シュバルツ再来
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そんなこんなで、俺達が鍾乳洞の入り口で騒いでいると、一体の機人が鍾乳洞から出てきた。
「あれ。今の機体シュバルツじゃないか?」
むこうも、こちらに気がついたらしくシュバルツはこっちに向かって走ってくる。
「よう! おひさ」アーメスをシュバルツに向かって手を振らせると、シュバルツは背中に背負った大剣を振りかざし、いきなり斬りかかってきた。
「うおっ、あぶねえな。何しやがる」大剣をギリギリで躱すと「どこぞのチンピラのセリフみたいですね」とエリシエルが言うが、無視する。
「貴様らのせいで私達は、共和国の親衛隊を辞めさせられたんだぞ」とギオルギーネが叫び、更に斬りかかってくる。
「俺達に負けた所為で辞めさせられたのか。それはお気の毒に。って言うか、お前帝国に所属してるって言ってなかったか。やっぱあれは嘘だったのか」
「うるさい。お前達さえ居なければ上手くいってたんだ」
「試合に勝っただけで八つ当たりされるって展開、何処かでありましたね」とエリシエル。
「過ぎたことを蒸し返すんじゃない」ユリーシアがボソッと言う。
「だいたい何なんだ、このダンジョンのモンスター。まるで攻撃が通じないぞ」
「あ〜、ゴーストに当たったのね。俺達と同じかw」
どうやらダンジョンでゴーストに遭遇して命からがら逃げ帰ってきたらしい。よく見るとシュバルツの機体はあちこち傷だらけである。俺達に斬りかかってきたのは文字通り八つ当たりらしい。
「ユリーシア、頼むぞ」
「了解よ」
ユリーシアがリアクターを操作し出力を上げる。
シュバルツの大剣を使った攻撃を短剣で受け流す。前回戦った時はシュバルツの攻撃を完全に受け流すことができず、吹っ飛ばされたり地面に叩きつけられたりしたが今回は全く問題なく受け流せる。使えるエネルギーが増えた所為で、防御力を上げつつ動作も俊敏である。
「男子三日会わざればってね、こっちはパワーアップしてるんだ」
「別に景一が努力したわけじゃないでしょう」とエリシエルがつっこんでくる。
「そうよ。私のおかげなんだからね。感謝しなさい」
「へいへい」
「くっ。何余裕ぶっているんだ貴様等」
ギオルギーネは、こちらにまともに攻撃が当たらないので徐々に焦り出す。
業を煮やしたギオルギーネは、プラズマソードを起動させる。アーメスの左腕を切り落とした例の武器である。
「エリシエル、ゼオフィールドの属性を機動力を上げるようにしろ」
「了解、ハイパーキャパシティ内のエネルギーも使用すれば10秒間の超高速機動が可能になります。どうしますか?」
「やってくれ」
「了解、スタートアップ」
妙な起動音と共に、コクピット内のモニターにデジタルで残り時間が表示される。
超高速状態でシュバルツに攻撃を繰り返す。殴る殴る殴る。蹴る蹴る蹴る。スピードについてこれないシュバルツは完全にサンドバック状態だ。
「3、2、1、タイムアップ」
超高速機動状態が終了しアーメスの機体がぴたりと静止する。後ろには10秒間ボコられ続けたシュバルツがゆっくり崩れ落ちた。
「取り敢えず死んではいないだろう。さてと、今日は全く稼げなかったが宿屋に帰ろう」
「そうね。明日こそは稼ぎましょうね」
「ちゃんと冒険者組合に行って下調べしないと今日の二の舞になりますよ」
「エリシエル、お前調べとけよ」
「グライドだけで、組合の中に入って調べ物なんて出来ないですよ」
「全く、めんどくさいな……」
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「行ったか?」
シュバルツのコクピットハッチが、ギギギと軋みをあげて開いた。
「くそ〜、あいつ等こんなにボコボコにしやがって。今度会ったら覚えてろよ」
「ギオルギーネ様、それは三下の捨て台詞ですよ。せめて、あいつ等がいる間に言ってくれないと」
「うるさい。そもそもシュバルツ、お前が不甲斐ないからいけないんだ」
「お言葉ですが、アーメスと私は機体性能はほぼ同等のはず。そうなると、操縦者の腕の差で負けたのでは」
「……」
「それから、今夜はここで野宿になります」
「え、何でだよ」
「機体の損傷が激しく、エネルギーは全て修理に回すので、移動は出来ません」
「食事は?」
「機体内にある非常食でも食べてて下さい」
「あれ、飽きたよ。ザワークラウト食べたい」
「贅沢を言われても困ります」
「あ、雨。コクピットに入らないと。むう、ハッチが閉まらない」
「無理やり開けたせいですよ。しばらく我慢して下さい」
「あ〜、もう〜」
ギオルギーネの怨嗟の声が、雨音の中に消えていった。




