できない
夏休みの終わり頃の話です。ある時あたしがふと思い出して休み明けにテストがあるのだと、お兄ちゃんとねぇねの前で言いました。
「テスト勉強をするという習慣は今のうちから身に着けていた方がいいよ」
あたしの話を聞いたねぇねはすぐにそういうと、少し照れたように笑い、続けました。
「そうしないと私みたいになるからね」
「ねぇねは勉強してなかったんですか?」
あたしが尋ねると、ねぇねはちらりとお兄ちゃんの様子を窺ってから話します。
その時お兄ちゃんは特に何の反応もしていないようでした。
「やらなかった……訳じゃないんだけど、基本的に前日しかしてなかったかな。おかげで毎回テスト前日には地獄を見てた」
苦笑交じりにねぇねはそういった後、すぐに怪訝そうな目でお兄ちゃんの方を見ました。
あたしもつられてお兄ちゃんの方を見ましたが、お兄ちゃんはなんで見られているのかわからないといった表情をしていました。
それからねぇねはお兄ちゃんを三白眼で見ると恐る恐る口を開きます。
「自分ができないことを人に言うなとかは言わないのね」
そういわれてお兄ちゃんは納得したように「ああ~」と声を出すと
「言ってほしいのか?」
とねぇねをからかいます。ねぇねは少し怒ったように「そんなわけないでしょ」と返しました。
「ま、反面教師にしかわからないこともあるしな」
「確かに……そうね」
少し不服そうにでも、納得したようにねぇねがそう返したところで、お兄ちゃんがさらに続けます。
「結局は誰が何を言ったって受け手の自己判断能力に委ねられるだろ。この人に言われたことは信じない的な事を言っていたらその人はその程度だったってわけだ」
それを聞いたねぇねが少し考えてから口を開きます。
「そういえばアンタ、あの先生の話は絶対に信じないって言ってなかったっけ?」
あたしにはあの先生は解りませんが、そこで「はっはっは」と笑うお兄ちゃんがその程度だったということは解りました。
誰に言われても事実は事実。




