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オリエンテーラ鍾乳洞

日曜出勤で投稿がなかなか出来なかった。まあ、言い訳です。

30


初ダンジョン攻略の報酬は、はっきり言ってしょっぱいものだった。この金額では、宿代で足が出てしまう。もう少し金額の高いところ、と言うわけで向かったのが中級ダンジョン、オリエンテーラ鍾乳洞である。ここのダンジョンの特徴はゴーストが出ると言うことである。


「ゴーストって何なんだ?」


俺の問いに対してエリシエルが答えた。


「魔法生物と呼ばれているものですね。体のほとんどが魔素、もしくは魔素と結びついた物質で構成されているため物理攻撃がほぼ効きません。ゴーストを倒すには魔法による攻撃が最も効率的です」


「ちょっと待て。物理攻撃無効って、俺達魔法使えないんだぞ。どうやって倒せばいいんだ?」


「ユリーシアに魔法攻撃してもらうしかないですね」


「私、攻撃魔法なんて使えないわよ」


「え?」


「え?」


「ど〜すんだよ。ゴースト出たら対処しようがないぞ」


「仕方ないですね。一旦戻って、対策を考えましょう」


そういうのは、ダンジョンに入る前にするもんだろう。やれやれと思いつつ出口に向かって歩き出す。モンスター出るなよ。とか思っていたのだが、得てしてこういう時に間の悪いことは起こるもんである。(こういうのってマーフィーの法則とか言うんだよね)

鍾乳洞の壁に黒いシミの様な物が現れたと思ったら、人の形をした何かが現れた。

出口に向かおうとした俺達の前に現れたのは、案の定ゴーストだった。

現れたゴーストは全長2mくらい。形は人型をしているのだが、ぼや〜としていて反対側が透けて見える。

こちらに気づいたゴーストは、魔法による攻撃を仕掛けてきた。

ゴーストの指先から放たれた電撃をかわしつつ、お返しとばかりにレーザーを撃ち込んでみる。

しかしレーザーはゴーストの体を突き抜けて、鍾乳洞の岩肌をえぐるだけで、なんのダメージも与えていない。足元の岩を蹴飛ばしてゴーストにぶつけてみたが、やはり岩はゴーストをすり抜けていくだけである。物理攻撃無効というのは本当の様だ。

こちらがゴーストに有効な攻撃を出来ないことがわかったせいか、ゴーストは近づいて魔法攻撃を仕掛けてくるので、相手の攻撃を躱しづらくなってきた。


「不味いな。このままじゃジリ貧だ。仕方ない、一か八かやってみるか」


俺はゴーストが魔法を撃つタイミングを図りつつ、徐々にゴーストに近づいて行く。そしてゴーストが魔法を撃つ瞬間に、体当たりを仕掛けた。体当たりと言っても、実体の無いゴーストにめり込む様な形になる。ゴーストの撃った雷撃をくらいグライドの装甲が黒く焦げたが、体当たりをしたせいで雷撃の余波はゴーストにもダメージを与えた。


「なるほど、超近距離で魔法を使えば、魔法の余波でゴースト自身も傷つくわけですね」


「そういうわけだ。あの程度の雷撃ならまだ、装甲は持つ。さあ、ゴーストはどう出る」


もう一度魔法を撃とうとしたゴーストにグライドを密着させる。

すると、魔法を撃つのを諦めたゴーストは、壁にめり込む様にして逃げていった。


「ふう、なんとか撃退できた様だな。他のモンスターが来る前にさっさとここを出よう」


俺達は逃げる様にして鍾乳洞を出た。



ーーーーーー



「第一回、チキチキゴースト対策会議〜」


エリシエルが何故か妙に嬉しそうに会議の開催を告げる。ドンドンパフパフ、と言う効果音が聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。


「とにかくゴーストをなんとかしないと、どうしようもない。手を考えよう」


「先ほどの戦闘を観測した結果なのですが、ゴーストが物類ダメージを受けていないのは電磁場の影響を受けていないせいだと考えられます。重力場の影響は受けている様ですね」


「エリシエル先生、解説をお願いします」なんか、わけのわからない事を言い出したので説明してもらう。


「つまりですね、ゴーストが物理無効なのは、電磁場の影響を受けていない為って言うことはわかりますね?」


「壁とかすり抜けてるからね。その辺はなんとなくわかるが、重力場の影響を受けているってのは?」


「もし重力場の影響も受けていないなら、地球上に留まれないですよ。地球だって自転やら公転やらしているわけですから。正確に言うと電磁場の影響も全く受けていないわけではないです。電磁場も完全無効なら摩擦も無くなるのでゴーストは地球の中心まで落ちていくはずですから」


「多少は物理も効くと言うことか」


「99%以上ダメージはのらないので、物理は諦めた方がいいと思います」


「結局どうすればいいんだよ」


「方法はいくつかあります」


「ふむ」


「その1、ユリーシアさんに攻撃魔法を覚えてもらってから出直す」


「それは却下だ。そこまで時間に余裕はない」


「その2、ゴーストにダメージを与えるにはゴーストを構成している魔素に影響を与えれば良いわけですから、別に攻撃魔法を使わなくてもいいわけです。マジックリアクターをフル稼動させて、周囲の魔素を減らせばゴーストにも影響が出るはずです」


「なかなか良さそうだが、魔素を十分に減らすにはどれくらいかかる?」


「そうですね、約三時間くらいですかねえ」


「三時間かあ。随分と長期戦になるな。とりあえずこの案は保留で」


「その3、ゼオフィールドを使い、瞬間的にゴーストの慣性を変動させる事により遠くへ吹っ飛ばすことができます」


「その案が一番良さそうだな」


その時、それまで黙って聞いていたユリーシアが言った。


「でもそれじゃ、一匹もゴーストを倒せないから、お金にはならないんじゃないの?」


「……」


オリエンテーラ鍾乳洞はパスしよう。




裏設定 ゴーストについて。


よくRPGなどで物理攻撃無効なんて敵が出てくるので、今回はそんな敵を出してみようと考えたのがゴーストです。

物理攻撃が効きにくい敵だとスライムあたりも考えたのですが、レーザーやビームで焼いちゃえば一発なので簡単すぎるということで却下となりました。

ゴーストの特徴として、体を構成する物質の殆どが魔素から出来た物の為、物理攻撃が効きにくいということです。魔法攻撃そのものも、魔力で物理エネルギーを作って相手にぶつける物なので、攻撃そのものは相手にダメージを与えませんが、ゴーストの身体を構成する魔素を削るためダメージを与えることができます。

魔素で出来ている部分は電気的に中性で電磁場の影響を受けていません。そうなると、原子という状態でも存在しないことになるので、魔素による原子は魔力で結びついていると言う設定になっています。

魔力にもプラスとマイナスがあり、原子核がプラスの魔力。マイナスの魔力を帯びた魔素が電子の役割になる。って感じでしょうかw

そうなると、魔素で構成された物質、マナの設定も考えないといけないのでしょうが、そこまでいくと作者のキャパオーバーです。だって、水素に近似したマナとかヘリウムに近似したマナとか、全部の物質を考えないといけない上、マナ独自の変化とかまで考えていたら時間がいくらあっても足りません。そこで、その辺りは軽く流してくださいw

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