閉話 アーウラさんの1日
朝、目が醒める。窓から朝日が差し込んでくる。
「う〜ん、もう朝かあ」
アーウラさんは大きく伸びをするとベットから降りて着替え始める。
「アーウラ、朝ご飯よ。早く起きて降りてらっしゃい」
母親のミーシェルさんの声がする。
「は〜い、今行く」
アーウラさんはまだ寝足りないのか、眠そうに目をこすりながら階段を降りて行く。
顔を洗い食堂に行くと既に全員食卓についていた。
「アーウラ、遅いぞ」
ギーベルグさんが娘に向かって言う。
「さあ、朝ご飯にしましょう」
「は〜い、いただきま〜す」
「リュースケもご飯だよ」
床に寝転がっている子竜のリュースケに、マリエちゃんがご飯を持っていく。
「あなた、食べながら新聞を読まないでって言ったでしょう」
ミーシェルさんが夫のギーベルグさんに小言を言う。最近、村にも新聞屋が出来た為、ギーベルグさんが珍しがって買ってきたらしい。
「ああ、すまない」
ギーベルグさんは新聞を折りたたみ、椅子の脇に置く。
「イスタル共和国で巨大な黒龍が出たらしい」
「もごもご、ほへえ〜、そうなんだ」
「おねいちゃん、ちゃんと口の中のものを飲み込んでから喋りなよお」
アーウラさんが妹のマリエちゃんに注意される。
「大丈夫、きっとケーチ達が倒してくれるよ。心配ないって」
「そうだな。ところでアーウラ、今日は畑の手伝いを、ってアーウラはどこ行った」
「おねいちゃんなら、外に出て行ったよ」
ギーベルグさんは軽くため息をつくと苦笑しながら言った。
「逃げ足が速くなったな。一体誰に似たんだか」
「おとーちゃんじゃないかなあ」
「マリエも言うようになったな」
父親として娘の成長を素直に喜べないギーベルグさんだった。
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「ここまで来れば大丈夫かな」
アーウラさんは後ろを振り向き誰もいないことを確認した。
「アーウラさん、ちょっといいかな?」
「うわっ。なんだタゴーサクさんか、脅かさないで」
「普通に前から来たのに、そんなに驚かれても…」
「あ、ああ〜。そ、それで何の用かな?」
「これをフロイデルさんに渡して欲しいんだ」
と言われ茶封筒の手紙の様なものを渡された。
「王都から来た手紙なんだが、今朝会った時に渡し忘れていてね。アーウラさんなら足が早いからすぐ届けられるだろう?」
「了解。まかして」
ギュ〜ンって言う擬音が聞こえそうな程の加速で、アーウラさんが砂埃を巻き上げ走り出した。
「うわぁ、もう行っちゃったよ。マジに無茶苦茶早いなあ」
残されたタゴーサクさんは砂ぼこりの舞う道でアーウラさんを見送った。
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「確か、この辺だったはず。あ、あった」
アーウラさんは砂利道をザザーと滑りながら急停止する。
「こんにちは〜、お届けものですよ〜」
そう言いながら、ドアをドンドンと叩く。
「誰かね? なんだ、アーウラさんか。なんの用事ですか」
少し眠そうな様子でフロイデルさんはドアを開けた。
「お手紙を届けに来ました」
「これは王都からの。わざわざ届けて来てくれたのか。すまなかったね」
「いえいえ」
手紙を受け取ったフロイデルさんは宛名を確認すると、珍しく嬉しそうな表情をした。
「誰からの手紙です?」
「ルクシールからだな」
そう言ってフロイデルさんはその場で手紙を読み出した。
「なんて書いてあったんですか?」
「き、君には関係ないだろう」
「あ〜、なんか怪しい。もしかしてフロイデルさんは、ルクシールさんと付き合ってるとか」
急に黙り込んだフロイデルさんを見て、アーウラさんは。
「もしかして図星?」
「う、人のプライベートに首を突っ込まない」
顔を赤くするフロイデルさんだった。
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「フンフン、フフン♪」
アーウラさんが村の小道を歩いていると
「あ、アーウラおね〜ちゃんだ」
「アーウラ、この前の戦隊物の続き見せてよ」
村の子供達がアーウラさんの周りに集まってきた。
「ケンジー、戦隊物は昨日見たでしょう。今日は女の子の番だよ」
アーウラさんがそう言うと、ケンジーと呼ばれた子供はちょっと不服そうだったが、それ以上文句は言わなかった。
「今日はプ○キュアの続きね」
アーウラさんはそう言うと端末を操作して、ホログラムでアニメを映し出した。
「ねえ、アーウラおね〜ちゃん。ケーチはいつ戻ってくるのかな」
一人の子供がアーウラさんに尋ねる。
「隣の国にドラゴンが出たって言うから、それを倒したら帰ってくるんじゃないかなあ」
「そっかあ。大変だねえ。でもケーチはドラゴンスレイヤーだから仕方ないね」
その子供はちょっと寂しそうに言う。
「ドラゴンスレイヤーなんて難しい言葉よく知ってるねえ」
「フロイデルさんに教えてもらったの」
「アーウラ、仮面ライダーごっこしようぜ」
「よし。今行くぞ。と〜お!」
アーウラさんはジャンプして降り立つと、変身ポーズを決めた。
「アーウラ、怪人ね」
「え〜」
村はいつも通り平和だった。




