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村への帰還

43


部屋を出てグライド向かおうとした俺達だが、不意にギオルギーネが立ち止まりゼクトールに問いかけた。


「なあ、あんた。私達を元の世界に戻せるって言ったよな」

「ええ、この世界の人々に悪影響を及ぼすなら強制的に送り返すつもりでしたが、特にその必要はなさそうですね」


ゼクトールが答えた。


「ギオルギーネ、元の世界に帰りたいのか?もう二百五十年経っているんだぞ。それに‥‥」


人類はヴァーンとの戦いに負けて滅んでいるかもしれないんだぞ。と言いかけたが、それは声に出せなかった。


「わかってる。今戻っても知っている人間はいないだろうし、それどころか人類すら滅んでいる可能性があることも。だがそれでも私は元の世界に帰りたいと思う」

「ギオルギーネ‥‥」


「今は黒龍の件があるから、それが片付くまでここに居る。だが、それが終わったら私を元の世界に戻してくれ。シュバルツ、お前もそれでいいよな」

「もちろん、私はずっとギオルギーネ様と一緒ですから」


シュバルツは忠誠心が高いな。エリシエルならなんて言うだろう。


「わかりました。ところで雪風、貴方は戻れるとしたら、やっぱり元の世界に戻りたいですか?」とゼクトール。

「私は(マスター)が守ろうとしたこの世界に残りますよ」雪風が答える。


「神楽坂さん、貴方も元の世界に戻りたいのでしょうか?」


最後にゼクトールは俺にも問いかけてきた。俺は元の世界に帰りたいのだろうか。いや、帰りたくないわけではない。だが俺の脳裏にアーウラさんやマリエちゃん。ギーベルグさんやミーシェルさん、フロイデルさんやタゴーサクさんなどこの世界で出会った様々な人の顔が思い浮かんだ。そしてこちらを心配そうに見ているユリーシアの姿も。


「今は…今はわかりません。元の世界の事も気になりますがヴァンデルワースで出会った人々との縁も、もう簡単に切ることはできません」

「相変わらず優柔不断ですね景一は」エリシエルが俺をからかうように言う。


ゼクトールは俺達の会話を聞いて何かを思い出すような表情を浮かべていたが


「神楽坂さんは保留ということにしましょう。私もあなた方のの世界が、今どうなっているのか興味が湧いたので少し調べてみることにします」

「え、俺達の世界の事がわかるのですか」

「簡単ではないですが、出来ると思います」


ゼクトールはいつもの、有るか無きかの微かな笑顔、アルカイックスマイルを浮かべそう言った。


ーーーーー


グライドで飛べば、村まではあっという間であるが、俺達はエイブリフ村の上空でしばらく村の様子を伺った。

ゼクトールはユリーシアとの縁談を撤回すると言っていたが、その連絡が王宮まで伝わるのにはまだ時間がかかるだろう。王宮の関係者が村の周辺で見張っている可能性もあり、余計なトラブルは起こしたくないので慎重に辺りを探った。

幸いにギーベルグさんの家の近くには見張りは居ないようなので、グライドを納屋の横に降ろした。


「あ〜、ケーチお帰り〜」


俺達が戻って来たことに気がついたアーウラさんが、家から出て来て手を振って迎えてくれた。


ハッチを開け、ユリーシアを抱きかかえた俺はそのままグライドから飛び降りた。


「ぐ、ユリーシアお前太ったんじゃないか?」

「馬鹿、そんなわけないでしょう」


すかさず俺の顔面にパンチを決めユリーシアがそう言い放つ。


「ユリーシアちゃん元気だった?なんか、ケーチと随分仲良くなったね」


俺達に駆け寄って来たアーウラさんがそう言うと、ちょっとドギマギとした様子でユリーシアが「べ、別にそんな事はないわよ」と言ったが。


「へ〜、そうなんだ」とニヤニヤ笑いながら言うアーウラさん。


その時自分がまだ抱きかかえられたままなのに気がついて慌てて俺から離れる。


「アーウラも元気だったみたいね」誤魔化すようにアーウラさんに話すユリーシア。

「うん、私はいつも元気だよ」


「ケーチさん」マリエちゃんも俺達に気づき走って来るのが見える。村はどうやらいつも通りらしい。


マリエちゃんの後ろからパタパタと羽音を立てて小竜のリュースケが飛んでくる。

生まれたばかりの時は50㎝くらいだったのに、もう1mくらいまで育っている。


「リュースケも大きくなったなあ」俺がそう言うと

「ちゃんと愛情を持って育てていますから」マリエちゃんが嬉しそうに言った。

マリエちゃんも明るくなったなあ。動物を育てるって情操教育にもいいんだな。俺がそう考えていると。


「そろそろお昼だし、おとーちゃん達も戻ってくると思うよ」アーウラさんが言う。

「アーウラさん、畑仕事の手伝いは?」俺がそう聞くと

「わ、私は、そう!お昼。お昼ご飯の準備をするので早めに戻って来たの。ケーチ達も一緒に食べよう」

あたふたとした様子でアーウラさんが言う。こりゃあ又、畑仕事サボったな。ギーベルグさん娘に甘すぎますよ。


「あ、おとーちゃん達だ」


遠くにギーベルグさんとミーシェルさんが歩いてこちらに来るのが見えた。

俺は何となく嬉しくなって二人に大きく手を振った。


第37話空中戦艦ドーントレスにイラストを追加しました。

あまり時間かけて描いてないので、かっこよくないw

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