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空中戦艦ドーントレス

挿絵(By みてみん)

37


空中戦艦に気がついた黒龍は、標的を空中戦艦に変えブレスを放った。しかし戦艦の周りには目に見えないバリアのようなものがあるらしく、ブレスは戦艦に当たらず散らされた。ブレスが効かないことがわかった黒龍は翼を羽ばたかせ飛び上がる。直接戦艦に取り付き攻撃するつもりらしい。戦艦に飛び乗った黒龍は長い尻尾を戦艦に巻きつけ締め上げようとした。その時戦艦の周りで放電が起こる。表面に高電圧の電流を流したのだろう。

たまらず黒龍は絡ませた尻尾を放し、戦艦から離れる。

戦艦は急加速し黒龍から距離を取る。

どうするのかと思っていると、戦艦は回頭し、更に加速して黒龍に突っ込んで行く。戦艦の船首にある細長いドリルが高速で回転している。


「あのドリルでぶっ刺すつもりかい」


「まるで轟天ですね」


エリシエルが作るロマン兵器以上のものがここにあった。

戦艦が黒龍に突っ込み、ゴリゴリと音を立てて黒龍の体を削って行く。だが黒龍もただではやられず超近距離でブレスを放つ。近すぎるためかバリアが働かず戦艦の装甲がオレンジ色に赤熱する。すると戦艦の一部が変形し巨大な槍になり黒龍に打ち出される。槍は黒龍の胴体に命中し深く突き刺さる。黒龍は槍を引き抜き、そこからどろりとした血が流れ出るのも構わず槍を戦艦に叩きつける。


「どちらも一歩も引かないですね」


「ああ、すごいな。横綱同士のぶつかり合いを見てるようだ」


っていうか、俺達ただの解説者になってるぞ。まあ、これじゃ俺達が入る余地はないがw

空中戦艦はまた加速し距離を取る。船体が二つに割れ内部が放電しているのが見える。そのまま回頭すると船首を黒龍に向ける。放電が強まり強力なビームが発射される。ビームは黒龍に命中し盛大な火花を撒き散らす。

更に船体から無数の砲塔が突き出し、一斉に黒龍に向かい弾を打ち出す。


「こりゃあ、空中戦艦が勝ったな」とギオルギーネが言う。


だが黒龍はギロリと戦艦に向き直ると口からブレスを吐く。またバリアで防がれるかと思ったが黒龍はブレスを吐き続ける。戦艦内部で爆発が起こりバリアが消えブレスが直撃する。どうやらバリア機構が過負荷で吹っ飛んだようだ。


「まずい、助けに入るぞ」


空中戦艦はヨロヨロとふらつきながら高度を落としていく。


「ハイパーキャパシティを空にしてもいいから全エネルギーを使いゼオフィールドを強化しろ。ギオルギーネ、アーメスを黒龍に思いっきり加速してぶつけろ」


「日本人特有の特攻ですか」


「うるさい、やれ」


「へいへい」


シュバルツがアーメスの身体を掴むと黒龍目がけて急加速していく。


空中戦艦にとどめを刺すべく近づいていく黒龍は俺達が突っ込んでくるのを見つけてギョッとしたように立ち止まった。


「目標は戦艦が槍で開けた傷口だ」


ゼオフィールドを槍状に変形させる、


「おりゃあああああああ」


ギオルギーネはギリギリまで加速させ黒龍をかすめるようにして離脱する。

アーメスは黒龍の傷口から突っ込み、その体を貫通する。


「やった」


黒龍は崩れるように膝をついたが、まだ死んではいない。とどめを刺しきれなかった空中戦艦を悔しそうに見ると翼を羽ばたかせ飛んで行こうとする。


「おい、逃げてしまうぞ」


「こっちも満身創痍だ。追いかけられん」


結局俺達は、逃げ去って行く黒龍を見ていることしか出来なかった。


ーーーーーー


俺達はボロボロになって着地した空中戦艦に近づいていった。


「こんな物、誰が作ったんだ」とギオルギーネ


「大体予想はつくだろう」


「やっぱり一人目か」


空中戦艦に近づくと、俺達を招き入れるように横の扉が開いた。


「入れってことだよな」


「私は嫌だな。中に入るの」


「じゃあギオルギーネはここで待ってろよ」


そう言って俺は扉から中に入ろうとすると


「ま、待て。行かないとは言ってない」


慌てたようにギオルギーネが言って、俺の後ろから付いてきた。


船体内は暗いが、通路の分かれ道には片方だけ明かりが灯っている。


「明るい方に行けばいいんだろうな」


そう思い歩いて行く。しばらくいくとエレベーターに着く。エレベーターの扉が開いたので乗り込むと勝手に扉が閉まり上に上がって行く。扉が開いたのでエレベーターを降りると無数の計器が所狭しと並んでいる場所に出る。


