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妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
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当たり前

 以前お兄ちゃんが学校の用事か何かで一日家にいなかったときに、思わずお兄ちゃんを呼んでしまい少し寂しい思いをしたことがありました。


 いつも一緒にいてくれることが当たり前になっていて気が付かなかったのですが、考えてみるとお兄ちゃんはあたしのために家に居られる時間はずっと家にいてくれたんじゃないのかなと思います。


 その日もお兄ちゃんがいない日で、でもねぇねは家に来てくれていたのでふとそんな話をしました。


 それを聞いたねぇねは何故かとても複雑な表情をしていましたが、一つため息をついてあたしに笑いかけてくれました。


「それで、妹ちゃんはどうしたいの?」


「どうしたいってわけじゃないんですけど、あたしがお兄ちゃんに甘えすぎてるんじゃないかなって思いまして……」


 そういうと、ねぇねは声を出して笑います。


「むしろアイツの方が妹離れできてない気がするんだけどね」


 そう言ってからねぇねは少し考えます。それから「妹ちゃんは」と口を開きました。


「どうやって息をしているのか、とか考えたことある?」


「息を……ですか?」


 首をかしげながらそう尋ね返すとねぇねが頷くので考えてみます。


 まずは鼻や口から空気を吸うのですが、そもそもなんで空気を吸えるのかと考えてみるとなんでなのかさっぱりわかりません。


 そうやってどんどん意識しながら呼吸をしていくと段々訳が分からなくなって、最終的に息苦しくなってしまったので首を振って意識するのをやめてしまいました。


 そんなあたしの様子を見てか、ねぇねは笑うと話し始めます。


「息って当たり前に吸ったり吐いたりしてるけど、いざどうやっているのか考えてみると変な感じがしてそわそわしちゃうでしょ?」


 それをたった今感じたあたしは力強く頷きます。


「当たり前になった事っていうのは、その大切さを知るのにやっぱり意識しないとダメなんだけど、あんまり意識しすぎると変にギクシャクしちゃうのよ」


 「だから」とねぇねは真面目な顔をして続けます。


「自分の中にそっと閉じ込めておいて、たまに感謝するくらいでいいと思わない?」


 あたしはその問いにはっきりと答えることはできませんでしたが、ねぇねにもそんな風に思うことがあったのでしょうか?

人との距離は難しく、今回のもあくまで一つの考え方。そんな風に思っていただけたらー

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