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事件は会議室で起きている

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「とりあえず、貴方が神の使者うんぬんと言うことは置いておいて、ゼクトール本人であることは信じましょう」雪風は言った。


「無理矢理信じてもらう必要はないし、今はそれでいいよ。とにかく私は観測者と言う立場で人間が滅びたりしないように陰ながら力になっているのさ」


ゼクトールは私達に語りかける。


「私達不死者(インモータル)はこの世界各地に存在し、放っておけば勝手に自滅しかねない人類を見守っている。疫病、戦争、自然災害。そう言ったものから人々を守ってきた」


「そして今回はあの黒龍(ブラックエンペラー)と言うわけか」俺は言った。


その通り(イグザクトリイ)。二百年前橘に協力し、なんとか封印までこじつけたがまた復活してしまった。今回こそ奴を確実に倒さねばならないだろう」そう言ったゼクトールは付け足すように小声で呟いた。


「まあ、黒龍(ブラックエンペラー)も可哀想な奴なんだけどな」


「なんか気になる事を言うねえ」俺はゼクトールに問いかける。


「聴きたい?聴きたい?聴きたいよねえ。仕方ない。話してあげるよ」


あんた、それは絶対に俺達に話そうと思って誘導したろう。まあ聞くけどw


「奴が生まれたのは、今から五百年くらい前かな。此処とは違う大陸で奴は生まれ育った」


ーーーーー


黒龍(ブラックエンペラー)はウィンタルトと言う大陸の生まれで、若い頃の彼は今のように黒龍(ブラックエンペラー)などとは呼ばれておらず、人々は彼のことをチャーリーと呼んでいた。その頃の彼は人間が好きで沢山の人間の友人もいた。

つがいの龍との間に数匹の子供も生まれた。

彼の生涯の中で最も幸せな時期だったのだろう。

真龍達は数十年に一度しか産卵せず、そのためか子供や家族に対してとても強い愛情を持つ。それは人間が家族に対する愛情より深い。


ところで、真龍の角や骨と言うのは人間に非常に高価で取引されていることを知っているだろうか。

今でこそ材料工学が進み様々な金属によって武器が作られているが、当時はドラゴンの骨材より優れた物はなかった。

鉄より硬く、そのくせ柔軟性もあり軽い。加工が難しいがドラゴンの骨や角で作られた武器はとてつもない価値を持っていた。

そのため金に目が眩んだ人間が彼を騙し、彼の子供達をさらっていったのだ。

怒った彼は、彼のつがいとともに子供を取り返しに行ったが、まだ若く力も無かった彼は返り討ちにあい、彼はなんとか逃げ切ったが、つがいと子供は殺された。

それ以来彼は人間を信じることができず人々を恨むようになった。数百年が過ぎ、いつしか彼は黒龍(ブラックエンペラー)と呼ばれる最恐のドラゴンと化した。


ーーーーー


「なるほど、妻と子供達を殺され闇落ちしたと」とギオルギーネ。


「ダースベイダーもびっくりですね」エリシエルが茶化す。


「奴には奴なりの事情があったのはわかったが、だからと言ってこのままにしていい訳じゃない」俺が言う。


「まあ、貴方と私達の目的は一致しているようなので、貴方にも色々協力してもらいます」雪風がゼクトールに言った。


「もちろんそのつもりだ。私に出来る限りの協力をするよ」ゼクトールは私達にそう宣言した。


「ええとそれから、私との縁談の件なんですけど……」ユリーシアがおずおずとゼクトールに言う。


「ああ、その件は私の方から撤回させてもらうよ。もともと偽装結婚みたいなものだったしねえ。本当に結婚しようと思っていたわけではないが、周囲がうるさいので形だけでもそうしておこうかと考えていただけだから」


「ふう、これでいつでも王宮に戻れるわ」ユリーシアが安心したように言う。

「あ、でもしばらくは王宮には帰らないわよ。まだしたいことあるし」


取り敢えず、後は黒龍の怪我がどれくらいで治るかだな。あれだけの怪我だ。しばらくは奴も動けないだろう。奴が動けない間に対策をしなければならない。

もう一つ心配なのがラングレストである。なんらかの処置をして噴火しないようにしなければならない。

単純にあの穴を埋めるだけでは噴火を抑えられないだろう。ラングレスト周辺を含めて硬化剤で固めるなどの処置が必要になるだろうが、そうなると数年がかりの大工事になるだろう。

しかし何年も奴を放置するわけにもいかず、現状において対処療法的に奴にあたるしかない。


「今、そんなに考え込んでも結局はなるようにしかならないですよ」


そうエリシエルが言うが、そこまで楽観的にはなれない。


「此処で悩んでも仕方ない。ひとまずエイブリフ村に戻ってみるか?」


「いきなりですね。今、村に戻ってどうするつもりです?」


「しばらく村に戻ってないし、向こうの様子も気になる。それと少し確認したいこともあるので」


「ですが、もし村にいる時に黒龍(ブラックエンペラー)が現れたらどうします?」エリシエルが心配そうに尋ねてくる。


「奴にはマーカーを打ち込んであるから、何か動きがあればすぐ連絡するよ」と雪風。


「ギオルギーネ様、私達はどうしますか?」シュバルツが聞いてくる。エリシエルや雪風と違ってこいつはほとんど話さないな。


「雪風と一緒にドーントレスのドックに行って、シュバルツの強化をするかな」とギオルギーネ。


こんな感じで各人の行き先が決まったようなので、一度別れて各々で行動することとなった。


今回、黒龍の過去を少し書きました。まともに書くとだいぶ長くなるので、かなり省略してしまいましたがw

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