らかになったおかげで北朝の味方は激増し、元国対策ということで、俺は征夷大将軍に任ぜられることとなった。

従三位に叙せられ、参議・左近衛中将に任じ、征夷大将軍に宣下さる、か。

いやー、上野国新田荘の領主だった俺が、わずか三年弱でこの立身出世とは、驚くより他ないね。

でも、こうなってしまったからには仕方がない。日本中の力を結集して、元国を撃ち破ってくれよう。

まずは、京の二条城を完成させるとするか。

それで、元が攻め込む前に北陸の尊氏を潰すことができれば完璧かな。

元軍を水際で撃退するため、できるだけ多くの南蛮船を建造する必要もあるな。

播磨国の福原にいる船田経政には、南蛮船建造のスピードを速めるよう指示を出しておくか。

いや、それだけでは足りない。元軍が容易に上陸できぬよう、博多に軍港を作らないと。

取り急ぎ、福原にいる技術者集団を博多に派遣するとしよう。九州には石炭も石灰岩もたくさんあるから、コンクリート製の軍港などすぐに出来るであろう。

あとは・・・、一応高麗にも使者を派遣しておこう。何故、多数の兵船を建造しているのかってね。

当面の対応はこれで良いかな。

ちなみに、二カ月後に高麗から返事が届いたのだが、のらりくらりとしたわけの分からない返事であった。こいつは、『完全に時間稼ぎをしているな』と俺は思ったよ。

さて、雪が解けたら北陸攻めだ。

うん?義助の顔色が悪いな。

最近、子供が生まれて喜んでいたというのに。

どうかしたのだろうか。


◇脇屋義助視点◇

『義助、お前は我が子を将軍にしたくはないのか?』

(某の頭の中で呼びかけるお前は、いったい何者だ)

『義助、お前は優秀な兄に嫉妬しているのではないか』

(兄者は、某などと比べ物にならぬ大人物だ。お前の言うことなど聞く耳持たぬ)

『義助、義貞の首を取って南朝に降伏するのだ。そうすれば、お前は征夷大将軍になれるぞ』

(馬鹿な。今、兄者に何かあれば日本は元国に征服されるぞ)

『義助、もっと欲望の赴くまま好きに生きて良いのじゃぞ。望んで、欲しい物全てを手に入れるのじゃ』

(そんなこと、某は望んでいない)

「はっ、夢か。それにしても、何という恐ろしい夢か」

これ以降、義助は度々夢でうなされることとなる。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇


北陸攻め


建武三年四月中旬

二条城はほぼ完成し、雪もようやくとけたということで、そろそろ北陸攻めを開始しようかと思っていたら、尊氏の方から先に攻めて来たぞ。

俺の戦法『何故か俺が城攻めすると病人が続出する』が見破られたか。

取り急ぎ佐々木道誉には北陸道を封鎖するよう指示を出し、高師直に大岩山を死守するよう命じて先行させたうえで、調子の悪い義助には京の守護を任せ、俺は義顕と共に前もって集めておいた十万の兵を率いて近江国木之本(滋賀県長浜市)に向かうのであった。

その間、越前に放っていた忍びから続々と情報が入ってきた。

なになに、足利軍は総勢五万程度か。味方は十万いるのだから、力攻めでも勝てないことは無いな。

尊氏は、内中尾山(滋賀県長浜市余呉町)に本陣を置いているのか。

うーん、なんだか賤ケ岳の戦いみたいだね。

であれば、勝家軍の前田利家みたいに足利軍の中に寝返りそうな奴いないかな。

「(忍びの)佐助を呼んでくれ」

「殿、お呼びですか」

うわっ、なんかすぐ出てきたけどまあちょうど良い。

俺は、佐助に尊氏を裏切りそうな奴がいないか確認すると、佐助はすぐさま報告書を持ってきた。

「えー、なになに・・・。桃井直常と宇都宮公綱と山名時氏か。桃井家の本貫地は上野国桃井荘(群馬県北群馬郡榛東村)だから、新田家のお隣さんとも言えるね。宇都宮公綱も史実では北畠顕家に従っているし、山名時氏は新田一族だからな。あと裏切りそうな奴は・・・。えっ、足利直義?マジっすか」

「えー、尊氏が直義に不満を持っているのは、本当のようです。なにしろ、直義が殿を罠にかけて刑死させようとさえしなければ、今頃尊氏は将軍になっていたはずですから」

「そうなのかー。あれほど仲の良い兄弟が仲たがいするとはな。でも、直義を寝返らせたら寝首を掻かれそうで嫌だな。とりあえず、桃井直常・宇都宮公綱・山名時氏に寝返るよう書状を出すとするか」

「それがよろしいかと存じます」

ちなみに、三人に書状を送ったら、すぐに寝返るとの返事が来たよ。

とりあえず、こいつらには『新田軍が攻勢に出たら戦線離脱』するよう指示を出すとするか。

この戦は楽勝かと一瞬思ったが、これも直義の罠だったら嫌だなあと考え直したりもした。


◇岩松経家視点◇

「ついに、義貞と雌雄を決する時が来た。この戦でわし自ら義貞の首を取り、尊氏様に天下を取ってもらうのじゃ。そうすれば、岩松家が新田宗家になること間違いなし。皆の者、準備は良いか。今から新田軍の先鋒を襲撃するぞ。どうした、士気が低いぞ」

(そんなこと言われても、外国の助けを借りてまで義貞を倒そうとしている我らは本当に官軍と言えるのだろうか。我らは、何か取り返しのつかないことをしているのではないだろうか)

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