「ここが艦橋かな」


「ようこそ、空中戦艦ドーントレスへ」


「ひっ」ギオルギーネが驚いて後ずさる。こいつ以外とビビリだな。


「あんたがこの戦艦を作ったのか」


「そう、亡くなった(マスター)の命に従い私が二百年かけて作り上げました。完成前に壊れてしまいましたが」


「完成前?」


「本来はあの黒龍ブラックエンペラーはまだ目覚めないはずでしたが、貴方方がブラックエンペラーを起こしてしまったので仕方なく未完成のまま起動させました」


「そうか、それは済まないことをした。それであんたの(マスター)ってのはグライドの操縦者(グライドランダー)なんだよな」


「そうです。私の(マスター)はグライドナンバー893の操縦者(グライドランダー)橘 清十郎です」


「あのヤクザの橘か」


「え、橘ってそんな危ない人だったの?私にはそう見えなかったけど」とギオルギーネが言う。


「いや、橘は温厚でいい人だったよ。ただグライドナンバーが893なのでそう呼ばれていただけさ」


「私と(マスター)は二百年前にブラックエンペラーを倒すことが出来ず、仕方なくあの穴を使いなんとか封印しました。しかしあなた方があの穴で暴れまわったためグライドの波動を感じた黒龍が予定より早く目覚めてしまったのです」


「それは済まなかったと思うが、俺達はあそこに黒龍が封印されているなんて知らなかったんだ」


「知らなかったでは済まされません。まあ、今更言っても意味はないですがね」


「……」


「私は黒龍が目覚めた時のため様々な準備をしてきました。もちろん失敗もありました。例えばグライドの製作です。この世界では物理定数が元の世界とごく僅かに異なるためエーテルリアクターがうまく働かず、結局グライドの製作は中止しました」


「そうなんだよねえ。私もそのせいで苦労したよ」とギオルギーネ


シュバルツのリアクターはアーメスの物より若干後に作られたせいか規制が甘く、アーメスより高効率で動いているらしいが、それでも良くやってるなと思う。


「驚いたことに廃棄したグライドの部品を使い、この世界の住人は機人なんて言うものを作り出していました。グライドの劣悪なコピーでしかないとは言え、この世界の技術で良く作ったものです」


あ〜なるほどねえ。それで一部の謎が解けた。


「もしかすると、別な方向の展開があるかと思いグライドの開発をやめた今でも部品の供給だけは続けています」


「その方向の一つがマジックリアクターか?」


「ほう、よくご存知で」


「俺のグライドでも使ってるからな」


「何だよ、マジックリアクターって?」ギオルギーネが聞いてくる。


「魔法を使って動かすリアクターだよ。俺のグライドにもう一人乗っているのはそのせいだ。俺達は魔法が使えないからね」


「え、景一ってロリコンだから後ろに少女を乗せているんじゃないのか」


「そんなわけないだろう」


「取っ替え引っ替え少女を乗せているから、てっきりそうかと」


「普段の行動が悪いせいですよ」エリシエルが首を突っ込んできた。


「その他にも黒龍を倒すために、色々な試行錯誤を繰り返しやっとこの空中戦艦を作り上げました。しかし結局今回も黒龍は倒しきれませんでした」


う、なんかヤバい流れに


「黒龍が傷を治し復活する前にこの戦艦の修理を終わらせないと、この世界は大変なことになります」


「わかった、俺達も出来る限り協力する」


「当たり前です。貴方方の責任なんですから」


「ところで、もうひとつ聞きたいことがあるんだけど…」


「はい、何でしょう」


「何でアニメロボタイプの機人が、いっぱいあるのかな?」


「え〜と、実は」


「実は?」


「私の趣味で作りました」


「なるほど、お前が趣味で遊び呆けていたせいで戦艦の完成が遅れたんだな」


「え〜、だって二百年あるし少しくらい遊んでもいいかなと思ったんですよ。いやここ数年は頑張りましたよ」


「お前は夏休み終了直前で宿題を頑張る小学生か」


グライドのハイブリッド生体システムってのはオタク揃いだな。大丈夫なんだろうか。






今回は今までの伏線回収を行っています。全部ではないとは言え少しずつでも伏線回収しておかないと、最後に一気にやるなんて器用な真似出来ないですからw

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